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CeBIT asia 2006レポート【やじうま編】
~上海電脳市場事情

上海にある電脳城の中でも最大規模を誇る「太平洋数碼広場1期」


 CeBIT asiaが開催された上海市は、中国でも有数の大都市で、北京、広州と並んでPC市場が盛んな地域である。この大都市のPC市場がどのようになっているか、ちょっと覗いてみた。

 上海には未だ日本の秋葉原や北京の中関村のような電脳街は存在せず、市内に点在する「電脳城」と呼ばれるデパートに小さなショップが集約されている。どちらかといえばショッピングモールで、秋葉原でいうとラジオデパートみたいな感覚だ。もっとも、北京や広州に関してもあまり変わらない。

●3つの電脳城が集う徐家匯

 徐家匯は地下鉄1号線をはじめ公共バスも集約し、「太平洋百貨」をなどの大手デパートが立ち並ぶ場所だが、「虹橋路」と「衡山路」が交わる場所には3つの電脳城「太平洋数碼広場1期」、「太平洋数碼広場2期」、そして「百脳匯」が並んでおり、PCやパーツの品揃えがもっとも豊富な地域でもある。

 太平洋数碼広場1期/2期はともに3フロア構成で、1階がメーカー製ノート/デスクトップPC、2階がデジカメ/MP3/電子辞書/携帯電話、そして3階が自作パーツという構成。百脳匯は4フロア構成で、全階にわたり主にメーカー製PC/デジカメ/MP3プレーヤーを取り扱っている。

太平洋数碼広場2期。百脳匯に囲まれている 百脳匯は「美羅城」の中に集約されており、ほかにもケンタッキーやスターバックスコーヒーなどが入居している

 3カ所ともに入り口からはそれほど大きく見えないが、中に入ってみるとその奥行きに驚く。特に太平洋数碼広場1期は向こうが霞むほどに長い。入居しているショップそのものは名前をメインに出さず、「○○専売店」と銘打ったショップが多い。PCショップなら索尼(Sony)や三星(Samsung)、パーツショップなら富士康(Foxconn)や華碩(ASUSTeK)といった具合だ。

●高級路線と低価格路線に人気が二極化

 メーカー製PCショップの中でも一番多いのはSonyのVAIOノートPC専売店で、売り場面積も大きく、内装も高級感がある。メーカー製を求める層では真っ先に高級志向のVAIOに人気が集まるようだ。続いてSamsung、Asus、Acer、Lenovoが多く並んでいる。これらはブランドとしてもそこそこ知名度があり、リーズナブルな価格も魅力的。また、中国のブランドとしては、Haier(ハイアール)、TCLなどの家電メーカーも参入しており、価格を前面に押し出している。

どこでも一番よく見るのがSonyのVAIO。高級ノートPCの代名詞的存在だ ASUSTeKの専売店もよく目にする。広告によれば「世界の3台のPCのうち1台はASUSTeKが入ってる」だとか
Samsung製ノートも多い こちらはTVメーカーとして有名なTCLブランドのPC 白物家電で有名なHaier(ハイアール)のPC。Pentium D 805、メモリ512MB、80GB HDD、DVD-ROMドライブ、17型液晶付きで4,999元(日本円で約7万円半ば)と激安
オリンピックロゴ入りのLenovo製デスクトップも売られている。北京オリンピックを意識しているのだろうか

 そのほかHPやDELLは展示こそされていたものの、あまり人が集まらない。これらは海外でのブランド力あるがゆえに、中国国内では少々プレミア価格がついてしまう。高級路線と低価格路線の真ん中を行く中途半端な値付けでは、二極化が進む上海のPC市場ではあまり受け入れられないようだ。

 日本や米国でデジタルオーディオプレーヤーの代名詞とも言えるiPodも、上海ではそれほど人気を博していない。この市場に関してはSamsungのYeppや、SonyのWalkmanのほうがブランド力が強く、ラインナップも豊富。また、中国/台湾製のMP3プレーヤーも低価格で人気だ。なお、日本時間の13日に発売された新iPod、iPod nanoは、こちらではまだ売られていない。

Apple専売店ではiPodが売られているものの、買って行くのは外国の観光者ぐらい Sonyのカラー液晶付きMP3/WMAプレーヤー「CE-P」は中国市場向けのみ。価格は1GBモデルで1,199元(約2万円) 中国メーカー「金星JXD」のPSPライクなMP3/MP4プレーヤーも

 PCパーツに関しては、一応CPU、メモリ、マザーボード、ビデオカード、光学ドライブ、ケース、電源、マウス、キーボードなど一通り揃えているが、CPUに関してはほぼどのショップもCore 2 Duo E6300またはAthlon 64 X2 4600+までしか用意していない。店員の話によればCore 2 DuoのE6400以上はそもそも入荷がまったくないとのこと。

