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パナソニック、世界初45nmプロセスのシステムLSI
~H.264/3Dグラフィックス機能搭載のSoC

45nmのシステムLSIのウェハ

6月19日 発表



UniPhierの開発用リファレンスボード

 パナソニックは、世界初となる、45nmプロセスを採用した次世代システムLSI「UniPhier(ユニフィエ)」を発表した。

 UniPhierは、同社が展開するコンシューマエレクトロニクス向けのシステムLSI。2005年より65nmプロセスで生産したUniPhierを搭載したハンディカム、携帯電話、液晶TV、DVRなど約70の製品を販売してきた。

 今回発表されたのは、その45nm版。1つのダイにCPU(AM34-SMP)や3D対応のグラフィックス機能を統合したSoC(System on Chip)となっており、メディアプロセッサとしてUniPhierコアを搭載する。そのほか、メモリコントローラ、ストリームコントローラ、セキュア対応のインターフェイス(PCI、SDカード、HDD、光学ドライブなど)、A/V入出力、Ethernetなどを備える。

 搭載コーデックはH.264/VC-1/MPEG-2などで、フルHDの2画面同時デコード処理に対応。加えて、H.264では圧縮パラメータを最適化するアルゴリズムを採用し、従来のMPEG-2動画と比較して1/2~1/3のサイズに圧縮可能という。グラフィックス機能については、独自のエンジンを搭載し、高品位な画像縮小/拡大機能を備える。また、セキュア対応のマルチプロセッサにより、デジタル家電本体の機能を損なうことなくアプリケーション実行や複数コンテンツの伝送を可能にしたという。

 そのほか、ネットワーク向け機能として、映像視聴とPCの同時利用の際に品質を低下させないノウハウを組み込んだ。PLCの家庭内ネットワーク(実効帯域:30Mbps)で、HD品質の3番組同時伝送とPCでのネットワーク利用の両立を実現したという。

UniPhierの特徴 UniPhierの構成
H.264に対応したことでHD映像を効率的に伝送可能になった PLCの家庭内ネットワークでHD品質の3番組とPCの同時利用が可能

●45nmプロセスでの量産を開始

富山県魚津市の工場

 また同日、パナソニックは、同LSIの量産を富山県魚津市の工場で開始したことを発表した。

 45nmプロセスの開発は、同社の垂直統合による強みを活かすとともに、ルネサステクノロジとの協業やIMECへ参画によって実現したという。主な技術的ポイントは「すり合わせ技術」による高い歩留まり/信頼性と、液浸リソグラフィに組み合わせた超解像技術の2つ。

 すり合わせ技術とは、システム/LSI/プロセスの仕様を紐付けて開発し、中心地と値を調整することで、完成品のブレを抑える技術。これにより、従来のプロセスと比較してスペックの許容幅が小さい45nmでも高い歩留まりを実現したとしている。同社 副社長 古池進氏は、「最初から高い歩留まりが出ており、世界のトップだと自負している」と自信を見せた。

 また、45nmの微細加工を実現するために、液浸リソグラフィに同社独自の超解像技術を組み合わせ、コンタクトホールを縮小した。これは、コントラストを強めることでマスクを縮小し、コンタクトホール径とゲート長を縮小する技術。同技術により低消費電力のまま高集積化を実現したという。ITRSロードマップと比較して、コンタクトホール径は77nmから60nmに、ゲート長は45nmから40nmへと縮小されている。

 そのほか、微細化において高速化と低消費電力化を両立するゆがみ導入高移動度トランジスタと、Low-k層間絶縁膜を用いた多層配線技術を導入している。

 45nmプロセスによるシステムLSIの主な仕様は、トランジスタ数が2億5,000万個、チップ面積が130nm製品の19%になり、ゲート密度は1,510kG/平方mm。消費電力は130nmの30%へと低減されている。

垂直統合のメリット 歩留まりを高めるすり合わせ技術 超解像マスクによるコンタクトホールの小型化
同社 副社長 古池進氏 20万倍に拡大した45nmプロセスと130nmプロセスの模型

●デジタル家電の統合を狙う

 同日開かれた発表会では、古池進氏がその狙いと取り組みを説明した。

 同氏は、UniPhierプラットフォームの狙いを、個別のプロダクトではなく、プロダクト群を横断する資産/価値の共有により、開発効率と品質を向上させることと説明。

 その例として、DTVやDVDレコーダ、Blu-Rayに旧モデルのUniPhierを搭載することで、開発環境を共通にし、ソフトウェア開発の手間を削減。これにより、開発効率を3倍にしたとアピール。

 そして、UniPhierが提供する価値については、家庭の内外でデジタル家電を連動させ、そのシナジーにより新しい「くらし価値」を創出し、単体の機能以上のものをネットワーク化することで提供していくと説明。そのデモとして、H.264によるHD動画のデコードや、携帯電話と家庭内TVでの同時動画視聴などの展示を行なった。

 現状については、「開発コストを相当にカットできており、新しい連携機能をいかに商品にするかが課題」とコメント。32nmについては、「マーケットが見えないということはない。大事なのはアプリケーションを考えることで、32nmには延長上としての必要なマーケットがある」とし、32nmプロセスへの意欲も見せた。

UniPhierのコンセプト ネットワークで統合することで新しい価値を提供 H.264をデコードした動画
ケータイと連動した画面表示のデモに利用されたプロトタイプ UniPhierに搭載されたグラフィックエンジンによる3DのGUI

□パナソニックのホームページ
http://panasonic.co.jp/
□ニュースリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn070619-1/jn070619-1.html
□関連記事
【2005年5月19日】Spring Processor Forum 2005レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0519/spf02.htm

(2007年6月19日)

[Reported by matuyama@impress.co.jp]

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