パナソニックの「Let'snote Y7 CF-Y7AWDBJR」(以下Let'snote Y7)は、14.1型液晶を搭載した2スピンドルモバイルノートPCだ。Let'snoteシリーズは、携帯性に優れ、バッテリ駆動時間が長く、筐体が丈夫なモバイルノートPCとして人気がある。Let'snote Y7は、Let'snoteシリーズの中で唯一、コードネームSanta Rosaと呼ばれていた新Centrino Duoプロセッサー・テクノロジーを採用した製品であり、高いパフォーマンスを実現していることが魅力だ。 筐体の基本的なデザインは春モデルのLet'snote Y5と同じだが、数字が2つ増えて、Y7になっていることからもわかるように(他のLet'snoteシリーズは、6または5)、フルモデルチェンジといってよいだろう。 Let'snote Y7では、Let'snoteシリーズ伝統のボンネット構造を採用。天板への100kgfの加圧振動試験や非動作時30cmの落下試験(26方向)をクリアするなど、高い堅牢性を誇る。筆者は、Yシリーズの初代機であるLet'snote Y2を愛用していたが、Y2の天板は強く押すとペコペコへこむ感じがあった。しかし、Let'snote Y7では、天板の強度が上がり(Y5でも同じだが)、そうしたことはなくなっている。 重量は約1,520gで、Let'snote Y5(約1,490g)に比べて30gほど重くなっているが、手で持って違いがわかるほどの差ではない。14.1型液晶搭載の2スピンドルモバイルノートPCとしては、トップレベルの軽さである。 Let'snote Y7では、CPUとして、最新のCore 2 Duo L7300(1.40GHz)を搭載。新Centrino Duoでは、FSBが従来の667MHzから800MHzに向上しているほか、プロセッサの省電力機能なども強化されている。チップセットはグラフィックス統合型のIntel GM965 Expressで、Intel 945GMS Expressを搭載していたLet'snote Y5に比べて、3D描画性能が大きく向上している。 また、Let'snote Y5では、標準搭載メモリが512MBと少なく、Vistaを快適に動かすにはメモリ増設が必須であったが、Let'snote Y7では標準搭載メモリが1GBに倍増し、メモリを増設しなくとも、プリインストールOSのVista Businessを快適に利用できるようになった。ただし、メモリはオンボードで1GB搭載されているのではなく、オンボード512MB+512MB MicroDIMMという構成なので、メモリスロット(MicroDIMMスロット)が埋まっていることに注意が必要だ。メモリをさらに増設したい場合、512MBを外して1GBを装着することになるため、512MB分が無駄になってしまうし、最大容量が1.5GBまでとなる。 ただし、直販サイトの「マイレッツ倶楽部」では、オンボード1GBモデルを選ぶことも可能だ。オンボード1GBモデルなら、メモリを無駄にせずに2GBまでの増設が可能なので、多くのメモリを搭載したいという人は、マイレッツ倶楽部専用モデルの購入をお勧めする。 HDDは2.5インチ80GBを搭載。容量は一般的だが、HDDについても、マイレッツ倶楽部では160GBモデルが用意されている。HDDの周囲には衝撃緩衝材が貼られており、耐衝撃性を高めている。 光学ドライブとして、DVDスーパーマルチドライブを搭載。独自のシェルドライブを採用しており、トレイを引き出すスペースが不要なほか、軽量化にも貢献している。ただし、2層メディア(DVD±R DL)への書き込みや、DVD-R DLの読み込みには対応していない(DVD+R DLの読み込みには対応) 。
●キーボード全面防滴を実現 Let'snote Y7のウリの1つに、キーボード全面防滴を実現していることが挙げられる。キーボードに水をこぼしても、PC内部へ水が浸入せず、底面の水抜き穴から抜ける構造になっている。TOUGHBOOKのように、ボディ全てが防水防滴仕様になっているわけではないし、水をこぼしても壊れないことが保証されているわけでもないが、一般的なノートPCに比べればより安心して利用できる。 筐体が大きいため、キーピッチは19mmと余裕があり、キー配列も標準的である。キーストロークは2.6mmとやや深めで、クリック感も良好だ。ポインティングデバイスとして、Let'snoteシリーズではお馴染みのホイールパッドを採用。周囲をなぞることで、連続的なスクロール操作が可能である。ただし、左右のクリックボタンが離れているので、人によっては違和感を感じるかもしれない。
