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OCZ Summit 2006 APACにオーバークロックソリューションが集結
~ASUSTeK、GIGABYTEなどが未発表製品を紹介

OCZ Summit 2006 APACに参加した企業の代表者一同

12月7日 開催



 台湾の台北市内で開催中のOCZ Technologyによるプレスカンファレンス「OCZ Summit 2006 APAC」において、協賛各社がテクニカルセッションや製品のデモンストレーションを実施。この場において、2006年末から2007年にかけて各社が投入する予定の未発表製品が紹介された。

●ASUSTeKのIntel P965搭載ゲーマー向けマザー

ASUSTeK Product Manager, Product Marketing Dept., Game of Republicシリーズ統括のDerek Yu氏

 ASUSTeKのテクニカルセッションでは、ゲーマー向けブランド「ROG(Republic Of Gamers)」シリーズに関する特長を中心に紹介が行なわれた。すでに発売済みのSocket AM2向け製品「Crosshair」や、Core 2対応製品「Striker Extreme」に引き続き、2007年以降に「STRIKER」、「COMMANDO」の2製品を発売することを表明。COMMANDOは、2006年中の発表を目指して開発を進めており、製品の詳細紹介やデモが行なわれた。

 COMMANDOは、チップセットにIntel P965 Expressを搭載した製品で、固体コンデンサを使用した8フェーズのPWMや、オンボードに設けられたCMOSクリア等のスイッチ類、リアパネルのPOSTコード表示LCDといったROGシリーズの特徴を受け継いだ製品。

 同じくIntelプラットフォーム向け製品であるStriker ExtremeはNVIDIA SLIを利用したマルチGPUにフォーカスした製品。一方、COMMANDOはIntel P965 Expressを採用し、シングルGPU利用者にとってベストパフォーマンスを提供できる製品としている。ただし、2つのPCI Express x16スロットを備え、AMD(旧ATI)のCrossFireに対応できる。

 最近の製品としては珍しくPCIスロットを4本備えているのも特徴的で、その拡張性の高さもアピールしている。

 もちろん、ROGシリーズとしての強力なオーバークロック機能も備えており、FSBは2,280MHz、メモリは1,300MHz相当までオーバークロックする能力を持っている。

 オーバークロック機能に関しては、実際に製品を利用したデモも行なわれた。Core 2 Extreme X6800とOCZのFlex-XLC(空冷使用)を組み合わせた構成で、CPUコアクロックを326MHzまでオーバークロックし、CPUクロックは3.58GHz、メモリは1,304MHz相当での動作を披露した。この時の動作電圧は、コア1.45V、ノースブリッジ1.6V、メモリ2.5Vとなっていた。

 こうしたオーバークロック機能を設けることに対するASUSTeKのスタンスとして、Derek Yu氏は、「ユーザーが楽しめるためにこうした機能を提供しているのであり、あくまでユーザーのリスクで行なってもらう。オーバークロックに対する保証をASUSTeKとしては行なっていない」と述べている。また、こうしたオーバークロックの実績については、製品の個体差もあり、メーカーとして公表することは難しいそうで、従来通りユーザーの技術次第ということになる。ただし、ユーザーによる情報を公開できる場を、現在拡張中のROG特別サイト( http://rog.asus.com/ )に設けることも一考したいとしている。

2006年中の発表が予定されている、ROGシリーズのIntel P965 Express搭載製品「COMMANDO」 COMMANDOのオーバークロックデモのシステム。CPUにCore 2 Extreme X6800、メモリにFlex-XLC、ビデオカードにGeForce 7950 GX2を用い、いずれも空冷で利用している
BIOSのオーバークロック設定画面。この画面の下に、さらにメモリパラメータなどを設定できる項目が続く デモではFSBを1,304MHzまで引き上げ、CPUクロック3.58GHz、メモリ1,304MHz相当を達成した

●GIGABYTEが新冷却システム「Crazy Cool」搭載製品をアナウンス

GIGABYTE Product Manager, Marketing DivisionのRockson Chiang氏

 GIGABYTEのテクニカルセッションにおいては、まず最初のトピックとして、固体コンデンサの優位性について紹介があった。同社製品は、Intel 965 Expressシリーズ搭載製品の世代から、PWMに利用するすべてのコンデンサを固体コンデンサに切り替えた。

