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ロジクールの左利き専用マウス「MX610L」を試す

MX610 Left-Hand Laser Cordless Mouse


 マウスといえば、左右どちらでも使えるシンメトリーデザインのマウスと、右利き専用デザインのマウスが主流だ。だが、ロジクールから発売された「MX610 Left-Hand Laser Cordless Mouse」(MX610L)は、あえて左手専用にデザインされたマウス。今回この試作品を手に入れることができたので、レビューしてみたい。

 MX610Lは、すでに発売中の右手用マウス「MX610」をベースに、デザインを左右反転させたワイヤレスマウス。レーザーセンサーを採用し、無線は2.4GHz帯を採用する。価格はオープンプライスで、同社の直販価格は6,480円。MX610と比較して割高というわけでもない。

 ボタン類もMX610と同じで、左右のクリックボタン、親指の位置に2つのサイドボタン、左右スクロールにも対応したホイールを搭載するほか、ボリューム操作などが可能なメディアボタン、メールやインスタントメッセージの着信を知らせるボタンなども備える。もちろん、すべてのボタンがMX610とは左右逆に配置されている。

 既存のマウスとの最大の違いは、左右反転されたボタン配置に合わせて、左右のクリックボタンも反転して設定されていることだ。つまり、右側のボタンが左クリック相当、左側のボタンが右クリック相当になる。もちろん、これは設定で左右反転させることができる。

MX610をそのまま左右反転させたデザイン 本体右側面にサイドボタンなどを供える 本体左側面

 ちなみに筆者は、食事は左手だが、字を書くのは右。右手でシャープペンを持って左手で消しゴムを使ったりする。しかし、とっさに出るのはやはり左なので、基本的には左手カテゴリの人間と言える。左利きで困ることといえば、街中にごく当たり前のごとく配置された右利き用デバイス。カメラなんかも基本的に右利き専用だ。

 しかし、JRの自動改札機が右利き用であるという事実には、指摘されるまで気がつかず、左手で持った切符を、右側にある切符投入口に入れるという、冷静に考えれば明らかにおかしい姿勢のまま、なんの疑問も持たずに毎日使っていた。実にいい加減だ。

 これは、マウスにも言えることで、昔は右利き用、もしくは両用しか存在しなかったマウスについては、左利き専用マウスの必要性をあまり感じていなかった。その時点で「マウスは右」というシナプスが完成してしまったのか、始めて使った右利き専用デザインのマウスとなった、マイクロソフトマウス(Windows 3.1にバンドルされていた)も、特に疑問を持たずに使っていた。

 何かの拍子で右利き用マウスを左手で使うタイミングがあっても、操作に不便は感じなかったし、左手の中指で左クリックをすることにもまったく違和感は感じなかった。不便に合わせて体が慣れていくというところか。

 そこで、今回のマウスである。まず、左手用にフィットする形状は新鮮。左手の親指できちんとサイドボタンが操作できるのはうれしいところだ。確かに、シンメトリーデザインのマウスであれば、左手のユーザーでも使えるが、そうしたマウスのサイドボタンは、左右に1つずつ配置されてしまうことがほとんど。親指を使ったオペレーションにこだわりたいなら、親指側にサイドボタンが集中配置されているMX610Lのメリットは明らかだろう。

本体右側には、ボリューム操作が可能なメディアボタンや、メール着信などを知らせるボタンを搭載 本体裏側には電源スイッチも備える 手前がUSB無線レシーバ。ごく一般的なものだ
左手で握ったところ。サイドボタンを左手の親指で操作可能

 問題は、左右クリックのボタンだ。前述のとおり、MX610Lのクリックボタンは左右が入れ替わって設定されている。左手人差し指で押す右ボタンは左クリック相当、右クリックは左ボタンに相当し、中指で操作する(人によっては薬指だろう)。右手用マウスを左右反転させた製品、という意味では、理にかなっているのだが、これが結構とまどった。なにしろ、左クリック、右クリックのルールは体にしみこんでおり、左手でマウスを使う場合でも、中指が左クリック、人差し指は右クリックと、無意識のうちに自分なりのルールで使っていたのだから当たり前といえば当たり前。左手用になったからといって、いきなり、操作を左右逆にできるものでもないらしい。

 意識しながら押していれば間違えないが、無意識に操作しはじめると、ダブルクリックしてアプリを起動したつもりが、コンテキストメニューを開いてしまったり、我ながら情けない気持ちになる。使い続ければ慣れるのだろうが、そこまでして慣れるほどのメリットも見いだせず、左右クリックの反転は、自分的にNGという結論になった。

 そこで、今度は左右を入れ替え、左のボタンは左クリック、右は右クリックと、素直な設定に変更してみた。当たり前といえば当たり前だが、今までのルールのまま、左手にフィットするマウスを使えるわけで、これは快適に使えた。

 結論としてクリックボタンに関しては、慣れればどちらでもいい、というところかもしれない。初めてPCを使う人で、左利きだ、という人なら、クリックボタンが左右入れ替わっているのも特に違和感なく使えるのではないだろうか。また、編集部では、別に左右が入れ替わっても違和感が無い、という人もいた。いずれにしろ設定はいつでも変更できるので、問題というほどのものではない。

 ただし、これは致し方ないところだが、左手でマウスを握っていると、コピーやペーストといった、Windowsの標準的なショートカットキーは使いにくい。CTRL+Cなどを押すために、マウスから手を離さなければならないからだ。ASDWキーでの移動やその周辺キーで操作するFPS系ゲームでも問題がある。これを解消するには、キー設定を変更するか、左右逆のキー配列になった、左利き用キーボードなんかを作ってもらわないと解決しようが無いが、さすがにそれはちょっと難しいだろう。これに関しては割り切りが必要だ。

 いずれにしろ、ワイヤレスで左利き、しかもレーザーセンサーを搭載と、最近の製品としては申し分ない性能を備え、左利きユーザーにとって選択肢が増えたことはありがたいところ。左手利用にこだわりたいユーザーにはお勧めの製品だ。

□関連記事
【2006年3月9日】ロジクール、左利き用無線レーザーマウス「MX-610L」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0309/logicool.htm

(2006年5月16日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]

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