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マイクロソフト、Windows Vista記者説明会を開催
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4月21日 開催
マイクロソフト株式会社は21日、報道関係者向けに次期OS「Windows Vista」に関する説明会を開催した。
説明会は2部構成に分かれており、第1部はコンシューマ向けの主要機能、第2部はエンタープライズ向けの主要機能について紹介された。本レポートでは主にコンシューマ向けの説明を中心に紹介する。
冒頭では、同社 Windows本部 本部長 ジェイ ジェイミソン氏が挨拶した。同氏は、これまでのPCの発展を振り返り、'85年以降、プロセッサパワーが増大するにつれ、そのパワーを引き出すためのアプリケーションが次々と生まれ、ユーザーに新しい体験を提供してきた。これにより以前では想像も付かなかったような写真、音楽、映像、メールの管理が行なえるようになり、PCに保存するデジタルコンテンツが急速に増加したと説明。
一方、デジタルコンテンツを管理するためのソフトがいまだメーカーによって操作が統一されておらず、コンテンツの安全面やセキュリティ面でもいろいろな問題が問われてきた。同氏は、「当社のWindows Vistaの投入により、これらのリッチなデジタルコンテンツを容易に管理するだけでなく、安全でかつ簡単に提供できるようになる」と説明した。
また、Windows Vistaのラインナップやロードマップも紹介。既に公開されている通りWindows Vistaは5製品のラインナップを展開し、コンシューマおよびエンタープライズをカバー。ロードマップについては、コンシューマ向けが2007年に延期されると発表さてからの変更はなく予定通り。第2四半期には広範囲ユーザーを対象にしたベータプログラムを開始する。
Windows本部 本部長 ジェイ ジェイミソン氏 | Windows Vistaが提供できる新しいユーザー体験 | Windows Vistaを提供するまでのロードマップに新たな遅れはない |
●Windows Vistaは混沌としたデジタルの世界にクリアな視界を提供
コンシューマ向けに提供されるWindows Vistaの開発コンセプトについて、同社 Windows本部 コンシューマWindows製品部 マネージャ 藤本恭史氏が説明にあたった。
同氏は、家庭におけるコンテンツの管理やデバイスの接続性、インターネットの利用やセキュリティなどPC環境の問題を掲げ、これらを解決するためにはソフトウェアプラットフォームの抜本的な革新が必要だと強調。デジタルコンテンツの増加に伴い、それに対する責任も増大すると指摘した。
「問題の解決に向け、Windows Vistaは、PCがもっと安全になり、もっと簡単に、もっと明確にユーザーの要求に応えられるように開発された。PCの可能性を広げ、デジタルライフスタイルがより現実的になることが、Windows Vistaに課せられたソフトウェアプラットフォームとしての使命である。Windows Vistaは混沌としたデジタルの世界にクリアな視界を提供する」と語った。
Windows本部 コンシューマWindows製品部 マネージャ 藤本恭史氏 | Windows Vistaの開発コンセプト | 「Windows Vistaは混沌としたデジタルの世界にクリアな視界を提供します」 |
実際のデモを交えた製品紹介は、同社 Windows本部 コンシューマWindows製品部 シニアプロダクトマネージャ 倉本玲子氏が担当した。
コンシューマ向け製品の中で、Windows Home Basicを除く2製品には、「Aero Glass」と呼ばれるGPUを駆使した3DベースのGUIを使用しており、タイトルバーやウィンドウの縁部分は透明処理されている。これについて同氏は、「これまでウィンドウをちょっとずらさないと見えなかった下のウィンドウのタイトルバーが、半透明処理によって見えるようになる。これによりユーザーの操作性が向上し、煩わしいウィンドウ操作がなくなる」とメリットを述べた。
この変更に伴い、Alt+Tabキーによるウィンドウの切り替えもサムネイル表示となったほか、最小化したウィンドウのタスクバーボタンの上にカーソルを合わせるとサムネイル表示されるようになった。さらに、目新しいのがWindows+Tabキーによるウィンドウ切り替え機能。ショートカットを押すとウィンドウが3D表示で並べられ、カーソルキーでウィンドウを切り替えて決定する。どれもウィンドウの切り替え作業の効率を向上させるための工夫だという。
デジタルコンテンツの管理や、ユーザーが行ないたい操作を素早く検索できるインテリジェントサーチ機能についても紹介。同機能はインデックスを利用した文書や写真のサーチだけでなく、コントロールパネルの設定変更などのシーンにおいても、変更したい物のキーワードで機能を絞り込んだりできるようになっている。
