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マイクロソフト、学生向けイベント
「The Student Day 2007」開催

3月25日 開催



 マイクロソフト株式会社は25日、ITやプログラミングに興味をもつ学生を対象に、学生の持つ可能性を引き出すためのイベント「The Student Day 2007」(ザ スチューデントデイ)を開催した。

 同イベントは2004年から開催され、今回が4回目となる。今回は初めて関西地区で開催となり、大阪府大阪市北区にあるコンピュータ総合学園HAL大阪が会場となった。

 マイクロソフトでは、このイベント開催の狙いを次のように説明する。

 「自分達と同じ学生がソフト開発に取り組んでいる姿を見せることで、自ら情報発信を行なう学生を増やしていくことが狙い」

 その狙いを受け、会場では学生向けコンテンストの入賞作品、世界の学生を対象としたマイクロソフト主催の世界規模のIT技術コンテスト「The Imagine Cup 2007」ソフトウェアデザイン部門の日本代表選出プレゼンテーション、日本の最先端技術を紹介するセッションなどが開催された。

 このイベントの中心となる、「The Imagine Cup 2007」ソフトウェアデザイン部門の日本代表選出プレゼンテーションは、事前に予選で選ばれた上位3チームがプレゼンテーションを行なった。

 The Imagine Cupには9つの部門があるが、ソフトウェアデザイン部門以外の部門は全世界から集まった作品をインターネット上で審査し、最終決戦に残ったチームのみが本選大会に招かれる。ソフトウェアデザイン部門だけは、各国の代表に選ばれた全41チームが、決戦大会が開かれる国に招かれ、プレゼンテーションを現地で行ない、ファーストラウンドで12チームに絞られる。さらに、セカンドラウンドで6チームに絞り込まれ、その中から優勝チームが選ばれる。2007年は8月に韓国で世界大会が開催される。

 2007年の日本代表のプレゼンテーションを前に、2006年、インドで開催された世界大会に参加し、全世界で第6位に選ばれた日本代表「Project Docterra」の、世界大会での戦いの様子を収めたビデオが上映された。

2006年のThe Imagine Cup世界大会に出場した中山氏は、世界大会を経験したからこそ感じた体験談が語られた

 その後、Project Docterraのチームリーダーだった中山浩太郎氏が登場。実は中山氏は3年連続で世界大会に進出した強者だが、それでも世界大会の壁は高く、最初の2回はファイナルラウンドまで進出することができなかった。3回目となった2006年は、「なんとしてもファイナルラウンドに進出したい」という意気込みで世界大会に臨んだ。

 「世界大会に参加して感じたのは、日本の学生と世界の学生との違い。最も大きく違うのはプレゼンテーションスキル。日本の学生はプレゼンテーション能力を問われることはほとんどないが、世界各国の学生は自分の作ったソフトを、パッションを持ってプレゼンをしている。どうやったら人にものを伝えることができるのか、それだけの英語力を身につけなければならないと痛感した。ただし、世界大会に出てみて、自分にもいいところがあるということも発見できた。普通の学生生活を送っているだけでは、体験できないことを体験する場でもあり、チャレンジ精神を持って物事を進めていくことの大切さを痛感する機会ともなった」

 2007年度のThe Imagine Cupは、「教育」をテーマとしている。日本代表最終選考に選ばれたのは、北海道大学大学院の学生3人と、放送大学の混成チーム「SAPPORO2丁目」が製作したカウンセラー教育支援システム「ラポール」、電気通信大学と東京工科大学の学生2人組が製作した「Teaching Mileage」、北海道大学大学院の学生4人組「Team Someday」が製作したデジタルノートシステム「LinQ」。

 「ラポール」は、対面ではなくチャットでカウンセリングを行ない、その際に登場する言葉を形態素解析して、相手の心理状態を掴んで適切なカウンセリングに導いていくシステム。プレゼンテーション終了後、審査員からは「実際のカウンセリングの場で、どれくらい利用してもらっているのか?」といった現場での活用を問う質問が出た。

SAPPORO2丁目の作品ラポールは、チャットを活用して、登場する語句を形態素解析し、相談者の心理状態を数値化。相手がどんなことを考えているのかをカウンセラーが把握しやすいようにする

