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Intel、Conroeに触れられるハンズオンセッションを開催
〜Core 2 Duo 2.66GHzのベンチマーク結果



 Intelが2006年7月の発表を予定している、「Conroe」こと「Core 2 Duo」のシステムを利用した、ハンズオンセッションを報道関係者向けに実施した。このセッションは、2.66GHz動作のCore 2 Duoを搭載したシステムを実際に動作させ、報道関係者の手でベンチマークを実施できる機会として設けられたものである。

●Core 2 Duoのパフォーマンスを決める5つの要素

 Conroeの開発コードネームで認識されている方も多いかと思うが、2006年5月に正式なブランド名が「Core 2 Duo」、「Core 2 Extreme」となることが表明された、Intelの次期デスクトップ向けCPU。現行のPentium D 960と比較して、40%のパフォーマンスアップを発揮し、ワット当たりの性能は3倍に達することをアピールしている製品である。

 このCore 2 Duoについては、すでに2006年3月に米国で開催されたIDFにおいて詳細な情報が公開されている。その基幹となるのが、NetBurstに変わるマイクロアーキテクチャとして投入されるCoreマイクロアーキテクチャである。このマイクロアーキテクチャの主な特徴は、画面1に示した5つの機能である。

【画面1】Coreマイクロアーキテクチャの特徴。この5つの要素を組み合わせることで、理想的なパフォーマンス/ワットが実現されるとしている

 このなかで、とくにパフォーマンスに影響すると思われるのは、まず4命令の同時実行が可能な14ステージのパイプライン、Macro&MicroOps Fusionといった機能により効率よく命令実行を行なう「ワイド・ダイナミック・エグゼキューション」。128bitのSSE命令を1サイクルで実行可能にする「アドバンスド・デジタル・メディア・ブースト」。Yonahのアーキテクチャの流れを汲み、2つのコアが1つのL2キャッシュを共有する「アドバンスド・スマート・キャッシュ」。そして、メモリからの先読みを強化した「スマート・メモリー・アクセス」といったところだ。

 もう1つの「インテリジェント・パワー機能」に関しては、トランジスタ単位に近いほど細分化して未使用回路の電源を切ることができる機能で、ワット当たりの性能という観点でいえば重要度は高いが、絶対的なパフォーマンスという面では先に挙げた4つの機能の重要度が高いといえるだろう。

 こうした機能によって、どの程度のパフォーマンスが見られるか非常に興味のあるところで、そのCore 2 Duoを搭載したシステム(写真1)におけるベンチマーク結果をここからお伝えしていきたい。

 使用したシステムは、2.66GHz動作のCore 2 Duoを搭載しており、この2.66GHz動作というのは、メインストリーム向けでは最上位モデルとなる「Core 2 Duo E6700」として投入されると見込まれているものだ(画面2、3)。L1キャッシュは命令/データそれぞれ32KB、L2キャッシュは4MBであることが確認できる(画面4)。

 マザーボードはIntel 975Xを搭載する同社製マザーボード「Intel D975XBX」。本来ならDDR2-667までのサポートとなるが、Corsair製のDDR2-800メモリが装着されており、実際にもDDR2-800として動作している。また、画面5のCPU-Zの結果でも分かるとおり、各パラメータもやや高速寄りのセッティングになっている。

【写真1】今回のベンチマークに使用した、Core 2 Duo 2.66GHzを搭載したPC。マザーボードやCPUクーラーを含めて、すべて既存のパーツで構成されている 【画面2】BIOS画面。プロセッサ・ナンバは表示されていないが、2.66GHz動作、システムバスは1,066MHzであることが確認できる
【画面3】CPU-Zの結果。1.6GHz動作となっているのはEISTが動作しているからで、CPU負荷が高まったときはちゃんと2.66GHzで動作している。また、Instructionsの項でSSE4の文字が見られるが、Coreマイクロアーキテクチャで追加された命令セットを認識しているものと思われる 【画面4】コア当たりのL1キャッシュ容量は命令/データそれぞれ32KB。L2キャッシュは両コア共有で4MBとなっている 【画面5】メモリセッティング。DDR2-800を使用し、メモリパラメータは4-4-4-12となっている

