|
VAIO type U開発陣が開発秘話を披露16日、アカデメディア主催の異業種交流イベント「デジタルスタイル会議」が都内で開催された。イベントでは、発表されたばかりのソニー「VAIO type U VGN-UX50」の企画開発に携わったスタッフがスピーチを行なった。 アカデメディアは、ブログ「百式」管理人の田口元氏が主催する「新しいオンラインメディアのカタチを模索する異業種交流イベント」。今回の「デジタルスタイル会議」は、ソニー、ソニーマーケティング、ソニースタイルの協力のもと、「デジタルガジェットとのつきあい方」をテーマとし、ブロガーらによるプレゼンテーションや全員参加型のアイデア提案会議が行なわれた。VAIO type Uの開発スタッフによる製品紹介も、その一環として行なわれ、開発エピソードが披露された。 ●「type Uで“仕事時間のタイムシフティング”」
type Uの企画を担当したソニー VAIO事業部門企画部の楡井謙一氏はtype Uの企画にあたって、「時間を有効に使えるようにしたい」、「自由になった時間を楽しみたい」という2つの欲求をかなえるデバイスを作ろうとしたという。 まず、前者の「時間を有効に使う」ために、「電車の中やリビングでゴロ寝、人を待っているときの時間を有効に使いたい。そのために、合間の時間でもさっとメールを書けるような、仕事のタイムシフティングが必要だった。さらに、仕事をタイムシフティングするにはどうすればいいかを考えた」と語る。 そこで「どこにでも持って行きたくなるデバイスサイズ」、「普段使っているデータや環境がシームレスに使える」、「ある程度の画面サイズ・キーボード」という具体的なスペックに落とし込んでいったという。 結果として、重量をペットボトル約1本分の重さにし、また、Windows XP搭載で普段の環境を持ち込めるようにした。さらに、4.5型ディスプレイとフルキーボードを搭載し、モビリティとともに操作性を確保できたとする。 一方、2つめの「自由になった時間を楽しみたい」という欲求をかなえるために、楡井氏が思い浮かべたのはカーナビ。「カーナビ以前は、出かけることの障壁が高かったが、カーナビ以後は、住所や電話番号さえメモすればどこでもいけるようになった。そこから、(type Uでも)ナビゲーションという軸で楽しいことができないかと考えた」と語り、type Uに「簡単に行き先を検索し、ルート案内も可能で、思い出をさまざまな形で保存し、シェアできる」機能を加え、「おでかけのトータルソリューションを提供するデバイス」に仕上げることで、「自由になった時間を楽しみたい」という当初のコンセプトを達成することができたのだという。
●「今できるすべてのこだわりを詰め込んだ」
次いで、技術部門の代表としてVAIO事業部門 type Uプロジェクトリーダーの鈴木一也氏が登壇した。鈴木氏は冒頭、type Uについて「感覚に訴えるデバイスを作った」とし、「すごいぞ!感」「しっくり感」「高級感」「生き物感(相棒感)」「スマート感」の5つの「こだわりポイント」を挙げた。 まず、「すごいぞ!感」については、小さなボディに無線LANやBluetooth、指紋認証などさまざまなデバイスを詰め込み、両手でホールドしても熱くなりにくい素材をボディに使用するなどして、演出したという。 次の「しっくり感」は、両手で握ったときに、CFカードスロットと干渉しないように設計したことや、角の部分の丸みを調整して、体感の重量が軽くなるように調整したエピソードが語られた。さらに裏話として、ボツになった企画として、キーボード部分が斜めにスライドし、右側部分に携帯電話のようなテンキーを設ける案があったことが明らかにされた。結局この案は、斜めにスライドする機構面での難しさと、キーピッチが異様に細かくなってしまうため、ボツになったのだという。 さらに「スマート感」では、「ノートパソコンでは底面はあまり人目に触れないが、type Uでは人が目にするのは裏面なので、こだわった」と語った。本体裏面にシリアル番号やWindowsのライセンスシールを添付せず、VAIOロゴのみにすることでスマートさを演出。また、そのVAIOロゴは、ブルガリの時計やメルセデス・ベンツの内装に使われている塗装を使用し、「高級感を追求している」という。 会場が一番盛り上がったのは、「生き物感(相棒感)」の説明の時だ。スタイラスの動作でさまざまなコマンドを割り当てられる「バイオタッチコマンド」について、「魔法使いになったような気分」と、「バイオタッチランチャー」での反応の仕方を「バビル2世に出てくるロデムのように、“ご主人様”といった雰囲気を出したかった」などと語り、会場を沸かせた。また、キーボードのバックライトの光り方も、20種類以上のサンプルから、一番「相棒感」が出るものを選んだという。 最後に鈴木氏は「今できるすべてのこだわりを詰め込んだ。ぜひ実際にtype Uを触って味わってほしい」と締めくくった。
□ソニーのホームページ (2006年5月17日) [Reported by ito-d@impress.co.jp]
【PC Watchホームページ】
|
|