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AMD、「R600」ことDirectX 10対応GPU
「Radeon HD 2000」シリーズ
~320ストリームプロセッサ搭載、HDMIオーディオ対応

Radeon HD 2900 XT

5月14日 発表



 日本AMD株式会社は14日、DirectX 10に対応するGPU「Radeon HD 2000」シリーズを発表した。デスクトップ向けとモバイル向けの両方がラインナップされる。

 Xbox 360に搭載されている「Xenos」をベースとした同社第2世代のDirectX 10対応統合シェーダ型GPU。製品ブランドは、これまでのRadeon Xから、「HDコンテンツ」や「High Demand」を示唆するRadeon HDに変更された。

 デスクトップ向けには、ハイエンド/ゲーマー向けの「Radeon HD 2900 XT」、ミッドレンジ向けの「Radeon HD 2600 XT/PRO」、バリュー向けの「Radeon HD 2400 XT/PRO」の3シリーズ/5モデルが用意。実売価格は、HD 2900シリーズが399ドル前後、HD 2600シリーズが99~199ドル前後、HD 2400シリーズが99ドル以下となる。国内での発売はHD 2900 XTが即日で、残りは6月中旬から下旬。

Radeon HD 2600 XT Radeon HD 2600 PRO
Radeon HD 2400 XT Radeon HD 2400 PRO

シェーダプロセッサの構造

 核となる統合シェーダは、1つの分岐実行ユニットと、32bit浮動小数点精度を持つ5つの並列ALU、1つの共有汎用レジスタを内蔵した5wayのスーパースカラシェーダプロセッサ構造を採用。同社ではこのALUを全て「ストリーミングプロセシングユニット(SPU)」と呼んでいるが、5個の内4つのSPUは乗加算命令専用で、残りの1つのSPUは、SIN/COS/LOGなど、超越命令も扱うことができる。

 Radeon HD 2900シリーズは、このSPU 80個で1つのSIMDアレイを形成し、計320 SPU(4 SIMDアレイ)、HD 2600シリーズは120 SPU(3 SIMDアレイ)、HD 2400シリーズは40 SPU(1 SIMDアレイ)を内蔵する。

 レンダーバックエンドとテクスチャユニットは、HD 2900がそれぞれ16基/16基、HD 2600が4基/8基、HD 2400が4基/4基。また、HD 2900とHD 2600は、バーテックスキャッシュ、L1テクスチャキャッシュ、L2テクスチャキャッシュを、HD 2400はバーテックス/テクスチャ共有型キャッシュを内蔵する。

Radeon HD 2900のブロックダイヤグラム Radeon HD 2600のブロックダイヤグラム Radeon HD 2400のブロックダイヤグラム

 共通の独自機能として、セットアップエンジン内にハードウェアテッセレータを内蔵。単純なジオメトリのモデルをテッセレートすることでジオメトリの複雑さを増し、ディスプレースメントマッピングを施すことで、見た目の精細さを維持しながら、データ量を軽減できる。同社の資料では128万トライアングルのシーンを840トライアングルにまで減らし、フレームレート/レンダリング時間を354fps/2.82msから、821.41fps/1.2msにできるという。なお、現在のDirectX 9/10ではテッセレーションをサポートしていないが、将来のバージョンで対応予定となっている。

 アンチエイリアス(AA)について、最大8xのMSAA(Multi-Sample AA)に加え、新たに最大24xのCustom Filter Anti-Aliasing (CFAA)と呼ばれる手法を採用。従来のボックスフィルタと異なり、ピクセルの外接円でサンプリングを行なうテントフィルタにより、AAの精度を高めているという。このフィルタリングはドライバのアップデートでカスタマイズ/画質向上できるほか、こちらも将来のバージョンのDirectXでサポートされる予定。

テッセレーションとディスプレースメントマッピングの利用により、見た目をほとんど変えず、ポリゴン数を大幅に減らせる 従来のボックスフィルタのMSAA
テントフィルタを使ったCFAA CFAAとMSAAによる画質比較

 プロセスルールはHD 2900シリーズが80nmで、HD 2600/2400シリーズはGPUで初となる65nmを採用。トランジスタ数は、順に7億、3億9千万、1億8千万。コアクロックは、HD 2900 XTが742MHz、HD 2600 XTが800MHz、HD 2600 PROが600MHz、HD 2400 XTが700MHz、HD 2400 PROが525MHz。TDPはHD 2900が200W以上、HD 2600が45W、2400が25W以下。Radeon HD 2900 XTの性能は475GFLOPSに達するという。

Radeon HD 2900 XTのメモリインターフェイスの構造

 メモリインターフェイスは、Radeon Xシリーズがクロスバーとリングバスを併用したハイブリッド方式だったのに対し、完全なリングバス方式となった。

 メモリ容量および種類、バス幅は、HD 2900シリーズが512MB/GDDR3/512bit、HD 2600シリーズが256MB/GDDR4/GDDR3/DDR2/128bit、HD 2400シリーズが256MB/GDDR3/DDR2/64bitに対応。クロックはHD 2900 XTが1.65GHz、HD 2600 XTが2.2GHz、HD 2600 PROが800MHz、HD 2400 XTが1.6GHz、HD 2400 PROが800MHz。HD 2900 XTのメモリバンド幅は106GB/secに達する。

対応メモリ
製品
2900 XT 2600 XT 2600 PRO 2400 XT 2400 PRO
バス幅
512bit
128bit
64bit
種類
GDDR3
GDDR4/GDDR3/DDR2
GDDR3/DDR2
クロック
1.65GHz
2.2GHz
800MHz
1.6GHz
800MHz

最大容量

512MB
256MB

 動画高画質化機能は、UVD(Universal Video Decoder)を搭載した「Avivo HD」に進化。Radeon Xシリーズが、トランスフォーム/ピクセル予測/デブロッキングまでのハードウェアアクセラレーションだったのに対し、ビットストリーム処理/エントロピーデコードにも対応。

 処理内容は、NVIDIAの第2世代PureVideo HDと同等だが、PureVideo HDのビットストリーム処理がH.264のみの対応となるのに対し、UVDはVC-1にも対応。また、ビットストリームプロセッサはUVDに内蔵される(PureVideo HDでは外付け)。これにより、HD DVD/Blu-rayビデオ再生時のCPU負荷は10%程度になるという。ただし、初期ドライバはUVDに対応せず、将来のドライバで対応する。

 非常にユニークな機能として、GPUでありながら、オーディオコントローラも内蔵。カードに付属のDVI→HDMI変換アダプタを使うことで、HDMI経由でHDCP保護されたビデオ信号に加え、5.1chデジタルオーディオ信号も出力できる。

Radeon HD 2000シリーズはビットストリーム処理もAvivo HDでハードウェア処理 第2世代のPureVideo HDと違い、VC-1にも対応 GPUにオーディオコントローラを内蔵し、付属のHDMIアダプタでオーディオ信号も出力できる

 インターフェイスは、5モデルともPCI Express x16で、Native CrossFire対応。HD 2400 PROは内部コネクタなしでも2枚構成ができる。

 モバイル向けは、Radeon HD 2600 XT、HD 2600、HD 2400 XT、HD 2400、HD 2300の5モデルがラインナップ。いずれも65nmプロセス、ハードウェア管理のスロットリング機構、コア/メモリクロック調整、コア電圧調整、クロックゲーティングなどにより、前世代の同クラス製品と比較して3割近く低消費電力化。いずれのモデルもUVD対応のAvivo HDを搭載する。なお、HD 2300のみ、DirectX 9対応となる。

□日本AMDのホームページ
http://www.amd.co.jp/

(2007年5月14日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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