|
COMPUTEX会場レポート 【メモリ&電源編】来年登場予定のDDR3 SDRAMが展示
|
ElixirのDDR3 SDRAMチップ |
会期:6月6日~6月10日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/2/3
Taipei International Convention Center
●来年のJEDEC承認をにらんでDDR3が展示される
TwinMOSのブースに示されていたDDR/DDR2/DDR3の主な仕様 |
PCのメインメモリとして現在主流になっているDDR2 SDRAMに続き、来年にはDDR3 SDRAMが導入され始める見込みだが、今回のCOMPUTEX TAIPEIでは、主要なメモリメーカーがDDR3 SDRAMのサンプルを展示している。
DDR3 SDRAMは従来のDDR2 SDRAMよりもより低電圧、高クロックで動作するほか、1クロックあたり8bitのプリフェッチが可能になるのが主な特徴。電圧は1.8Vから1.5Vへ下がり、クロックは最大1600MHzへと引き上げられる予定になっているが、現段階ではJEDECで承認されているわけではない。当然ながら、今回展示されているのは、初期仕様を基にしたプロトタイプ品である。
ただ、DDR2 SDRAMでも実現されている800/1,066MHzだけでなく、1,333MHzのDDR3 SDRAMを展示したメーカーがある。Elixirは今月中にもES品を出荷し、ラボ等での検証に使ってもらう予定があると述べているほか、各社とも年内のES品出荷はほぼ確定。JEDECで承認され次第、すぐにでも出荷する姿勢を見せている。
A-DATAが展示したDDR3-1333。CAS Latencyは5。同社ではこのほか、1,066MHz(CL=5)のDDR3 SDRAMを展示した | Elixirが展示したDDR3-1066。512MBと1GBモジュールを展示 |
GeILでは1,066/1,333MHzのDDR3 SDRAMを予定している | Infinionのブースで展示されたQimondaのDDR3-800モジュール |
●DDR2 SDRAMは800MHz超モジュールが多数
Socket AM2のAthlon 64シリーズや、今回のCOMPUTEX TAIPEIで発表されたIntel 965シリーズの存在により、展示会場におけるメモリのメインアイテムは800MHzへと引き上げられた印象だ。出展しているメモリモジュールベンダーのほとんどがDDR2-800を展示しており、さらに1,066MHzのモジュールや、低レイテンシを売りとする製品も目立った。
一方で、NVIDIAが提唱しているSLI Ready Memory(EPP)に関してはそれほど活発ではなく、今回はKingstonが展示を行なうに留まっている。もっとも、EPPについて問い合わせても「何それ」という反応をされることが多く、この新規格がまだ浸透していない印象を受ける。メモリモジュールベンダーが採用を検討する以前の段階にあるということだろう。
●1,000Wオーバー電源も年末にはメジャーな存在に
PC用の大容量電源といえば、現時点では600~800Wクラスをイメージする人が多いだろう。だが、昨年末に1,000W電源も国内で発売されているとおり、CPUに加えてビデオカードの消費電力が増し、さらにはCrossFireやSLIといったマルチビデオカード技術の登場もあって、さらなる大容量化の兆しが見えている。
会場内では複数のメーカーが1,000W前後の容量を持つ電源を展示。実際に稼動する製品を展示しているメーカーも存在しているが、多くは参考展示に留まり、年末から来年頭にかけての発売を見込んでいる。とはいえ、現時点では入手が難しいPC用の1,000Wクラス電源も、年末から来年にかけては容易に入手できる状況が生まれそうである。
●CrossFireやSLI環境用の5インチベイ電源ユニット
すでに日本でもThermaltakeが製品化を行なっている、5インチベイ1段を利用するビデオカード用補助電源。発売済みのThermaltake製品は250Wの出力を持つものだが、会場には300Wクラスの補助電源が展示されている。
Tagan製品は最大4コネクタを備えられるほか、Thermaltakeは消費電力を表示する機能を備えるなど、差別化の兆候も見られる。いまやCPU以上の消費電力となりつつあるビデオカードの補助電源というジャンルも、今後は確立されていくのかも知れない。
FSPの「BoosterX 3」。2個の電源コネクタを持ち、定格300W、ピーク360Wの出力を持つ。すでに発売されているそうで、リテール価格は約90米ドルとのこと | Taganが7月に発売を予定している300Wの補助電源。電源コネクタを4個備えるのが特徴 | Thermaltakeの「Power Express 315W」。電源コネクタは2個。前面に消費電力を表示できる |
●Windows上で電源を管理・監視できる電源ユニット
電源ユニットとPCをUSBで接続し、電源の電圧や温度、ファン速度などを管理・監視できる製品がGIGABYTEとAcBELで展示された。GIGABYTEは「ODIN」シリーズと呼ばれる電源の新シリーズを展示。電源ユニットとPCをUSBで接続し、Windows上で動作する「GBT Power Tuner」上から、消費電力や各電圧ラインの電流、温度などの監視に加え、ファンの回転数や各ラインの電圧の微調整まで行なえるようになっている。
AcBELが展示した「Digital Power Supply」もPCと電源ユニットをUSBで接続し、Windows上で動作するツールから消費電力やファン回転数、温度、各電圧ラインの電流などを監視できる。また、5インチベイユニットも付属しており、こちらでもソフトウェア上で監視できる内容と同等の表示を行なえる。
GIGABYTEが展示した「ODIN」シリーズ750/650/550/450Wの各製品を予定している。写真中央の着脱可能コネクタから伸びているラインが、マザーボード上のUSBジャンパに接続されている | 画面中央が各情報の監視画面。左下がファン回転数調整、右下が電圧調整となる。右上は電圧を監視するために常時表示させておける画面 |
AcBELの「Digital Power Supply」シリーズ。400/450/500/550Wの各製品が予定されている。写真右寄りにあるLED付き基板は電源テスターで製品には付属しない | Windows上で動作するツールにより、消費電力、温度、ファン回転数、各電圧ラインの電流をチェックできる | 付属の5インチベイユニットでも、ソフトウェア上と同じ内容を表示できる |
□COMPUTEX TAIPEI 2006のホームページ(英文)
http://www.computextaipei.com.tw/
(2006年6月10日)
[Reported by 多和田新也]