 固体コンデンサと従来の非固体コンデンサの耐久性を、さまざまな温度条件において比較したところ、固体コンデンサの方が3.8~23倍、平均で6倍の長期稼動を実現したという。また、固体コンデンサにより、低ESR化や、より高い動作クロック、温度に対する耐久性を得えらることもメリットとして挙げている。

 2つ目の大きなトピックは、従来から採用されている同社の冷却システム「Silent Pipe」に追加される形で搭載される新たな冷却システム「Crazy Cool」だ。Crazy CoolはCPU冷却をPCBの裏面から助けるために設けられるもので、一言でいえばCPU裏面にヒートシンクを貼り付けた形状となる。似たようなテクノロジにASUSTeKの「Stack Cool」があり、アプローチは同一といっていい。

 Crazy CoolはCPUソケットの真裏に当たる部分に、金属素材を用いたヒートシンクを貼り付け、表面のチップセットクーラーなどとヒートパイプで接続する。Crazy Coolの効果としては、BIOS等では2~3度のCPU温度低下に留まるが、サーマルセンサーによる計測で20%の温度低下を確認できたとしている。

 3つ目の大きなトピックが、このCrazy Coolを採用したnForce 680i SLI搭載マザーボード「GA-N680SLI-DQ6」である。この製品は2007年1月中旬の発表が予定されている。従来の同社ハイエンド製品同様、「6-Quad」を名乗っており、そのQuadの内の1つが「Quad Gigabit LAN」となっている。

 nForce 680i SLIは、2ポートのGigabit MACしか持っていないが、MarvellのMACを2個搭載することで計4個のGigabit Ethernetをバックパネルに搭載している。

 また、nForceのチップセットドライバに含まれるTeaming機能もサポートしている。Teamingは複数のLANポートを束ねて利用することで、帯域幅と冗長性を向上させる機能で、この製品では2Gbps×2ポート構成が可能となる。

 以前にNVIDIAに聞いた話では4ポートを1つにまとめて4Gbpsとすることもできるとしていた。この点についてRockson Chiang氏によれば、現時点のドライバが持つTeaming機能では2Gbps×2ポートの構成しか採れないが、将来的にリリースされるNVIDIAのドライバで4Gbps×1ポートのTeamingがサポートされることになる。ただし、そのドライバのリリース時期に関しては情報を持っていないとのことだ。

2007年1月中旬の発表が予定されている、nForce 680i SLIマザー「GA-N680SLI-DQ6」 バックパネルに4個のGigabit Ethernetポートを搭載。4ポートすべてがTeamingに対応する ノースブリッジ/サウスブリッジ/PWMをヒートパイプで接続するSilent Pipeに加え、裏面にもヒートパイプが伸びる
裏面にはCrazy Coolと呼ばれるCPU冷却サポート用のヒートシンクを実装。PWM上のヒートシンクとヒートパイプで接続される Silent Pipeの仕組み。ノースブリッジ、サウスブリッジそれぞれに独立したヒートパイプを持たせ、PWM上のヒートシンクへ伸ばす。通常のATXマザーであればPWMが上に来るので、すべての熱がPWM上のヒートシンクへ移動し、このフィンから放熱することになる CPUから発せられる熱はPCB側へも逃げていくので、この熱もヒートシンクを使って冷却することで、CPU冷却能力を上げるのがCrazy Coolの目的
サーマルセンサーを使用したCrazy Coolの効果測定においては、20%の発熱抑制を確認できたとしている

●SiSはSiS671FX+SiS968の詳細を紹介

 SiSのテクニカルセッションでは、先月発表されたIntelプラットフォーム向けのグラフィックス統合型チップセット「SiS671FX」と、新サウスブリッジ「SiS968」の詳細が紹介された。

 SiS671FXとSiS968は、同社のインターリンク技術であるMuTIOL 1Gによって1GB/secの帯域幅で接続される。ノースブリッジとなるSiS671FXは、1,066MHz FSBに対応し、Core 2シリーズ全てとCore 2 Quadへの対応も可能としている。メモリはDDR2-667のシングルチャネルインターフェイスで、DDR2-800は「オーバークロックによって」対応可能としている。

 6月発表されたAMDプラットフォーム向けチップセット「SiS771」でも採用されている「Mirage 3」コアのビデオ機能を統合する。DirectX 9に対応しており、Windows VistaのAeroも動作可能。また、動画の高画質化機能である「Real Video Technology」も搭載。さらに、ビデオブリッジの「SiS307」を組み合わせることでDVIやHDMI出力を持たせることもできる。