 合わせて用意されたのは、Athlon 64 FX-60とASUSTeKのCrossFire Xpress 3200搭載マザー「A8R32-MVP Deluxe」を組み合わせた環境である。ただし、このAthlon 64 FX-60はCPU倍率を14倍に設定して2.8GHzで動作している(画面6)。ちなみに、Socket 939製品なので当然ながらメモリはDDR400が使用されており、こちらもCL=2と高速なパラメータに設定されている(画面7)。そのほかの環境は統一されており、表に示したパーツを用いている。

【画面6】こちらは比較用に用意されたAthlon 64 FX-60におけるCPU-Zの結果。倍率を14倍に設定して2.8GHzで動作しており、Socket 939プラットフォーム上で動作するAthlon 64 FX-62モドキといった構成になっている 【画面7】Athlon 64 FX-60環境のメモリセッティング。DDR400を使用し、メモリパラメータは2-2-2-5となっている

【表】テスト環境
CPUConroe 2.66GHzAthlon 64 FX-60(2.8GHz動作)
マザーボードIntel D975XBX
(Intel 975X)
ASUSTeK A8R32-MVP Deluxe
(ATI CrossFire Xpress 3200)
メモリDDR2-800(CL=4) 512MB×2DDR400(CL=2) 512MB×2
ビデオカードRadeon X1900 CrossFire Edition+Radeon X1900 XTX
HDDMaxtor DiamondMax 10(6L300S0)
OSWindows XP Professional Service Pack 2

●PCMark05を使用したコンポーネント単位の測定

 それでは、このCore 2 Duo 2.66GHzとAthlon 64 FX-60(2.8GHz動作)の比較を紹介したい。なお、冒頭でも述べたとおり、すべてのベンチマーク結果は筆者を含めた報道関係者の手によって測定したものである。つまり、Intelが公式に発表しているデータではないことをお断りしておく。

 まずは、FutureMarkの「PCMark05」の結果である(グラフ1)。CPUとメモリについては後ほど個別テストの結果を紹介するとして、グラフィックは似たスコアになっているものの、HDDスコアはチップセットの差が大きく影響した結果になっている。もっとも、後述するベンチマークは主にCPUやメモリ、ビデオカードへ負荷がかかるものが多く、HDD周りがベンチマークの致命的なボトルネックになるほど遅い速度とはいえない。とりあえず、このグラフでは両環境の特性としてざっくり捕らえておきたい。

【グラフ1】PCMark05

 続いては、PCMark05のCPUテストである。グラフ2に各テストを単体実行するワークフローの結果、グラフ3に2タスク、4タスクを同時実行するワークフローの結果を示している。いずれの結果もCore 2 Duoが勝っており、その差はテストにもよるが5〜50%程度の差といったところ。NetBurstアーキテクチャのCPUでは得手不得手により性能の上下が入れ替わっていた本テストであるが、より低いクロックで、より高速な結果を見せているあたりCore 2 Duoの性能の高さを見せてつけている。とくにクロック当たりの性能は、確実にCore 2 Duoのほうが上といって問題ないだろう。

【グラフ2】PCMark05〜CPU Test 1
【グラフ3】PCMark05〜CPU Test 2

 ただし、シングルタスクのテストと結果と比べて、マルチタスクの結果で差を広げるといったことはなく、Core 2 DuoがAthlon 64 FX-60に対してマルチタスクでとくに強さを発揮するといった傾向は見せていない。CPUに負荷をかけるために他のコンポーネントの影響が小さいこともあってか、マルチタスク性能に関しては差は出ていないことになる。