●SXGA+表示対応の14.1型液晶を搭載 モバイルノートPCとしては大型の14.1型液晶を搭載。解像度はSXGA+(1,400×1,050ドット)で、XGA液晶に比べて一度に表示できる情報量は約1.87倍になる。複数のウィンドウを開いても快適に作業が可能だ。また、ノングレアタイプなので、外光の映り込みが少なく、長時間作業を行なっても目の疲れが少ない。 インターフェイスとして、USB 2.0×2、ミニD-Sub15ピン、LAN、モデムなどのほか、ミニポートリプリケータコネクタも用意されている。コネクタ類にはカバーが付いていないが、モバイルでの利用を考えると、この方が便利だ。オプションのミニポートリプリケーターには、USB 2.0×4、ミニD-Sub15ピン、LANが用意されており、複数の周辺機器を一度に着脱できる。 カードスロットとして、PCカードスロットとSDメモリーカードスロットを搭載。SDカードスロットは、4GB以上のSDHCメモリーカードをサポートするほか、著作権保護技術やWindows ReadyBoostにも対応する。PCカードスロットのフタは内側に倒れ込むようになっているので、紛失する恐れがない。 無線LANモジュールとして、最新のWireless Wi-Fi Link 4965AGNを搭載するが、IEEE 802.11nドラフトには対応していないのは残念だ。無線LANスイッチが本体前面に用意されており、ワンタッチで無線LANの有効/無効を切り替えられるので、飛行機の中など、電波を発することが禁じられている場所で使う際にも便利だ。
●公称約7.5時間のバッテリ駆動時間を実現 Let'snoteシリーズは、バッテリ駆動時間が長いことでも定評がある。Let'snote Y7のバッテリ駆動時間は約7.5時間で、Let'snote Y5の約8.5時間に比べて1時間短くなっているが、プラットフォームが一新され、パフォーマンスが向上していることを考えれば納得できる範囲だ。従来通り、バッテリの充電を80%にとどめることで、バッテリのサイクル寿命を約1.5倍に延ばす「エコノミーモード」も搭載している。ACアダプタは、他のLet'snoteシリーズのものに比べれば一回り大きいが、重量は約276g(ケーブル込み、実測値)であり、携帯性は十分である。
●高性能なモバイルノートPCが欲しい人にお勧め 参考のために、ベンチマークテストを行なってみた。利用したソフトは、Futuremarkの「PCMark05(Build 1.2.0)」と「3DMark06(Build 1.1.0)」の2種類だ。また、Windows Vistaのパフォーマンス評価(Windowsエクスペリエンスインデックス)の結果も加えてある。省電力設定は「高パフォーマンス」モードにして行なった。比較対象用に、VAIO type T VGN-TZ90SとLOOX P70U/Vの結果もあわせて掲載している。 結果は表にまとめた通りだ。Core 2 Duo U7600を搭載しているVAIO type T VGN-TZ90Sに比べて、CPUクロックが高いため、PCMark05のCPU Scoreも上回っている。また、Intel 945GMSに比べて、チップセットのグラフィックス性能が向上しているため、PCMark05のGraphics Scoreや3DMark06のスコアも大きく上回っている。Windowsエクスペリエンスインデックスも、一番低いグラフィックスのスコアが「3.1」であり、重さ1.5kg台のモバイルノートPCとしてはトップレベルのパフォーマンスを実現している。
【表】ベンチマーク結果
Let'snote Y7は、外観は春モデルのLet'snote Y5とほとんど変わらないが、新Centrino Duoを採用し、中身は大きく進化している。チップセットのグラフィックス性能が向上したため、Windows Aeroも快適に動作する。液晶の解像度が高いのでメインマシンとしての利用にも向いている。高性能なモバイルノートPCが欲しいという人にお勧めしたい。 □パナソニックのホームページ (2007年6月13日) [Reported by 石井英男]
【PC Watchホームページ】
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