 SiS671FXと同時に発表されたSiS968は、2基のPCI Express x1、RAID 0/1に対応する2基のシリアルATA IIポート、6本のPCIスロット、1chのIDEインターフェイス、HDオーディオ、8ポートのUSB 2.0を搭載するほか、コンパニオンチップの「SiS196」を利用してGigabit Ethernetを1ポート搭載することができる。

 今回のセッションで強くアピールされたのは、Mirage 3とSiS968に搭載された省電力機能。Mirage 3コアは、動作負荷を判断して動的にクロックを上げ下げする機能を持っており、クロックダウン時は、決められたしきい値に達するまで2分の1ずつ下げることで、ディスプレイ出力が一切途切れることなくクロックが変化するようになっているという。また、この電力管理により、アイドル時には50%以上の消費電力抑制が可能としている。

 SiS968に搭載された省電力機能は、チップ内に統合された機能を動的にON/OFFできるというもの。例として示されたのは、USBフラッシュメモリからHDDへコピーする時はシリアルATAとUSB以外の機能をOFFに、ファイルのダウンロードとPCI Expressスロットに搭載されたIEEE 1394に接続したHDDからのコピーを同時に行なう場合にはEthernetとシリアルATA、PCI Express以外への電力供給をやめるというものである。また、ヒートシンクレスで動作できるほど発熱が小さくなっているのもメリットとして挙げている。

SiS Senior Engineer of Technical MarketingのVincent Hsieh氏 SiS671FX+SiS968のブロックダイヤグラム Intelプラットフォーム向けの統合型チップセット「SiS671FX」
SiS671FXに組み合わせて使用されるサウスブリッジ「SiS968」 SiS671FX+SiS968を搭載したリファレンスマザーボード こちらはAMDプラットフォーム向けチップセット「SiS771」と、SiS968を組み合わせたリファレンスマザーボード
SiS671FX搭載マザーボードの内蔵グラフィックを利用してWindows VistaのAeroを動作させるデモが実施された SiS671FXに統合されているMirage 3コアのグラフィック機能は、負荷が軽くなってクロックを下げる時、2分の1ずつ段階的に下げることでディスプレイ出力の途切れを抑制する SiS968ではインターフェイスごとに電力管理を行えるようになっており、不要なインターフェイスへの電力供給をOFFにすることができる。この機能を実装したことで、アイドル時の消費電力は50%抑制できるとした

●その他メーカーの未発表製品

 Universal abitのテクニカルセッションでは、1月に発表されたUniversal Scientific Industrial(USI)との合併以降の動作の動向についての簡単な紹介や、現在発売中の製品紹介が行なわれた。この中で、実際の製品の展示はなかったが、2007年1月中旬に発売が予定されている「IN9 32X-MAX」が紹介。同製品は、オーバークロック向け製品のMAXシリーズにラインナップされ、「大麒麟」のセカンドネームを持つ。

 nForce 680i SLIを搭載し、クアッドコアCPUにおいて1,333MHz FSB動作が確認されている。また、5フェーズのデジタルPWMを実装したことで、オーバークロックにおける動作の安定性向上も図っている。

 主なインターフェイスは3本のPCI Express x16スロット(インターフェイスはx16×2+x8×1)、7.1chのHDオーディオ、Gigabit Ethernet×2、eSATA×2など。IEEE 802.11gの無線LANカードも付属する予定。

 このほか、abitでは2007年以降、フォトプリンタやGPSユニットの製品展開を行なっていくことも表明された。

Universal abit Techniccal Marketing EngineerのKiner Lau氏 2007年1月発売予定の「IN9 32X-MAX」 同社のロゴが今年に入って変更され、その“i”の文字の点の部分は製品ジャンルによって色が異なる。例えば、マザーボードは緑だが、オーバークロック向け製品は赤、といった具合

 Shuttleのテクニカルセッションでは、7日のレポートでもお伝えしたOCZとの共同開発製品に関して、より詳細な情報が語られた。

 まず、オーバークロック機能に関する情報について、各製品のオーバークロック実績を紹介。キューブ型の「SD37P2」をベースとした製品では、Core 2 Extreme QX6700を利用した環境で、また「9012」(コードネーム)というASUSTeKのマザーボードを組み込んだ製品はCore 2 Quad QX6400を組み込んだ状態でテスト。両製品とも、4枚のDIMMを利用したデュアルチャネルメモリインターフェイス動作時に、メモリクロック1,066MHz、1GBモジュール1枚によるシングルチャネルメモリインターフェイス動作時は1,200MHzへのオーバークロックを達成したという。

