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IRS、ロボット装備レスキュー部隊「IRS-U」の想定訓練を公開4月23日公開 4月23日、NPO法人国際レスキューシステム研究機構(IRS)は、東京消防庁 第八消防方面本部 消防救助機動部隊内 立川訓練場にて「レスキューロボット実証実験及び想定訓練」を実施、報道関係者に公開した。 デモは地震発生後、パトロール中の「IRS-U」と呼ばれるロボットシステムを使ったレスキューチームが災害想定現場で要救助者を発見、外からは状況が確認できない瓦礫中から被災者の様子を情報収集・確認し、救出する様子が公開された。 「IRS-U」は消防救助活動とレスキューロボットの連携と実戦配備を目的として作られたユニット。ロボットテクノロジー(RT)を配備した『国際救助隊』を目指しているという。 デモの様子を写真と動画で紹介する。 まずレスキューロボットを搭載したレスキューバギー「BENKEI1号」、同「2号」、そしてバイクが現場に到着。状況を確認する。
被災した建物の中には事前に「レスキューコミュニケーター」が設置されており、災害時にはバッテリで駆動し、被災者への呼びかけや被災者自身の声を無線LAN経由で外部に送り届けることができるという想定。実際の利用シーンとしては、普段はルーターなどとして使われているものが非常時にはレスキューコミュニケーターとして活用されるというイメージ。レスキューチームはこれを使って内部の様子をまず検索する。
まず「ジャッキアップロボット」を使って瓦礫をジャッキアップさせ、空間を確保する。その後瓦礫内状況を「マルチセンサヘッド」で確認する。マルチセンサヘッドはカメラのほか、レーザー距離計を使って空間がどの程度の大きさなのか計測することが可能。 空間を確保したあとは、ヘビ型ロボット「IRS蒼龍」が建造物内部に侵入し、被災者を探索する。自律ではなく基本的にモニターを見ながら人間が遠隔操作する。
要救助者は「レスキューダミー」が使用された。このダミー人形は熱、二酸化炭素、声などを発生し、また救助活動の際に腕や脚にどの程度の力やひねりが加えられたかを感知するセンサーが内蔵されている。
安全を確認したあと、最終的に人間の隊員が内部に進入し、救出する。救出したあとは救出状況や場所の情報を書き込んだ「ICトリアージタグ」を被災者に取り付ける。これにより、病院搬送後の治療などをスムーズに行なえる。また、建物のほうには救出済みであることを示すアクティブ&パッシブタグを取り付ける。これらの情報はGISマップ上に統合され、救出済みの家屋が一目でわかるという想定だ。
そのほか会場では、瓦礫の山、地下街や地下鉄など、想定訓練シナリオ以外の状況で活動するロボットの様子も公開された。
これらのロボット・システムや情報インフラストラクチャーは文部科学省「大都市大震災軽減化特別プロジェクト(通称:大大特、だいだいとく)」で開発されたもの。大大特は、大都市で大地震が発生した際の人的・物的被害を軽減することを目的とした研究プロジェクトである。 IRSはその中の「レスキューロボット等次世代防災基盤技術の開発」のための中核機関に選定されており、レスキューロボット、インテリジェントセンサ、携帯端末、ヒューマンインターフェイスなどの研究開発のとりまとめを行なっている。実際にロボットを開発している関連大学・研究機関は25に及ぶ。 何よりも「使える機械」が目標であるレスキューロボットは、ロボットというより、むしろセンサーなどを取り付け、少し知的にした道具というイメージだ。IRS会長で東北大学大学院情報科学研究科の田所諭(たどころ・さとし)教授は、レスキューロボットを使うことで「もうちょっとリーチが増える」ことを目指しているという。レスキューはさまざまな技術や人材の活用が必要なシステムだが、ロボット技術(RT)を使うことで、これまで出来なかったことが多少なりとも出来るようになれば良いという。 では現場の目で見て、レスキューロボットは使えるのかどうか。この質問に対し、小田原市消防署に所属し、IRSレスキューチーム準備室リーダーを務める真壁賢一氏は「使える」と答える。「災害現場は1つ1つ違い、多種多様。現在のロボットでも使える現場はあると思う」とのことだ。
大大特は2002年に都市再生プログラムの1つとして始まり、5年目の今年度が最終年度となる。田所教授はIRSの今後の活動について、ロボット技術(RT)を使った機械の実用化を目指し「現場の隊員とも意見交換を行ないつつ、実践を重ねていきたい」と語った。 □NPO法人国際レスキューシステム研究機構(IRS) (2006年4月24日)
[Reported by 森山和道]
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