元麻布春男の週刊PCホットライン

PalmからPocket PCへの乗り換え(下)




 前回は、とりあえずMacを母艦にPocket PC機の運用を始めたところまで紹介したが、続きの前に1つ補足しておきたいと思う。パスワード管理ソフトとして使っているSplashIDをWindows版しかないと書いたが、正確にはPalm OS版であればMac OS対応版もある。Pocket PCに対応したバージョンはWindowsでしか動作しない、と理解して欲しい。

 ただし、たとえPocket PCに対応したMac OS版があっても、Palm OSからPocket PCへの移行という筆者の用途には使えなかっただろう。以前に、Palm OS版でWindows → Macの移行をテストしたことがあるが、暗号化されたバイナリデータをそのまま移行しても、文字コードの違いから見事に日本語が文字化けしてしまうからだ。

●EssentialPIMを試す

 さて、Windows上でOutlookを使うことなく、手軽にPocket PC機とデータ同期する方法はないかと探していたところ、ついにその目的を果たせそうなソフトが見つかった。EPIMが発売する「EssentialPIM」というソフトだ。EssentialPIM(以下EPIMと略)そのものは、以前からPIMソフト(Personal Information Manager: 連絡先やスケジュールなどのパーソナル情報を管理するアプリケーション)として存在した。しかも、日本語で利用することも可能だった。

 もちろん、米国の製品だけに、日本語の読み仮名でソートするといったワザは期待できない。が、連絡先やスケジュール、ToDoリストに日本語を書いたり、メニューを日本語表示にすることはできた。

 実はこのEPIMは、Pocket PCとのデータ同期もサポートしていたのだが、現在製品としてリリースされているVer 1.xxでは日本語のPocket PC機とのデータ同期がうまくいかなかった。しかし、次のVer 2.0(現在RC2版が公開中)では、機種が限定されそうだが、日本語版Pocket PC機とのデータ同期が可能になっている。

 画面1は、EPIMを起動して表示されるEPIM Todayの画面。とりあえずその日に必要な情報が表示される。左端の操作ペインのデザインは、Outlookにちょっと似ている。

 画面2はスケジュールを1日単位で見たもの。スケジュールの直下にある日付と曜日の表示が日本の表記と異なるのはご愛敬か。しかし、画面を見れば分かるように、データとしては日本語の表示が可能で、もちろん入力もできる。スケジュールの表示は週単位、月単位(画面3)、さらには年間単位で見ることもできる。

【画面1】EPIMの起動画面。連絡先の誕生日蘭にデータがあると、その誕生日も記念日に掲載される 【画面2】スケジュールを1日単位で見たところ 【画面3】同じく月間ビュー。3日おきのスケジュールが入っている

 スケジュールには7つの優先順位が設定できるほか、達成度の設定、一定間隔でのリピート、背景色の設定など、さまざまな設定が可能だ。画面4は、スケジュール(予定情報)の入力画面だが、この画面も日本語化されており特に不便は感じない。予定のステータスの項に「公開」という設定があるのは、上位にネットワーク対応版があり、複数ユーザーで予定表を共有することを想定しているからである(今回筆者が使ったのはネットワーク非対応版)。

 スケジュールには画像やメールなど、任意のデータ(あるいはそのリンク)を添付できるから、たとえば地図を貼っておく、なんて使い方も可能だ(画面5)。機能的には筆者にとっては十分以上で、できないことといったらメールとの統合くらいだが、筆者はそれを望まないので全く問題ない。

 肝心のPocket PCとの同期だが、それはファイルメニューに用意されている(画面6)。特に難しいことは何もなく、ここでPocket PCを選ぶと、データの同期が始まる。ほかに必要なのはMicrosoftが提供するActiveSync(Windows XPの場合。Windows Vistaでの動作確認は行なっていないので、Windows Mobile Centerについては筆者はテストしていない)で、これは事前にインストールしておく必要がある。

【画面4】スケジュールの入力画面。さまざまなオプションの設定ができる 【画面5】スケジュールにはさまざまなデータを添付できる。添付データをダブルクリックすると、デフォルトビューワが別ウィンドウで起動する 【画面6】EPIMの同期オプション(背景は週間ビュー)。オプション設定によりPalmとの同期も可能

 前回のMissingSyncでテストしたのと同じ5機種のPocket PC機(下の表)でテストしたが、残念ながらWindows Mobile 5.0の2機種ではデータの同期がうまくいかなかった。要するに何も起こらなかったのである(本稿執筆中にRC3がパブリックになった。RC3ではこの辺りも改善されていると良いのだが)。

【表】テストに用いたPocket PC機
機種OS
iPAQ h2210WM 2003
iPAQ rz1717WM 2003 SE
iPAQ hx2410WM 2003 SE
W-ZERO3[es]WM 5.0
iPAQ rx4240WM 5.0

 では、これら最新のPocket PC機ではお手上げかというと、必ずしもそうではない。画面6の同期メニューにあるOutlookとの同期を利用すれば、EPIMとPocket PC機をOutlook経由で同期することができる。EPIMとOutlookを同期した後、ActiveSyncでOutlookとPocket PC機を同期させれば良いわけだ。もともとこの機能は、デスクトップPCでOutlookを使いつつ、ノートPCのEPIMとデータを同期させる、といった利用法を想定していたのだろうが、こんな風に利用することもできる。

 この場合、Outlookのライセンスが必要になる(iPAQには付属しているが、スマートフォンには付属しないことが多い)し、事前にインストールしておく必要もあるが、日常的にOutlookを使う必要はない。というより、EPIM、Outlook、Pocket PC機のすべてでデータの更新を行なうと、解決が極めて困難なデータ競合が起こりかねないので、データの更新を行なうアプリケーションを決めておくべきだろう。

 しばらく使ってみて気づいたのは、日本語版のPocket PCから取り込んだ連絡先で、名前と名字が入れ替わってしまうことだ(この現象は日本語の名前だけでなく、英語の名前でも生じる)。おそらくPocket PCに対してデータを同期する際にデータを逆にとっているのだと思うが、とりあえずサポートにメールはしてある。最終リリース時までに修正されれば良いと思っているが、されなくても運用上カバーできなくはないので、割と気楽に考えている。

 この名前と名字を取り違えてしまうのは少々問題があるし、読み仮名で並べ替えができない点も、気になるユーザーは気になるだろう。日本で日本人が日常的に利用するソフトウェアとしてはあと一息、という部分があるが、その解決は日本国内に代理店なりがないと難しいかもしれない。

 それでも筆者がEPIMを気に入ったのは、Outlookに比べて圧倒的に軽いことであり、必要以上に複雑でないことだ。また筆者のように、Pocket PCは使いたいけれど(今のところほかに選択肢はない)Outlookはどうも、というユーザーもきっといると考えたから、こうして紹介することにした。日本人のユーザーが増えれば、日本語対応も良くなるかもしれない。

□関連記事
【6月25日】【元麻布】PalmからPocket PCへの乗り換え(上)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0625/hot495.htm
【1月11日】【塩田】日本HP「iPAQ rx4240」ハードウェアレポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0111/pda54.htm
【2006年7月5日】【元麻布】ケータイとPDAを融合したW-ZERO3[es]
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0705/hot435.htm

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(2007年6月26日)

[Reported by 元麻布春男]


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