 「Teaching Mileage」は、授業でわからないことがあった場合、先生ではなく、学生同士で質問をしあい、教えてもらった学生が、教えてくれた相手にマイレージをプレゼント。そのマイレージを就職や進学の際に考慮してもらう素材として活用していくというシステム。審査員からは、「会社でも教える人は決まってしまう傾向にあるので、教えた人を報いるという意味では面白いシステム。ただ、ユーザーインターフェイス部分が貧弱なので、もっと充実を望みたい」といった意見が寄せられた。

EMENTが製作した「Teaching Mileage」は学生同士が授業でわからなかった部分を教え合い、お互いに授業への理解度を深めていくことを狙ったシステム。教えてくれた相手にマイルを付加する

 「LinQ」は、ペン入力システムを活用して、学生が授業中に重要だと思った項目や、わからない項目に記号をつけておくことで、授業が終わった後に自分がわからなかった部分や他の学生が重要だと感じた箇所を確認。授業の内容を復習していく際に役立てていくシステム。審査員からは、「記号によって、重要な部分を認識するといったことも重要だが、やはり言語認識システムを活用する方が望ましいのではないか」といった意見が出た。

優勝したTeam Somedayの「LinQ」は、授業中にとるノートにポイントだと思ったこと、わからなかったことを記号でメモ。メモをデータ化することで、重要ポイントがどこだったのかを確認できる

審査員のNHKエンタープライズ 開発センターのデジタル制作副部長の菊江賢治氏からTeam Somedayに対し、「世界大会までにもっと作品に磨きをかけて!」と厳しいエール

 3チームの中で世界大会に出場することが決まったのは、Team SomedayのLinQ。審査員を代表して、NHKエンタープライズ 開発センターのデジタル制作副部長の菊江賢治氏が、「3チーム接戦で、審査員によって意見も分かれたが、世界大会までにさらにバージョンアップしていって欲しいという期待を込めて、LinQを1位とした。教育はその国の文化に依るところが大きく、ノートをとるという行為も実施している国も多いが、どう受け止められるか未知数な部分もある。ポテンシャルが大きいシステムであると思うので、世界大会までに、もう一息、磨きをかけてもらいたい」と総評を述べた。

 これを受けTeam Somedayのメンバーからも、「審査員の皆さんから指摘された課題は、僕ら自身の中でもあがっていた内容でもある。プログラムだけでなく、コンセプトもさらにステップアップさせて、2006年の世界大会で中山さん達が現場でステップアップしていったように、チーム一丸となって頑張りたい」という感想が挙がった。

 会場では、展示コーナーに全国高等専門学校プログラミングコンテストの優秀作品、日本学生 科学賞の文部科学大臣賞受賞作品、またマイクロソフトの最新ソフト、サービスを紹介する展示コーナーが設けられた。

展示会場には、全国高等専門学校プログラミングコンテストの優秀作品、日本学生 科学賞の文部科学大臣賞受賞作品が展示され、製作した学生自身が来場者に仕組みや作品のコンセプトを紹介していた

 最新技術を紹介するセッションは、ロボット、コンピュータグラフィックス、ユビキタス、ゲーム開発、モバイル開発などのテーマで行なわれた。テーマによっては、開催前から申込者殺到で満員となるものも出ていた。

 マイクロソフトでは、さらに学生を支援していくために学生主催の勉強会、セミナーを支援する「Microsoft Student Partner(MSP)」という新施策もスタートする。

 MSPに認定されると、最新テクノロジーに関する勉強会やセミナーを主催する学生に対し、Windows Vistaを搭載したPCの貸し出しや、会議室を借りるための費用などの支援を行なう。

 対象となるのは、5人以上の参加を見込める勉強会やセミナーを開催する学生で、開催した勉強会の回数、参加人数などの条件によってシルバー、ゴールドなどのメンバー認定を行なう。

 MSPに認定されるためには、3月26日から2007年の2月29日までに、必要事項を明記し、事務局宛にメールで申し込む。申し込みサイトは、http://www.microsoft.com/japan/academic/msp/2007/default.mspx

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□The Student Day 2007のページ
http://www.microsoft.com/japan/msdn/student/studentday/2007/
□関連記事
【2004年3月30日】マイクロソフト古川氏、学生支援イベントでPCの未来を語る
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0330/ms2.htm

(2007年3月26日)

[Reported by 三浦優子]

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