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IDF Japan 2006【デモショーケース会場編】


バッテリとACアダプタの問題を解決するIMPSをインテルがデモ

会期:4月6日~7日

会場:東京プリンスホテル パークタワー



 IDF Japan 2006の会場では、デモショーケース会場が設けられ、インテル以外にも各社が新製品や技術の展示/デモを行なっている。

●次世代バッテリ管理技術「IMPS」

 IDFの1つの大きなトピックであるConroeなど次世代プロセッサは、モバイル向けのCore(コードネームYonah)をベースとしているが、インテルの展示もモバイルに関連したものが多く見受けられた。

IMPSの概要

 同社がデモしていた1つは、「Intel Mobile Power System (IMPS)」と呼ばれるバッテリ管理技術。現行のリチウムイオンバッテリは、固定された電圧をノートPC内部のチャージャーに供給する必要がある。ノートPCが要求する電力、およびそれに伴う発熱は上昇しつつある一方で、リチウムイオンバッテリの特性はそれほど進化していないため、チャージャーは大型化の一途をたどっており、ノートPCの小型化にとって障害となり、同様にACアダプタも大型化する必要が生じている。

 こういった問題を解決するため、IMPSでは、チャージャーを廃し、システムが必要とする電力を管理する小型のコントローラを搭載する。これにより、チャージャーが占有していた面積が大幅に縮小されると同時に、ACアダプタの供給電圧を20Vなどに固定する必要がなくなる。

 当然、ACアダプタからの供給電圧が低いと、システムが必要とする電力を供給できなくなるが、この場合は、ACアダプタと同時にバッテリからもシステムに電源供給することで不足分をまかなう。この制御は、コントローラがシステムの負荷を判断して、動的に行なう。

 ACアダプタの電圧の低下は、小型化につながり、実際に会場では通常のACアダプタの1/3~1/4程度のサイズのアダプタをつなげてデモしていた。インテルによれば、IMPSにより、プラットフォームレベルで0.3~3W程度の省電力効果が見込めるほか、日中オフィスで仕事して、夜中に充電する使い方なら、6V程度のACアダプタでもまかなえるという。

 また、供給電圧の制限をなくすことで、今後登場が見込まれる燃料電池など、新しい規格の外部電源にも柔軟に対応できるようになる。その際も、内部バッテリと併用することで、低負荷時は燃料電池のみ、高負荷時はバッテリも同時使用といった形で必要な電力を供給できるようにする。

IMPSのデモの様子。これはシステム負荷が低い状態で、ACアダプタからはシステムに12W、バッテリ充電に8W供給している ここから負荷を上げると、バッテリがACアダプタを補う形で電力を提供する IMPSにより、5cm四方程度のACアダプタも実現可能になるという

 IMPSが製品に実装されるのは2007年の末頃の見込み。なお、余談になるが、同社の担当者は、IMPSの実装について「Santa Rosaプラットフォームの次の“Montelena”プラットフォームになるだろう」と語っていた。

 Santa Rosaは現在のCentrinoである「Napa」の次の世代のコードネームで、その先については現時点でほとんど情報が公開されておらず、本当にSanta Rosaの次がMontelenaなのかは不明だ。ただし、これまでのCentrinoのコードネームのCarmel、Sonoma、Napa、Santa Rosaはワイナリーに由来しており、Montelenaというワイナリーも存在することから、一定の信頼性はあると言える。

●インテルのコンセプトモデル

 インテルが参考展示しているコンセプトモデルは、いずれも過去のIDFやCeBITなどで展示されていたものだが、完成度の高い実働品となっていることから、来場者の注目を集めていた。

 先だって発表されたUltra-Mobile PCとしては、FounderおよびASUSTeKの製品に加え、次世代のコンセプトモデルも展示。このモデルは、UMPCのプレゼンテーションビデオにも登場しているもの。現在発表されている製品がいずれもキーボードレスなのに対し、このモデルは、本体裏面を90度回転させると、キーボードが現われる。

 また、現在のUMPCではディスプレイサイズを7型と規定しているが、このモデルのディスプレイはこれよりも1回り小さいものが採用されている。担当者によれば、次世代のモバイルプロセッサのタイミングで、こういった製品を製品化する予定という。

FounderのUMPC ASUSTeKのUMPC 次世代UMPCのコンセプトモデル

 もう1つのコンセプトモデルは「Montevallo 14"」というコードネームのプラットフォームで、ノートPCと家電の融合をコンセプトにしている。

 ノートPC部分はTablet PCとなっているが、ディスプレイのヒンジを手前にスライドでき、そこからディスプレイが表向きの状態で折りたたんで、ドックに収納する。ドックはディスプレイスタンドと、スピーカーを装備しており、ノートPCを収納させると、今風の液晶TVのようなスタイルとなる。実際にドックにはTVチューナも内蔵されており、職場ではノートPCとして仕事に使い、家ではエンターテイメントを楽しむといった用途を想定している。

Montevallo 14"。一見すると普通のノートPCだが…… ディスプレイを手前にスライドして、普通と逆向きに折りたためる
その状態でドックに収納すると 液晶TVのようなデスクトップPCに様変わりする

●Wireless USBのデモが多数

 会場の一角にはWireless USBのコーナーが設けられ、多くのメーカーが技術デモを行なっている。Staccato Communicationsは、独自の1チップコントローラをデモ。プロトタイプではあるが、参考展示していたWireless USBアダプタは、一般的なUSBメモリ程度のサイズで、下半期中の出荷を予定している。コントローラチップのサンプル価格は15~20ドル程度。

 Wireless USBが利用する無線周波数帯の法整備もこの頃には完了している見込みとのことで、国内におけるWireless USBもいよいよ現実味が増してきた。

 このほか、東芝はHD DVDを搭載した「Qosmio G30」を、タイトーはIntelプラットフォームを採用したアーケード向けシステムボード「TAITO Type X」を展示していた。

Staccato CommunicationsのWireless USBアダプタのプロトタイプ 東芝のQosmio G30
TAITO Type Xはアーケードゲーム用のシステムだが、その中身は、Celeron/Pentium 4とRadeon 9600を使ったWindows機 TAITO Type Xを使ったアーケード版Half-Life 2

□IDF Japan 2006のホームページ
http://www.intel.com/jp/idf/
□関連記事
【3月10日】【CeBIT】スケールメリットによる低価格でUMPCの弱点を克服するMicrosoftの“Origami”
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0310/cebit03.htm
【IDF】IDF Spring 2006レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/link/idfs.htm

(2006年4月6日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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