【動画】インテリジェントサーチでコントロールパネルを検索したところ | インテリジェントサーチにより指定した文書を検索したところ |
家庭向けの機能としては、新たに保護者による子供のPC利用制限や、スライドショーの強化などが挙げられる。子供のPC利用制限では、子供がPCを使用する時間、アクセスできるURL/サイトの種類などを制限できる。スライドショーでは、「テーマ」と呼ばれる機能が追加され、セピア色にアレンジしたり、スクロールしたり、ズームインして写真を楽しむことができるようになった。
また、アプリケーションを常駐できるサイドバーとよばれる機能を実装。時計や天気予報、メモや簡単なスケジュールの表示などを行なう単機能アプリケーションを自由に配置できるのが特徴だ。
保護者による子供のPC利用制限機能。コントロールパネルから起動できる | 写真の一覧表示を行なう「フォト ギャラリー」。メタデータを元に写真の検索も可能 |
スライドショーでは、写真の見せ方を変えるテーマを選択できる | 一例として「セピア」を選択すると写真がセピア色になる | サイドバーに時計などの単機能アプリケーションを自由に配置できる |
セキュリティ面では、新たに「Windows Defender」と呼ばれる機能を搭載。これはアドウェアが実行されるとポップアップし警告を促すというもの。また、「Internet Explorer 7」においても、ドメイン偽装の疑いがあるサイトは警告し、既知のフィッシングサイトに対してアクセスを禁止する機能も実装された。
「Windows Defender」。アドウェアやスパイウェアを検出すると警告し、対処が行なえる | 「Internet Explorer 7」。タブブラウジングをサポートし、操作性を向上させている |
IPアドレスから始まるURLにアクセスすると、アドレス入力欄が黄色になり、疑いがあると警告される | 既に報告されているフィッシングサイトにアクセスしようとすると、アドレス入力欄が赤になり、表示できない |
Windows Home Premiumに導入されるMedia Center機能についても紹介。3DをベースとしたGUIに一新されており、リモコンでより直感的に操作できることが特長だとアピールした。
Windows Media Playerのライブラリ画面もサムネイルベースになった | 【動画】リモコンによるMedia Centerのライブラリ操作 |
最後に倉本氏は、「Windows Vistaの登場により、ユーザーは革新的な体験を得ることができる。同時に、パートナーと協力し、さまざまな革新的なアプリケーションを提供していきたい」と話をくくった。
企業向けの機能をテーマとした第2部では、セキュリティ機能「BitLocker」と、「BDDWorkbench」による社内PCの環境標準化について説明がなされた。BitLockerでは、USBメモリの使用を制限できる機能のほか、USBキーを装着しないとOSが起動しない機能などを装備。また、BDDWorkbenchによる社内PCの環境標準化については、従来必要だったサードパティーのソフトが不要となるため、TCO削減などに役立つとし、Windows Vistaは家庭のみならず企業においても有効だとアピールした。
BitLockerによるPCロック機能。USBメモリを挿入しないと起動できない | BDDWorkbenchにより、Active Directoryに接続されたPCの環境をカスタマイズできる |
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□Windows Vistaのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/
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【4月21日】Windows Vistaが企業に提供する「生産性」「運用展開」「セキュリティ」の改善(ENTERPRISE)
http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/software/2006/04/21/7684.html
【3月22日】Microsoft、個人向けWindows Vistaを2007年1月に延期
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0322/ms.htm
【2月27日】Microsoft、「Windows Vista」のラインナップを公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0227/ms.htm
(2006年4月21日)
[Reported by ryu@impress.co.jp]