 さて、次はPCMark05のメモリテストである。まずはグラフ4のRead/Write/Copyの各テスト結果を見てみたいが、まずL1キャッシュの性能を示す4KB、L2キャッシュの性能を示す192KBの各テストではCore 2 Duoが圧倒的なスコアを見せている。そもそもキャッシュの動作クロックはCPUの動作クロックに同期しているはずなので、今回の環境でいえば2.8GHz動作をさせているAthlon 64 FX-60のほうが勝るスコアを出してもおかしくない。さらにに読み込み、書き込みで速度がほとんど変わらないという点が特徴的で、これまでアピールされてきたキャッシュの高速化という点が実証された格好といえる。

【グラフ4】PCMark05〜Memory Test 1(Read/Write/Copy)

 一方、メインメモリ速度の測定となる8MBと16MBの結果では、ReadこそCore 2 Duoが高速な結果になっているが、Write/CopyではAthlon 64 FX-60環境が勝っている。

 ちなみに、PCMark05のメモリテストに含まれるメモリレイテンシの比較を行なうテストの結果も示しておく(グラフ5)。、1秒間に何回のランダムアクセスが可能であったかを見ることでレイテンシを比較できるテストで、アクセス回数が多いほどレイテンシが小さいことになり、グラフは棒が長いほうが望ましい。

【グラフ5】PCMark05〜Memory Test 2(Latency)

 結果を見ると、8MBの結果を除いてはいずれもAthlon 64 FX-60が小さいレイテンシで動作していることが分かる。とはいえ、8MBのセクションにしても、1秒当たり1,620万回と1,580万回のアクセスができているということは、そのレイテンシは1.5ns程度の差ということである。メインメモリのレイテンシとしてはごくごくわずかな差である。逆に16MBではAthlon 64 FX-60が10ns程度もレイテンシが小さいわけで、Athlon 64 FX-60のほうがメインメモリのレイテンシは低いと断言してもよさそうである。先のアクセス速度の結果と含めて考えても、メインメモリアクセスについてはCPU内蔵のメモリコントローラを持つAthlon 64シリーズの良さが明確になっているといえる。

 ただ、Intelのワールドワイド・パフォーマンス・ベンチマーク・マネージャーのマット・ダンフォード氏は、「SandraのMemory Benchmarkのようにメモリ単体のアクセス速度を測定するとCore 2 Duoは遅いかも知れない」と述べており、この結果はIntelにとっても想定される内容であろう。氏はこの後「(スマート・メモリー・アクセスによるプリフェッチにより)命令の実行段階でメモリアクセスが発生する機会は少ない」と付け加えている。つまり、メモリ先読みの機能が優れているので、メモリアクセスがボトルネックとなってパフォーマンスが低下する機会が少ないとアピールしている。

●実際のアプリケーションで見るCore 2 Duoの性能

 さて、ここからは実際のアプリケーションを利用したベンチマークテストの結果を紹介したい。まずはDirectX関連以外のテストとして、3Dレンダリングソフトの「POV-Ray」(グラフ6)、「iTunes」と「Lame」によるMP3エンコード(グラフ7)、Premiereを使用した1080iのHDV動画からDivX6.2.2コーデックのHigh DefinationプロファイルのAVIファイルへ、Windows Media Encoder 9を利用した720×480ドットのAVIファイルから720pのWMV9(5Mbps VBR、2pass)への各動画エンコード(グラフ8)の各結果である。

【グラフ6】POV-Ray v3.7 beta
【グラフ7】MP3エンコード
【グラフ8】動画エンコード

 いずれもマルチスレッドに対応したアプリケーションで、シングルスレッドでのテストが可能なものについては合わせて測定しているが、シングルスレッド/マルチスレッド関係なく、いずれもCore 2 Duo 2.66GHzがAthlon 64 FX-60の2.8GHz動作のスコアを上回る結果を見せた。アプリケーションによって程度に差はあるが、Core 2 Duoのほうが低いクロックでのテストである点を踏まえても、圧倒したという表現でも差し支えないだろう。コア1つあたりの性能では確実にといっていいほど劣っていたPentium XE/Dとはまったく異なる傾向である。

