ご覧のようにボディはいたってシンプル。色はブラックとホワイトがあり、手元に届いたのは個人的に好みのホワイト。昔のCDラジカセのようにゴチャゴチャした感じは無く、人が近づくと赤外線センサーで感知し、バックライトなどが自動的に光るのもなかなか面白いギミックだ。21世紀版のラジオと言っても過言ではないだろう。スペック的には、
- IEEE 802.11b/g準拠の無線LAN
- 8cm×2chのスピーカーユニットを内蔵
- 128MBのメモリ内蔵
- デルタシグマ式デジタルアンプ内蔵(最大8W×2ch/バッテリ駆動時4W×2ch)
- 24bit DSP搭載
- アナログ入力、ライン出力、S/PDIF出力(角型)、ヘッドホン端子
- 再生対応フォーマットはATRAC3/3plus、MP3、リニアPCM(WAV)、WMA(WM DRMにも対応)、AAC。
- インターネットラジオ『live365.com』へダイレクト接続
- DLNAガイドライン(HNv1)に準拠し、DLNAサーバー上の楽曲ファイル再生にも対応
と、無線LANを使ったオーディオデバイスとしてはなかなか気合の入った内容となっている。特にS/PDIF出力があれば、外部にDACを接続できるので筆者的には興味をそそる。
24bit DSPは、D-ノーマライザ(ON/OFF)、D-バスブースト(ON/OFF)、エフェクト(OFF/6バンドイコライザ/VPTワイドステレオ/D-リニアフェーズ)などを処理している。各効果の説明は省略するが、実際試したところ、筆者的には全てOFFにし、6バンドイコライザ/カスタム設定で調整したのが一番好みの音だった。
操作パネル右側上段のスイッチは、PC/ネットラジオ/AUX/メモリ再生の切り替え。下段は再生やボリュームなど再生時のコントロール関連が並ぶ |
コネクタ1左から、USB、S/PDIF出力、ライン出力。USBは設定用であり、USBサウンドや内蔵メモリがストレージになるわけでは無い |
コネクタ2左からAUX入力、DCアダプタ端子となる。付属のDCアダプタは16V/4A出力だ。コネクタ1郡の向かって右側にある |
持ち運び用はじめは何なのか解らなかったが、どうやらこのように持って運ぶらしい。本体が傾くので持った時のバランスはイマイチ |
床面のバッテリー駆動ON/OFFスイッチバッテリー駆動で約4時間の再生ができる。ただ困るのはOFFにしてDC駆動、DCアダプタを外すと内蔵時計がリセットされてしまう |
付属品設定用のUSBケーブル、アクセスポイントアダプタ、リモコン。今時アクセスポイント用のアダプタは不要な様な気がするのだが |
この時点で気になる点があった。1つはタッチ式のパネル。みるみるうちに指紋などが付いてしまう。リモコン操作だけなら大丈夫なのだが、後述する問題があり、リモコンでは操作できない部分がありどうにもならない。2つ目は内蔵時計。バッテリ駆動をOFFにして、DCアダプタを外すと時間を忘れてしまう。PCのように小型の電池でバックアップし、更にNTPサーバーへ接続する機能を持つなど、今時の時計にして欲しいところだ。3つ目は音質。個人差はあると思うが、6バンドイコライザも含めDSP機能を全てOFFにした音はお世辞にも良いとは言えない音質だ。幸い8cmのフルレンジユニットは結構種類があるので、機会を見て交換しようかな、と思っている。
●セットアップは簡単だが運が悪いと難しくなる可能性も
セットアップ自体はWindows XP SP2とWindows Vistaに対応した『おまかせ設定CD-ROM』が付属し、簡単に設定できるようになっている。大きく分けるとパターンは接続方法で2つ、サーバーの種類で3つに分類される。まず接続方法は、
- 付属のワイヤレスアダプタを使う
- 既に使っているアクセスポイントなどを使う
前者は無線LANが無く、手持ちのPCからダイレクトにVGF-WA1へ飛ばしたい場合なのだが、一般的には既に無線LANを導入しているケースが多く、更にこのVGF-WA1を欲しいと思う人が、無線LANを使っていないのはまれだと思われる。従ってほとんどは後者となるだろう。次にサーバーの種類は、
- VAIO Media Integrated Server
- Windows Media Connect
- Windows Media Player 11
ここで1つ気を付けなければならないのはDRMだ。もし再生したい楽曲がDRMを使っている場合、サーバーを合わせる必要がある。筆者は普通のMP3が主なので何も考えずに(1)を選択した。また既にこの手のサーバーが動いている時は環境を考え選択することになるだろう。
