日本HP、デザインへの取り組みを説明
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3月27日 開催
パーソナルシステムズグループ ノートブックデザインディレクター ステイシー・ウルフ氏 |
同イベントは、2012年までに特定の機能を備えたデバイスを常時接続で使用可能にするというビジョンを表現するもので、「テクノロジを簡単にする」というコンセプトに基づいている。そのビジョンに合わせて、デザインのコンセプトモデルや同社のデザイン哲学について紹介した。
●テクノロジを簡単にするHP
紹介された9つのコンセプトモデル |
米Hewlett-Packard パーソナルシステムズグループ ノートブックデザインディレクター ステイシー・ウルフ氏は、デモを通してコンセプトモデルの紹介を行なった。デモは未来のデジタルライフの一日を追いかけ、その都度デバイスを紹介する形で行なわれた。
紹介されたのは以下の9製品。いずれもデザインのコンセプトを実現したモックアップで、製品化の予定はないとしている。
・ウォッチ・ワイヤレスゲートウェイ/ハブ
腕時計型のワイヤレスゲートウェイで、スリーブがスライドして情報表示が可能なほか、他のデバイスを利用する際のIDやHubとして機能する。
ウォッチ・ワイヤレスゲートウェイ/ハブ。ワイヤレス機能を一元化し、将来的に各種デバイスからワイヤレス機能を取り除くことを想定 |
・メディアマット
フレキシブルな素材を利用したスクリーン。ノートPCなどと異なり、共有可能でオープンな形でリビングで利用されることを想定している。Webやビデオ、メールの閲覧などが可能。
リビングなどでオープンなスクリーンとしての利用を想定したほか、折り曲げて持ち運びも可能になっている |
・タブレットPC
スレッド板のようなタブレットPC。シンクライアント型となり、メモリ/ストレージを分離してデバイスを軽量薄型化し、バッテリの寿命を向上させる。パーソナルな情報閲覧などを想定したという。
・シンクライアント型ノートPC
コンバーチブルタイプのノートPCで、在宅ワークなどでの利用も想定する。単なるタイピング用のインターフェイスではなく、ゲームのコンソールやメディアミックスなども可能になる、多目的なデバイスになるという。
パーソナルな情報閲覧やビデオなどの鑑賞を目的とした端末 | シンクライアント型ノートPC |
・デジタルペン
ペンで書いた物が記憶され、PCに接続することで書いた情報を保存/閲覧可能になる。これはインクのアナロジー(比喩)となっており、LEDの減少がデータの増加を示す。
・コーヒーテーブル
シンクライアントを天面の溝へ、ペンを天面の穴へ差し込むことでデータをロードし、大型ディスプレイとして機能する。
デジタルペンで書いたことをそのままPCに転送可能。また側面のLEDがデータ量を示す | コミュニケーションの場として機能するコーヒーテーブル |
・音声通話用端末
音声による起動と操作が可能な音声通話端末。イヤーピース型となっている。
・デジタルウォレット
現在のPDAと同様の機能となっており、折り畳みが可能な小型デバイス。各種決済が可能なほか、電子的な小切手にもなり、その履歴などの記録を想定した
・スマートシェルフ
デバイスの充電や情報の映像出力が可能なベース。右下の装置から壁へと映像を投影できる。家庭内キオスク端末のような役割を果たす。
イヤーピース型の音声通信端末 | 折り畳み可能なデジタルウォレット | 家庭内ネットワークの中心になるスマートシェルフ |
同氏は、「これらはHPのビジョンを紹介するもの。その目的はHPが成長をするにあたり、世界のユーザーに強力なデザインを提供するための展望をもつのが狙い」と説明。
その例としてワイヤレスの一元化を挙げ、ユーザーの利便性を向上させるとともに、各デバイスからワイヤレス接続のモジュールを取り除くことで製品の小型化を行なう。将来的には、非使用時にコンテンツのダウンロードや充電を自動的に行なうようになるというビジョンを説明した。
●ファッションとテクノロジの融合を目指すFASHTRONICA
また、同氏はデザインへの取り組みについて説明。
同社のデザインチームは、西欧だけではなく台湾や韓国などアジアや、ラテンアメリカからのデザイナもいる国際的なチームとなっており、世界のトレンドとデザインのリサーチを元にデザインを行なっているという。
そのアプローチとしてコンシューマ向け製品には、まず第1に製品の外観(Gesture)がユーザーを引き込むものであるか、第2にシンプルで使いやすいか、第3に魔法のような使い勝手、の3点を挙げる。また、ビジネス向けには第1にユーティリティや標準化、第2に耐久性/堅牢性、第3にシンプルで使いやすいことを挙げる。
国際的なデザインチームの顔ぶれ | デザインのゴール |
それらの具体的な成果として、コンシューマ向けの「Pavilion dv6100」では、imprint技術による特殊光沢塗装でファッションとテクノロジの融合させたデザインとしたほか、筐体のエッジをカットすることで見た目に薄いフォルムとしたという。
また、ビジネス向けでは、将来的にビジネス向けをエントリー(個人)とSMB(中小企業)、エンタープライズの3セグメントへと分割し、それぞれの市場に適した製品を提供していくという。ビジネス向けで重要なのは、セキュリティ/信頼性/使い勝手の3点がある。セキュリティについてはソフト/ハードの両面からの保護を行ない、信頼性についてはマグネシウム合金のフレームやimprint技術による耐久性を提供し、キーボードにはDuraKeyによるミリタリーレベルのプリントの耐久性を実現したという。
また、使い勝手については、バックライト付きの電源ボタンや、インターフェイスのアイコン表示を側面と天面に行なって見やすくした。加えて人間工学に基づき、キーボードに2度の傾斜を付けて負担を抑えたほか、アジャスタブルスタンドで5~95%の体型に対応するデザインとした。
同氏は今後について、「HPはトレンドについて注視しており、HPは現在最適な位置にいないと認識している。ゴールは、時間軸を超えたデザインとともに機能性も高い製品を提供していく」と抱負を述べた。
imprintテクノロジによる特殊光沢塗装 | 筐体のエッジをカットすることで見た目に薄いフォルムに | ビジネス向けは3セグメントに分割していく |
セキュリティ/信頼性/使い勝手の3点が重視 | 時間軸を超えたデザインとともに機能性も高い製品を提供していく |
□日本HPのホームページ
http://welcome.hp.com/country/jp/ja/
(2007年3月27日)
[Reported by matuyama@impress.co.jp]