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エルピーダ、台湾PSCとDRAM生産合弁会社を設立
~PC用DRAM分野に本格参入

エルピーダとPSC合弁による生産工場「Fab1」の完成予想図

12月7日 発表



 エルピーダメモリ株式会社は7日、台湾Powerchip Semiconductor Corp.(PSC)とPC用DRAM生産合弁会社を設立することで基本合意したと発表した。

 PSCは'94年に台湾に設立したDRAM製造/販売の専門会社で、2006年現在300mmウェハのFabを3ライン、200mmウェハのFabを1ライン有している。設立時よりエルピーダメモリやルネサステクノロジとパートナーシップを結んでおり、DRAM、フラッシュメモリ、システムLSIなどを製造している。

 今回の合意により、エルピーダはPSCがHou Liサイエンスパークに建設中の300mmウェハライン(Fab1)を譲り受け、2007年の5月を目標に試産開始、同年第2四半期(7月~9月)を目処に月産3万枚(300mmウェハベース)の量産体制に入る。

 その後も、Fabの生産能力を月産6万枚までに高め、2008年後半にはFab2を追加し生産能力を倍増。さらに、2011年頃にFab3/4を投入し、4つのFabで月産合計24万枚も検討している。新たにPC用DRAMにも本格参入することで、DRAM業界で世界No.1のポジションを目指していくとしている。

Fab1は台中にあるScienceParkに建設 新工場の構内図

 初産時はPCメインメモリ用のDDR2 SDRAMが中心で、プロセスルールは70nmを採用し世界最小のチップサイズになるという。今後は、50nmプロセスの開発研究の協業や、DDR3 SDRAMおよびグラフィックス用メモリの生産なども行なっていく予定。

 なお、両社の初期投資は約400億台湾ドル(約1,600億円)で、それぞれ50%ずつ負担。新会社の名前は未定だが、社長はPSCから任命される。

●DRAM事業の拡大にはPC分野への参入が欠かせない

ルピーダメモリ株式会社 取締役兼COO 大塚周一氏

 7日に都内で開かれた記者会見では、エルピーダメモリ株式会社 取締役兼COO 大塚周一氏が出席し、新会社設立の経緯などを説明した。

 同氏は、新会社設立の経緯について、「これまでPC向けのDRAMも生産していたが、広島工場はモバイルおよびデジタルコンシューマ向けに優先的に割り当てていた。しかし、これらの分野の成長にはまだ時間がかかるため、事業規模を拡大するためにはPC分野に入っていく必要があると判断した」と説明。

 新会社設立のメリットについては、「エルピーダの生産技術をPSCに取り入れることで、高い品質と高い歩留まりが期待できるだけでなく、台湾に生産工場を設けることで生産コストの削減が見込め、高いマージンで利益を生み出せる。今後、低価格化が進んだとしても十分に競争力のある製品が生み出せる」とアピールした。

 一方、DRAM事業の拡大については、90nmプロセス以降、生産技術が複雑になり、優れた開発能力がある企業でないと生き残ることは難しいと指摘。しかし、「当社は90nm以降の開発ノウハウも持ち合わせ、Windows Vistaの登場によるメモリ需要の拡大に対する期待もあり、70nmプロセスから本格的にPCに参入することが丁度ビジネスを拡大するチャンスであると判断した」と語った。

 広島工場の今後については、引き続き携帯機器/デジタルコンシューマ向けのプレミアムDRAMの生産を続けるとしており、PC用DRAMについては生産する予定がないという。

PSC本社 President T.-J. Brian Shieh氏

 記者会見にはPSC本社 President T.-J. Brian Shieh氏も出席し、新Fabの写真などを紹介。同氏は、「新工場は2006年12月中に建物の建設が完了し、クリーンルームの建設に入る。その後、施設の搬入を終えてから5月頃よりテストランに入る。PSCとしては、製造リソースだけでなく、エンジニアリソースなども注力して協業を進めていく」と説明した。

 質疑応答では、生産リソースとしてPSCを選んだ理由について質問がなされ、大塚氏は、「価格競争に陥ったとき、台湾に生産拠点を置いたほうが競争力が高くリスクが少ないと判断したため」と答えた。

 また、今回新たに世界No.1を目指すと掲げた理由について同氏は「DRAMは市場規模がないと強いポジションを維持するのは難しいと考えている。加えて、これまで日本企業の多くがDRAMの技術があるにも関わらず、撤退してきたが、それは彼らが投資すべきタイミングに投資しなかったことが要因だと考えている。今回、70nmプロセスをもってPC用DRAMを本格参入するのは良いタイミングだと判断し、日本のDRAM事業を復活させたい」とした。

□エルピーダメモリのホームページ
http://www.elpida.com/ja/
□ニュースリリース
http://www.elpida.com/ja/news/2006/12-07.html
□PSCのホームページ(英文)
http://www.psc.com.tw/
□ニュースリリース(英文)
http://www.psc.com.tw/english/news/newsContent.jsp?ID=00510

(2006年12月7日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]

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