おまかせ設定 1普段使っているプレーヤーと接続方法を設定する。プレーヤーは複数設定可能 |
おまかせ設定 2結構いろいろなソフトウェアがインストールされる。この後、USBケーブルを接続するよう、メッセージが表示される |
アクセスポイント接続 1SSIDを選択する。何故か筆者の事務所ではlivedoorの無線LANサービスの電波が入る |
アクセスポイント接続 2セキュリティの種類と暗号キーの設定。この後、DNSやDHCPなどの項目も表示される |
アクセスポイント接続 3USBケーブル経由でVGF-WA1のネットワーク設定が行なわれる |
設定終了全ての設定が終わると、Windowsの再起動が必要だ |
VAIO Media Integrated Server 1サーバーの起動/停止、公開するサーバー名を設定 |
VAIO Media Integrated Server 2サーバーへ接続できる機器などの設定/追加 |
VAIO Media Integrated Server 3ファイアウォールの設定。Windowsファイアウォールの設定にも影響するので注意が必要 |
ここで問題になるのはファイアウォールだ。Windowsファイアウォールはおまかせ設定CD-ROMのインストーラーが対応し、ポートなどを空けるが、もしウィルス監視ソフトに含まれる別のファイアウォールが動いている場合は、自分で設定することになる。また、他のPCにもインストールした時、環境が違い、こっちでは動いたのにこっちでは動かない何故? ということになってしまう可能性も考えられる。気が付けば大したことは無いにしても、ハマッてしまうとある程度ネットワークに詳しくないと難しいかも知れない。
●用途によって分かれる評価
このVGF-WA1、使い方によって評価が分かれると思われる。PC上やDLNAサーバー上にある音楽ライブラリ再生が主の人であれば現状の仕様で特に問題無くまさにラジオ感覚で楽しめる。逆に筆者のように、ネットラジオの再生が主の場合、残念ながら使えないという判断となる。言うまでもなく、放送局がlive365.comに固定されているからだ。普段聞いているネットラジオ局が再生できないのは致命的。仕方なくlive365.com内で好みの放送局を探すにしても有料会員にならない限り大した局数も無く、しかも多くは低ビットレートで音質が悪い。数局でいいのでプリセット可能にできないものだろうか? 操作性上パネルでの対応が難しいのなら、サーバー側で*.asxファイルを認識するようにし、128MBの内蔵メモリへ転送、*.asx内に書かれたURLをネットラジオとして再生するという方法でもいい。
またMP3再生時におかしな現象が発生している。PCで再生できるファイルが、VGF-WA1では「この曲は再生できません」と表示される。この時[OK]つまり[ENTER]ボタンを押さないと曲スキップなど次の操作ができないのだが、リモコンには[ENTER]に相当するボタンが無く、本体まで行き[ENTER]ボタンを押さなければならず面倒だ。どちらも改善して欲しい部分である。
エラー画面この[OK]はリモコンから押せないので、VGF-WA1本体の[ENTER]を押しに行く必要がある。 |
再生できない曲に*マーク*マークは再生できなかった曲だ。認識しているのであれば、リピートなど次回再生時にはスキップするようにして欲しい |
ネットラジオBB-Shoutアンプは内蔵していないものの、ネットラジオに関しては自由度が高い。S/PDIF出力が無いのが残念なところ |
さて、ネットラジオ機能の他に、例えばAirMac Expressのように無線LANを使ったサウンドデバイス機能があればサウンドはVGF-WA1の1台で全てまかなえる、USBから内蔵の128MBメモリがストレージクラスに見え、USBサウンドにも対応していれば更に便利、先に書いたNTPサーバーへアクセスし時間を合わす、HTTPサーバーを持ちウェブ・インターフェイスで設定や操作可能……など、このハードウェアを活かすようなソフトウェアがもっと欲しいところだ。加えて外部スピーカー端子やiPodとは言わないが、せめて同社のウォークマンとドッキングできるなど工夫があってもいいと思う。
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