8月14日にあった首都圏大停電には驚いた。クレーン線が送電線に接触したことが原因だそうだが、今の時代に、これほど長い停電が起こりうるのかと、ちょっとショックを受けている。コンピュータはもちろん、ペットを飼っている方は、そのためのエアコンなどが正常に運転再開できたかどうかも心配だったにちがいない。 ●再稼働しなかったルータ ちょうどお盆休みということもあって、ぼくは、8月11日から10日間自宅を留守にしていた。したがって、停電があったことに気がついたのは、ずっとあとになってからだった。海外、しかも、インターネット的に不便な地域にいたため、ダイヤルアップローミングでつなぐ気にもならず、お盆休みだから、まあいいやと、6日間、一度もインターネットを使わなかった。 8月16日になり、その日から宿泊したホテルには、部屋にブロードバンドが完備されていたので、久しぶりにインターネットにPCを接続したものの、本来見えるはずの自宅のネットワークがまったく見えない。いろいろ手を尽くして、調べてみたが、どう考えても、ブロードバンドルータが停止しているとしか思えない。そして、インターネットをいろいろ検索した結果、その前々日に大規模停電があったことを知った。 どうすることもできず、そのまま旅程を終え、東京の自宅に戻ったのは8月20日だった。数台のPCが常時動いている部屋は、弱くエアコンを動かしたままで出かけたのだが、果たしてエアコンは停止していた。ところが、それほど暑くはない。普段なら、エアコンを止めると、機器類の発熱で汗だくになってしまうような部屋である。それもそのはずで、24時間365日稼働しているルータやハブ、デスクトップPC3台が停止していた。さらに悪いことに、TV番組を録画しているXビデオステーションも停止してしまっている。 エアコンは、電源を入れたら、何事もなかったように稼働しはじめた。PCも電源を入れれば無事に起動した。PCは電源復旧時に自動的に電源がONになるようにしておかなかったのはぼくのミスだ。すぐにBIOSの設定を見直したのはいうまでもない。だが、たとえ、PCが自動的に再起動したとしても、今回は、無駄だった。というのも、ルータとハブの電源が死んだままだったからだ。もし、ルータが生きていれば、Wake ON LANでPCを起こすことだってできたはずだ。 結局、電源系統をたどっていくと、ルータとハブは壁のコンセントからテーブルタップを介して電源を確保していた。試しにそのテーブルタップを別のものに交換してみたところ、無事に復旧した。停電で故障するテーブルタップというのも考えにくいのだが、原因は今のところよくわからない。 ●外に出せるものは外に出す方が安心 自宅のネットワークが見えなくなると困るのは、やっぱりメールだ。ぼくは、自宅のPCがメールを受信し、それを外部でノートPCに同期させてメールを使っているので、最悪の場合、メールが読めなくなってしまうのだ。 そこで、保険のつもりで、すべてのメールを携帯電話とGmailに転送している。そして、インターネットを使わなかった6日間は、携帯電話でメールをチェックし、ブロードバンドが使えるようになった時点でGmailで作業した。 Gmailは、つい先日、招待制から登録制に移行し、一般公開されたサービスだ。ぼくが利用しはじめたのは2004年の6月からで、2年以上にわたって、すべてのメールを転送し、ノーメインテナンスで普段は放置している。そして、この原稿を書いている現在、受信トレイには27,601通のメールがある。意外に少ないのだが、これは、迷惑メールに分類されたメールが自動削除されているためだろう。完全なフィルタとはいえず、誤分類されてしまうものも少なくない。 これだけメールをため込んでも、今のところ、ぼくの割り当て分2,757MB中、920MB(33%)を使用していると表示される。まだまだ余裕があるようだ。 GmailをWebサービスとして利用すると、受信トレイの一覧表示は、スレッドごとに表示される。ぼく自身の好みとしては、時系列に並べてくれるだけの方がありがたいのだが、そのような設定は用意されていない。Gmailは、POP経由でも利用できるので、好みのメールソフトを使って、好きに処理しているユーザーも多いだろう。通常、こうした使い方をするためには、サーバーにメールを残すように設定してPOPで受け取るのだが、Gmailでは、サービス側の設定で、強制的にコピーをサーバー側に残せるため、メールソフト側で特に設定する必要はない。この機能を使えば、受信したメールに関しては、複数のメールクライアントとWebを常に同じ状態に保つことができる。複数台のPCでメールを同一に保ちたいユーザーには重宝するサービスだ。ただ、手元の環境では、POPを使っての受信の場合、一度に270通程度しかメールをダウンロードできず、27,000通を完全に同期させるには、かなりの時間がかかる。この現象に関してはまだ原因を解明できていない。 以前は、自宅でUNIXサーバーを動かし、DNSやMXを自前で処理していたが、現在は、これらのサービスは外部にホスティングしている。だから、今回の停電のようなトラブルがあっても、メールがすべて不着になることもなかったし、Gmailのようなサービスのおかげでコミュニケーションが滞るようなこともほとんどなかったのだが、もし、ホスティングしていなかったからと思うとゾッとする。 ●常時稼働のためのフェイルセーフ 今回のようなことがあると、つくづく現代生活というのは、電気に依存しているんだなと痛感する。とにかく、こんな大規模な停電は過去に経験していないし、それが10日間の留守中に起こるなどという間の悪さもアンラッキーだった。今回の場合は、停電が1分でも1時間でも結果は同じだっただけに、余計に始末が悪い。二度とこんなことは起こらないと楽観するか、次に起こったときのために、UPSを用意するなど、なんらかの対処を検討するか、どちらがいいのだろうか。でも、PCが再起動したとしても、エアコンの運転が再開されなければ、最悪の場合、熱暴走で停止ということもありえたかもしれない。そういう意味では、エアコンにも運転自動再開の機能が用意されていてもよさそうだ。 少なくともビデオの録画に関しては、今のところホスティングするのは難しく、自前で対応策を練らなければなるまい。毎週楽しみにしているドラマの特定の1回だけを見れないというのも気分が悪い。ぼくにとってのもっとも大きな被害はこれだった。泣きついたら、録画し損ねたすべての番組を見せてくれたXビデオステーション仲間に感謝したい。持つべきものはコンピュータネットワークよりも、友人のネットワークということか。
□関連記事
(2006年8月25日)
[Reported by 山田祥平]
【PC Watchホームページ】
|
|