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NECエレ、16bitマイクロコントローラを復活

「78K0R」シリーズ

2月13日 発表



 NECエレクトロニクス株式会社は2月13日に記者会見を開催し、組み込み用16bit CISCマイコン「78K0R」シリーズを4月からサンプル出荷すると発表した。

 「NECの16bitマイコン」といえば'80年代に開発された、8086互換の「V30」シリーズや8088互換の「V20」シリーズなどが良く知られている。また'90年代後半には独自アーキテクチャの「78K/4」シリーズを開発し、現在も販売中である。しかし最近では、16bitマイコンの新製品開発からは事実上撤退していた。組み込み用マイコン分野では、8bit CISCマイコンの「78K」ファミリと32bit RISCマイコン「V850」ファミリを主力に製品展開している。78K/4シリーズは新製品を出さず、V850の下位品種で置き換えることでユーザーをサポートしていた。

 今回開発した「78K0R」シリーズは、NECエレクトロニクスにとって久しぶりの16bitマイコンとなる。ただし、まったく新しいアーキテクチャの新製品で16bitマイコン市場に殴り込む、というわけではない。既存製品である8bitマイコン「78K」シリーズからの移行を想定した製品である。すなわちアーキテクチャは「78K」シリーズと命令セットで上位互換であり、「78K」シリーズではユーザーにとって処理性能や内蔵ROM容量などのリソースが不足した場合に、受け皿となってくれる。


左がNECエレクトロニクス第四システム事業本部汎用マイコンシステム事業部長の石川重信氏。右が同汎用マイコンシステム事業部グループマネージャー(ソリューション開発グループ)の市川正臣氏 NECエレクトロニクスのマイコン製品。8bit CISCマイコンの「78K」ファミリと32bitRISCマイコン「V850」ファミリを主力とする 8bitマイコン「78K」と16bitマイコン「78K0R」の命令セットの違い。78K0Rではシフト命令やスキップ命令など18個の命令を追加した。サポートするOSは78Kと同じく、μITRONである

 またNECエレクトロニクスの過去の16bitマイコンと大きく違うのは、フラッシュメモリを内蔵したマイコン(フラッシュマイコン)が主力という点である。同社は現在、フラッシュマイコンの拡充に注力しており、今回の製品もその一環と言える。マスクROM内蔵品は当面、開発しない。

NECエレクトロニクスにおける8bitフラッシュマイコンの出荷数量の推移。2005年9月27日に同社が開催した記者会見の資料より引用 フラッシュマイコンの製品展開。なお上期、下期とあるのは会計年度(4~3月期)なので注意 処理性能当たりの消費電力(mW/MIPS)の比較。他社品に比べ、約半分の消費電力と主張している

 それでは、他社の16bitマイコンと比べたときの性能はどうなのか。消費電力では優位にあるとする。「78K0R」は処理性能当たりの消費電力(mW/MIPS)が他社製品に比べて低いことを確認済み」(第四システム事業本部汎用マイコンシステム事業部長 石川重信氏)。

 そのほかは入手した情報を見るかぎり、他社製品に比べて劣る性能ではないし、抜きん出た性能というわけでもない。動作周波数当たりの処理性能は0.65MIPS/MHzであり、実行性能は動作周波数20MHzで13MIPSとなる。内部バス幅は16bit、命令長は16bit、パイプラインは3段である。命令処理に必要なクロック数は旧16bit品の78K/4に比べて低くなっており、CPI(cycles per instruction)を1に近づけているとする。これも最近の16bit CISCマイコンに見られる傾向だ。

 フラッシュメモリー技術は、米Silicon Storage Technology(SST)の「SuperFlash」(スプリットゲート)である。設計ルールは0.15μm。なおNECエレクトロニクスは0.15μm技術のフラッシュマイコンには従来からSuperFlashを採用してきた。

 「78K0R」シリーズは全体で30品種を予定している。最初の製品である「78K0R/KG3」は、128KB/192KB/256KBのフラッシュメモリを搭載する。電源電圧範囲は1.8~5.5V(単一)とかなり広い。

□NECエレクトロニクスのホームページ
http://www.necel.com/index_j.html
□ニュースリリース
http://www.necel.com/ja/news/archive/0602/1301.html
□Silicon Strage Technologyのホームページ(英文)
http://www.sst.com/

(2006年2月14日)

[Reported by 福田昭]

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