 両製品のエアフローについてのダイヤグラムも示された。内部写真の撮影が許可されていない9012について紹介しておくと、前面下部から取り込んだ冷えた空気が、ケース後方に配置されるCPUやGPUへ流れる構造。CPUと背面ファンを非常に近づけている点や、ケース底面にHDDを設置することで前面からの空気を可能な限り暖めずにCPUやGPUへ送る点、5インチベイ上方に配置されて独立したエアフローをとっている電源ユニットなどが特徴といえる。

Shuttle Sales Division Vice PresidentのStan Cheng氏 SD37P2のダイヤグラム。CPUのみは側面から空気を取り入れる独立したエアフローを取り、メモリやビデオカードそのほかのパーツに関しては、ケース後方側面から空気を取り込み背面へ流れる 9012のエアフローダイヤグラム。HDDや電源ユニット、CPUの位置が特徴的で、これにより発熱の大きいパーツの冷却が効率よく行なえる

 DFIのブースでは、まだ製品が登場していないAMDの「RD600」を搭載したマザーボードが展示された。RD600はCross Xpress 3200のIntelプラットフォーム向けチップセットで、PCI Express x16×2によるCrossFireを実現できる製品。

 展示されたDFIの「LANPARTY UT ICFX3200-T2R/G」は、PCI Express x16を計3本備える。内2本がビデオカード用のPCI Express x16となり、残り1本は物理演算カードなどを装着するためのもので、内部インターフェイスはPCI Express x2となる。このほか2本のGigabit Ethernetを備え、NVIDIAのTeamingのような機能も提供されるという。

 デモは、Core 2 Extreme X6800を450MHz×8倍の3.6GHzで、メモリを1,124MHzまでオーバークロックした。本製品の発売はクリスマス頃が予定されている。

DFIがデモを行なったRD600搭載マザーボード「LANPARTY UT ICFX3200-T2R/G」 Core 2 Extreme X6800を3.6GHz、メモリを1,124MHzで動作させるデモが行なわれる

 BIOSTARのブースでは、Intel P965 Expressマザーボード「TForce 965PT」を利用したオーバークロックデモが実施。Core 2 Duo E6300(定格1.86GHz)を455MHz×6倍の2.73GHzで動作させていた。

BIOSTARのブースで展示されたTForce 965PTによるオーバークロックデモのシステム Core 2 E6300(CPU-Z上でE6200と誤認識しているのはES品であることが原因とのこと)を、2.73GHzまでオーバークロック動作させている

 Albatronのブースでは、オーバークロックソリューションが集まった本カンファレンスでは異色ともいえる、スモールフォームファクターマザーボードが展示されていた。Intel 945GT Expressを搭載する「PN945GT」で、Core DuoおよびCore 2 Duo Tシリーズに対応。

 主な仕様はDDR2-667/800に対応するSO-DIMM×2やGigabit Ethernet、HDオーディオなど。DVI、D-Sub15ピンに加えTV出力も備える。

 独自のフォームファクターを採っており、バックパネルの配置等もあって通常のATX準拠のケースでも搭載できないことがある。そのため同社では、ケースやクーラー等を含めて、リビング向けのトータルソリューションとして提供していきたいとしている。

 製品の出荷時期については、マザーボード自体は2007年の第1四半期には投入が可能だが、ケースなどが遅れる見込みという。

Albatronが展示した「PN945GT」。左前方部にCPUが配置されており、展示機ではCore 2 Duo T7200を1GHzへダウンクロックして動作させていた。このCPUとチップセットの前方、後方にそれぞれ6cmmファンを備える構成からも分かる通り、本製品の現在の課題は冷却にあるとのこと 独特のレイアウトを持つバックパネル。このほか、前面にeSATAポートを持っている。フォームファクターはATXやITXに準拠しない独自のもの PWMはライザーカード状の別基板となっている

□OCZ Technologyのホームページ(英文)
http://www.ocztechnology.com/
□関連記事
【12月7日】OCZ、PC-9200水冷メモリや、世界最小1,000W電源など3製品
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1207/ocz.htm

(2006年12月8日)

[Reported by 多和田新也]

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