 しかし、中国市場にはそのようなハイエンドへの要求がないのかと思えば、そうでもないようで、GeForce 7950 GX2やRadeon X1900 XTXなどのハイエンドビデオカードは平然と並んでいたため、単にこれらの上位CPUが中国市場に回すだけの生産量に達していないためと思われる。

あちらこちらでCore 2 Duoの広告を見るが、物がないのが痛い。ちなみに中国語で書くと「酷睿」(クールイ)だが、「酷」は“クール”、「睿」は“インテリジェント”の意味で、音訳だけでなく意味もちゃんと込められている
余談だがCentrinoは「迅馳」(シュンチー)で、これも音訳以外に迅速に駆けるという意味が込められている 一方Viivは「歓躍」(ファンイェー)で喜び踊るという意味だが、音訳はまったくされていない

 パーツショップの割合としてはASUSTeKがダントツだが、Foxconn、Gigabyteも多い。中にはSOYOやJetwayといった日本ではあまり見られなくなった製品を取り扱うショップもある。

Intelの専売店でようやく見つけたCore 2 Duo E6300の展示 こちらはAMDの専売店で見つけたAthlon 64 FX-62。1個しか在庫がなかった とある店頭の価格一覧表。メモリはKingstonなどのブランド品が多く、バルク品はない
2000年ぐらいまでは日本でも出回ったSOYO製マザーボード。LGA775なのでそこそこ新しいようだ こちらは中国国内でかなり有名な「七彩虹」製マザーボード。基板にもしっかり中国語のシルクプリントが

 PCの購入形態としては、2002年取材当時のように店頭でコンサルディングをして、ショップがパーツを集めてPCを組み立ててくれるスタイルも残されているが、自作が流行しているようで、ビデオカードやヒートシンク、マザーボードなどのパーツを単体で買っていく客も見かけた。

 なお、いずれの電脳城にもソフトショップがほとんどなく、1~2軒がゲームやウイルス対策ソフトを売っているぐらいである。海賊版の状況を調べたかったのだが、さすがにこういう大手には並ばないようだ。

●高級商店街の端に聳え立つ「賽博数碼広場」

 高級商店街がずらりと並ぶ淮海路の一番東端に聳え立つ「賽博数碼広場」も、上海では有名な電脳城の1つ。香港広場とは空中の橋で繋がれており、相互を行き来できる。こちらは地下鉄1号線の黄陂南路駅を出てから信号を渡ったところにあり、交通は便利だ。

 こちらも太平洋数碼広場と同じく3階構成で、フロア構成も似ている。建物中央は吹き抜けになっており明るいが、ちょっと離れれると薄暗い雰囲気が漂う。

淮海路の最東端にある「賽博数碼広場」 淮海路は夜になっても綺麗にライトアップされており、常時お祭りな雰囲気である 店内中央は吹き抜けになっており明るい

 取り扱う製品はどちらかといえばノートPCやMP3、PSP/DSなどのゲーム機が中心というイメージだが、中にはIntelの展示ブースなどがありちょっとユニーク。Core 2 Duoをアピールしているが、聞いてみたところやっぱりE6300しかなく、店員に頼まないと出してくれないそうだ。ここら辺、価格と在庫の一覧表を店頭に貼る日本のPCショップとは随分と違う。

Intelの展示ブースがあり、ここでもCore 2 Duo E6300対Athlon X2 4200+対決が行なわれている 珍しくバッファローの販売契約店がある ルーターやNASが中心で中国語化されているほか、耐衝撃HDDもある
PSPやニンテンドーDSも並べられていた もちろん対応ソフトもちゃんと売っている 電子辞書は「文曲星」と「好易通」の2大シェアで、日本メーカー製品は見当たらない

●活気あふれているが購入後が心配

太平洋数碼広場1期の1階フロア奥にある修理センター。ショップでは修理できず、ここに持ち込むようだ

 以上4つの電脳城を回ってみたが、平日にもかかわらず多くの人であふれていた。また、いずれの店員もサービス熱心で、取材に回っただけの筆者にしきりに購入を勧めていた。しかし、これはショップに入って黙々と製品を手に取りレジに持っていく日本人には苦手かもしれない。おかげでどのショップにも立ち入りづらい。

 一方心配なのは購入後のアフターサービスで、サポートはメーカーに任せっきりになり、ショップ側がサポート体制を用意していないようだ。今後は、アフターサービスの充実も重要な課題になってくるだろう。

□CeBIT asiaのホームページ(中文)
http://www.cebit-asia.com/
□CeBIT asia 2002レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/link/cebit02_a.htm

(2006年9月20日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]

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