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日本IBM、研究開発施設「DCE イノベーションラボ」を新設

12月6日 開始



 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下IBM)は、デジタル情報機器向け最新技術や、人間中心の設計手法(User Centered Design)に関するユーザー体験型の研究開発施設「DCE(Digital Consumer Electronics)イノベーションラボ」を、神奈川県大和市にある大和事業所内に、6日付けで新設する。その開設に先立つ5日、報道関係者を対象とした見学会が開催された。

 IBMでは、ユーザーが使いやすい製品やサービスをデザインするための「User Centered Design」と呼ぶ手法を体系化し、ハードウェア、ソフトウェアの開発ソリューションとして2000年からコンサルティングなどを行なっている。基本は、ユーザーがどのように使うのか観察し、そこから使いやすいデザインを考えることだという。

 今回新設されたDCEイノベーションラボは、それらのノウハウをまとめ、IBMの顧客が技術を実際に体験し、新しい方向性を模索するためのユーザー体験型研究開発施設として設立されたもの。

 自動車、携帯電話、情報家電など、高機能化・複雑化するデジタル情報機器分野において、IBMが考える次世代の開発手法や、開発に必要なバックグラウンドのテクノロジーについて、体感できるデモやプレゼンテーションを提供する場だとしている。

 見学会では、自動車や携帯電話に関するデモンストレーションと、これまでIBMがデザインに関わった製品・モックアップなどが展示された。

イギリスの携帯電話メーカー向けに行なった「ORANGE」プロジェクトによるモックアップ。ケータイの本体とUI部分を分離させることで小型化を図った 中国向けに製作されたMP3プレーヤーと充電器のモックアップ。本体は石ころのような形をしており、ひねることでON/OFFが切り替わる。そしてお茶碗のなかに入れるだけで充電できる ビデオ編集などが行なえるプレーヤーのモックアップ
ウェアラブルな血圧計 左から感性メール、感性照明、感性携帯、感性人形の展示 届いたメールの内容によって、色が赤や青に変わったりするアンビエントなデバイス
スティック型インターフェイスのための研究用デバイス シチズンと進めていた腕時計型コンピュータ「WatchPad」 常に英語学習するためのデバイス「Pocketプロジェクト」で開発されたデバイス
ユニバーサルデザインのために開発されたPC。PC本体と、UI部分を分離 ユーザーは各人の状況に応じてUIを選ぶ

 このほか、不可視インクで印刷された二次元コードを使った「電子クリッピングシステム」もデモされた。電子クリッピングシステムとは、不可視インクで印刷物の上に二次元コードが印刷されており、それを読み取ることで電子媒体へとリンクしたり情報をクリップするシステム。既存のQRコードなどと違って、印刷物のレイアウトを変更せずに、そのままコードを印刷できる点が特徴で、2,000字程度の情報をスキャンするだけでクリップすることも可能だという。

電子クリッピングシステム 電子クリッピングシステム概要
画像処理技術によって印刷物の背景上の情報を読み取ることが可能 ゲームへの応用も考えられる
ユーザビリティテストルーム ユーザーの行動のログを記録する機材群 実際のデザイナーの作業スペースも公開された

 同社が力を入れているというのが、次世代の自動車と携帯電話のインターフェイスデザインだ。

 たとえば「アドバンスド・コックピット・ユーザー・インターフェイス」では、車に乗り込んだユーザーが自分の設定情報を、RFIDカードなどを使って車に示す。すると車のなかのユーザーインターフェイスが、ユーザーの設定どおりに切り替わるといったもの。デジタル家電や携帯電話との連携を想定したデモも紹介された。また、故障データをディーラーが蓄積することで、故障の解析なども行なえるようになるという。

 携帯電話の場合も考え方は同じで、ユーザープロファイルに応じてユーザーインターフェイスを、構造レベルで変えるというデモが示された。単にスキンを変えるのではなく、メニューの構造そのほかまで丸ごと、ダイナミックに切り替える点が特徴。

アドバンスド・コックピット・ユーザー・インターフェイス ディーラーモードに切り替えると、車の内部データが示される 携帯電話のユーザーインターフェイスチェンジの例

 特に携帯電話に顕著だが、現在のユーザーインターフェイスは、機能を次々に追加していったため、継ぎ足し開発が繰り返された状態になっている。そのためユーザーインターフェイスを変えるにしても修正箇所を特定することすら困難な状況に陥っている。

 ユーザーインターフェイスは、これからのデジタル機器を差別化する上でも重要であり、開発においても大きなウェイトを占めるべきだが、変更すると影響がシステムの各所に及ぶため、開発・テストの工数が増大してしまう。だが、本当に一般ユーザーが使いやすい製品を作り出すためには、デザイナーが試行錯誤しながらソフトウェアを作り上げていくような環境が不可欠である。そのためには、ユーザーインターフェイスとプログラムを分離できる開発環境が必要である。

 そのためにIBMは「DUET(Dynamic User Experience Technology)」というソリューションを提案するという。DUETは、デザイナーが、プログラマーの支援なしに画面の編集・遷移を編集することができる統合開発環境だ。基本操作はドラッグ&ドロップ。画面遷移や条件分岐するシナリオなども作りやすくなっている「デザイナー志向の統合開発環境」だ。ユーザーインターフェイスの定義はXML形式で蓄積することで別のプラットフォームにも移植しやすくする。

DUETの概念 DUETの操作
遷移画面も線で結ぶだけ DUETのまとめ

 ユーザー・エクスペリエンス・デザイン・センター担当 山崎和彦氏は、DCEイノベーションラボは「デジタル情報機器の開発を変革する」ことを目的として設立されたと語る。方針は「Smile Experience --ここちよい体験を提供すること」。どきどき、わくわく、うきうきといった体験をあらゆる人に提供することを目指す。

 そのためには3つの軸が必要だという。どんな人が使うのか、どこで使うのか、いつ使うのか。それを具体的に考慮し、デザインに落とし込んでいくプロセス、手法、チームが「ユーザー・センタード・デザイン」であり、さらに今後は、ビジネスシナリオをユーザーと考えて展開していくとアピールした。

□日本アイ・ビー・エムのホームページ
http://www.ibm.co.jp/
□ニュースリリース
http://www-06.ibm.com/jp/press/20051114001.html
□関連記事
【2001年12月17日】日本IBMのデザイン展覧会「IBM Design from Japan」開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011217/ibm.htm

(2005年12月6日)

[Reported by 森山和道]

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