 ちなみにLameを用いたMP3エンコードにおいて、マルチスレッドエンコードを行なうと、Core 2 Duoがより性能比を広げる結果を見せているものの、POV-Rayによる3Dレンダリングではシングル/マルチスレッドによる性能比はほとんど変化していない。そのため、マルチスレッド性能という観点においては、今回の結果だけは傾向をつかむことが難しい。唯一、LameにおいてはCore 2 Duoのほうがマルチスレッド性能が良いと言えるのみである。

 最後にDirectX関連の3Dベンチマークとして、「3DMark06」(グラフ9、10)と「Quake4」(グラフ11)の結果を見ておきたい。Quake4については同じタイムデモを2回ループし、2回目の実行結果を掲載している。ご覧のとおり、ここもCore 2 Duoがすべてのテストで2.8GHz動作のAthlon 64 FX-60を上回るスコアを見せた。こと3Dゲームにおいては、これまでNetBurstアーキテクチャのCPUを圧倒してきたAthlon 64 FXであるが、Core 2 Duoの登場によって、その立場は危ういものとなっている。

【グラフ9】3DMark06〜CPU Test
【グラフ10】3DMark06
【グラフ11】Quake4

 ちなみに、Quake4についてはマルチスレッド処理(SMPモード)を有効にした場合と、無効にした場合のそれぞれで測定しているが、この性能比という観点では、2.8GHz動作のAthlon 64 FX-60のほうがマルチスレッド性能が良い傾向が見られる。解像度ごとの誤差が見られるのでスコアは飽和状態に近い印象は受けるものの、先ほどのLameとは逆の傾向を見せるアプリケーションも存在することが確認できる。

●パフォーマンス面で優位を示したCore 2 Duo

 今回の環境はIntelが用意したものである、という色眼鏡を着けて見たとしても、メインメモリのコンポーネントテスト以外では、完勝といった印象を与えるCore 2 Duo 2.66GHz。忘れてならないのは、Core 2 Duo 2.66GHzはメインストリーム向けに投入されるCPUで、Athlon 64 FX-60はエンスージアスト向けCPUの最上位モデルであるAthlon 64 FX-62を模したCPUであるということだ。

 Coreマイクロアーキテクチャを採用する製品は、さらに上位のCore 2 Extremeも用意されている。今回の結果で、クロック当たりの性能はCoreマイクロアーキテクチャが勝っていることは確実で、さらに、今回の検証対象である2.66GHzよりも上の2.93GHzで動作する製品が投入が決まっているのである。

【画面8】Core 2 Duoの2.93GHz品の倍率を変えて3.2GHz動作をさせているデモ。CPU-ZではE6800というプロセッサ・ナンバも見られる

 しかも、今回行なわれた説明会では、このCore 2 Extremeとして投入される見込みの2.93GHz動作品を利用した、オーバークロックのデモも実施している(画面8)。Opteronにはすでに3GHz動作の製品が存在しており、Athlon 64 FXシリーズの3GHz動作品の登場を見越してのデモだと想像される。NetBurstよりもクロックが上げづらいアーキテクチャではあるが、3GHzの大台を超えることは現時点でも不可能ではないことを示している。

 今回残念ながらシステムの電力測定は行なえなかったので、現在、AMDとIntel共にアピールしているワット当たりの性能のチェックは行なえなかった。だが、パフォーマンスでCore 2 Duoが上であるということは、公称されているTDPなどから推測しても有利な立場になったのは間違いない。今回のベンチマーク結果は製品登場へ期待をより高めるものといえるだろう。


□インテルのホームページ
http://www.intel.co.jp/
□Core 2 Duoの製品情報
http://www.intel.co.jp/jp/products/processor/core2/
□関連記事
【5月31日】【海外】Pentium 4/Dブランドの大安売りに出るIntelのCPU価格戦略
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0531/kaigai274.htm
【5月9日】Intel、次期CPU“Conroe/Merom”の製品名を「Core 2 Duo」に決定
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0509/intel.htm

(2006年6月5日)

[Reported by 多和田新也]

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