【DDR3編】
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ElixirのDDR3 SDRAMモジュール展示コーナー。メモリメーカー各社が揃ってDDR3 SDRAMモジュールを展示した |
会期:6月5日~9日
会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/2/3
Taipei International Convention Center
●DDR3 SDRAMのオーバークロックデモで各社が競う
今年のCOMPUTEX TAIPAIに合わせて、Intel P35/G33といったDDR3 SDRAMを搭載するマザーボードがローンチされるスケジュールであったことから、会場内のメモリメーカーは軒並みDDR3 SDRAMモジュールを展示。オーバークロックデモを行なうメーカーも非常に多く、米系のオーバークロックメモリをリリースするメーカーを中心に、オーバークロック競争の雰囲気を呈している。
そのなかで、最高速をマークしたのがTeam Group。ThermalRightのメモリヒートシンクを搭載した「Xtreem DDRIII」を利用して2GHz(1GHz DDR)の動作を達成。レイテンシは9-9-9-20で、動作電圧は2.1V。ちなみに、この2GHz動作は、DDR3-1333モジュールなどをオーバークロックしたわけではなく、DDR3-2000として販売されるモジュールでの動作によるもので、製品にとっては定格動作となる。
同じく2GHz動作を達成したのが、Corsair Memoryである。こちらは、同社のDominatorシリーズによるオーバークロック動作デモとなる。レイテンシは10-10-10-24とTeam Groupに一歩及ばない結果であるが、動作電圧は2.0Vと低く抑えられているそうだ。また、同社ではXMS3シリーズを利用した、1,333MHz/8-6-6-18という低レンテンシ動作のデモも実施していた。
そのほかのメーカーはおおよそ1.5GHz前後の動作デモとなっているが、ちょっと印象的なコメントを残したのがKingstonである。同社ブースでは1.4GHz/7-7-7-20の動作デモを見ることができたが、同社では「より高速な動作は可能だが、それをやるとレイテンシを上げざるを得ない。でも、それをやっても、それほどのパフォーマンス向上は見込めず、今回はこのクロックとメモリパラメータのデモを行なっている。今後はレイテンシは増さないようクロックを上げていきたい」と述べた。
それは一理ある話で、2GHz動作(1GHz DDR)の10クロックと、1.4GHz(700MHz DDR)の7クロックは、実時間に換算すると10nsで同じレイテンシとなる。少なくともレイテンシが増しているわけではないので、2GHz/CL=10などに意味がないわけではないが、PCのメインメモリのような用途では、これ以上のオーバークロックで劇的な改善を望むのが難しいだろうし、それによってメモリに負担をかけることになるならば適度なバランスに抑えようという姿勢も理解できる。
COMPUTEXのようなショー会場では、より速いデモや、大きな数字を出したほうが、当然ながら注目されやすい。オーバークロックデモなどでは、多少無理をしてでも高いクロックで動作させようとするのが一般的で、こうした姿勢は珍しい。
A-DATAはVitesta Extreme Editionにラインナップされるモジュールを利用したデモ | A-DATAのデモ機におけるCPU-Zの結果。1,452MHz/9-9-9-27での動作となっている | G.SKILLのデモ機。DDR3-1066モジュールを利用 |
G.SKILLのデモ機におけるCPU-Zの結果。1,610MHz/8-8-8-22で動作 | GeILのデモ機も、DDR3-1066モジュールを利用したもの | GeILのデモ機におけるCPU-Zの結果。約1,500MHz/6-7-6-20で動作。レイテンシの低さが特徴的 |
Winchipのデモ機。独特のヒートスプレッダを装着したDDR3-1066を使用 | Winchipのデモ機におけるCPU-Zの結果。1,600MHzとクロックは高めだが、10-10-10-20とレイテンシは長めの設定 |
●各社が展示したDDR3 SDRAMを一挙紹介
ここでは、各社のDDR3 SDRAMを一挙に紹介していきたい。多くのメーカーはDDR3-1066とDDR3-1333の両方を展示しており、CAS Latencyは前者が”7”、後者が”8”または”9”といったところ。また、動作デモこそ実施されていないものの、オーバークロック用メモリモジュールを展示するメーカーも散見される。そもそも早期にDDR3 SDRAMを導入しようと考えるユーザーの多くはエンスージアストであろうし、オーバークロック版のニーズは低くないのかも知れない。
なお、今回展示した製品はすべてが量産製品というわけではない。ほとんどは量産を開始しているとしているものの、一部メーカーは、この第3四半期から開始するとした。
また、DDR3-1066のSO-DIMMもいくつか展示がみられた。こちらはDIMMとは異なり対応チップセットが現状では登場していない。インテルから来年登場予定の、Penrynを採用するプラットフォームとなるMontevinaではDDR3をサポートすることになっており、こちらを待つ格好となる。量産は各メーカーとも今年第3四半期~来年となっており、実際に利用されるのは、もう少し先の話となる。
KingstonのDDR3 SDRAMモジュール。上からDDR3-1066(CL=7)、DDR3-1333(CL=8)、SO-DIMM DDR3-1066(CL=7) | KINGMAXのDDR3-1333 DIMM。2GBと1GBが展示されていたが、いずれもモックアップ | QimondaのDDR3-800(CL=5)モジュール。会場内では数少ないDDR3-800モジュール |
QimondaのDDR3-1066(CL=7) SO-DIMM。容量は512MB | このSO-DIMMモジュールはワーキングサンプルで、DIMMアダプタを利用した動作デモも実施されていた | こちらはQimondaブースで展示された、ASUSTeKのマザーボードにオンボード実装した製品の動作デモ |
SUPER TALENTで展示されたDDR3-1333モジュール。これはオーバークロック向けの製品で1,500MHzまで動作するとした。このほか、一般用途向けのDDR3-1333/1066モジュールも展示された | SUPER TALENTが展示したDDR3-1066(CL=7)のSO-DIMM | A-DATAのDDR3-1066モジュール。とくにオーバークロック向けではないが、CL=6と高速な製品 |
TwinMOSのDDR3-1333(CL=9)モジュール | TrancendのDDR3-1333(CL=8)モジュール。DDR3-1066(CL=7)モジュールも展示されている | ApacerのDDR3-1600(CL=9)モジュール。動作電圧は低格の1.5Vとされている |
ElixirのDDR3 DIMM。DDR3-1333/9-9-9、DDR3-1066/6-6-6、DDR3-1066/7-7-7が展示されている | ElixirのDDR3-1066(7-7-7)のSO-DIMM |
□COMPUTEX TAIPEIのホームページ(英文)
http://www.computextaipei.com.tw/
(2007年6月7日)
[Reported by 多和田新也]