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Windows Vistaはどこまで遅れるか




 これまでWindows Vistaのリリースについて、呪文のように“2006年ホリデーシーズン”と唱えてきたMicrosoftだが、ついに広範な入手が越年することを認めた。3月21日付けで出されたプレスリリースで、次期WindowsであるVistaのリリーススケジュールをアップデートしたのだ。

 発表によると現時点でのVistaのスケジュールは、2006年第2四半期(4月〜6月)に広域βとなるβ2(RC0)リリース、ボリュームライセンスの企業向けが2006年11月、コンシューマ向けの広範なリリースが2007年1月となる。とにかく年内にWindows Vistaの開発は終了させる、ということのようだ。

1月のCESで示されたWindows Vistaのデモ

 2005年の10月からMicrosoftは、ほぼ2カ月ごとにCTP(Community Technology Preview)と呼ばれるプレビューリリースを重ねてきた。現在のところ公開されているCTPで最新の2月版(ビルド5308)は、1月のCESでBill Gates会長が披露したWindows Sidebarをはじめ、機能的にはほぼ最終形態に近いものだと言われている。

 だが、逆に言えば、12月のCTPにはない機能が1月の時点で追加されているわけで、十分な安定度を期待するには無理がある。実際2月版には、リリースする時点で承知していたと思われる、明らかな不具合が多く見受けられる。

 もちろんこうした不具合は、プレリリースだけに、あっても全く問題はない。問題なのは不具合があることではなく、それを修正していくスケジュールがあとどれくらいかかりそうか、という見通しだ。

 これまでのペース通り、次のリリースを2カ月後の4月に出すと仮定して、その品質を広域βが可能な完成度にすることは、2月版を触った感じではかなり難しそうに思える(12月版より良くなっていることは間違いないが)。これを今回発表されたスケジュールと重ねると、β2リリースはギリギリ6月、というところだが、それでもかなりの努力が必要だろう。

 表は、Windows XPをリリースした時の日程だ。Windows XPではβ2が3月だから、Vistaのβ2が6月だと仮定しても丸々1四半期遅れていることになる。表のスケジュールに3カ月を加えると、XPにおける8月下旬の完成がVistaにおける11月の企業向けライセンス開始、10月下旬のプリインストールPCの出荷がVistaの1月リリースにそれぞれピッタリと重なる。となると、パッケージの出荷は2月になるかもしれない。

【表】Windows XP開発時の日程
2001年 3月β2(RC0)
2001年 6月RC1
2001年 7月下旬RC2
2001年 8月下旬完成(マスターアウト)
2001年10月下旬プリインストールPCおよびOEM版の販売開始
2001年11月中旬パッケージ版正式出荷

 だがWindows XPが、前バージョンのWindows 2000(2000年2月発売)からわずか1年8カ月でリリースされたもの(英語版)だったのに対し、Windows VistaはWindows XPから5年以上の月日が経過してのリリースとなる。どちらが手を入れる部分が多いか、新規開発になる部分が多いかは言うまでもないことだ。ここにきてEFIのサポートも先送りされるなど、機能の縮小がささやかれているが、それでもWindows XPより開発に時間はかかるだろう。今回のプレスリリースで示されたスケジュールは、余裕を見てのものというより、現時点でギリギリの線ではないかと思う。

 今回のスケジュールで感じるのは、無理に年内に開発を完了させる必要があるのか、ということだ。Microsoftの企業会計的にはいろいろあるのかもしれないが、クリスマス商戦が終わった後にコンシューマ向けの新製品を出されても困ってしまう。むしろ、1月にリリースされることが分かってしまえば、買い控えが増えるだけかもしれない(だからといって、クリスマス予算が残されるわけではなく、ほかの商品に流れてしまうだろう)。

 企業にしても、11月にリリースされてすぐ導入する会社などない。リリースを受けて、最終評価を始める、というのが最も気の早いところで、実際はリース等の更新時期まで簡単には動かないところの方が多いだろう。

 そう考えると、いまさらスケジュールを急ぐより、じっくりと使えるもの、安定した品質のものを新学期前までにリリースした方が良いと思う(新学期が、日本のものか、米国のものか、というのも問題かもしれないが)。一部で報道されているVistaがリリースされて半年でService Packリリース、機能拡張などという日程は、「Windowsのリリースに際しては何よりも品質を優先する」という自らの公約に背くものだ。Vistaの最初のリリースに間に合う機能と間に合わない機能を明示して、間に合わない機能をどうやって追加していくか、というロードマップをきちんと示すことが、企業などでの採用にもつながるのではないだろうか。

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【3月22日】Microsoft、個人向けWindows Vistaを2007年1月に延期
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(2006年3月22日)

[Reported by 元麻布春男]


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