NECのLet'snote対抗モバイルノート「VersaPro UltraLite」
〜1kgを切る軽量と、7時間のバッテリ駆動を実現



NEC「VersaPro UltraLite」

 NECは、国内PCメーカーの中でも最大手であり、2005年度上期実績で店頭市場シェア27%を獲得するなど業績も好調である。

 その幅広い製品ラインナップのなかで、唯一の弱点といえるのが、携帯性重視のモバイルノートPCだ。この分野ではパナソニックの「Let'snote」シリーズが、世界最高レベルの軽量性とバッテリ駆動時間を実現し、高い評価を得ている。

 今回、NECから登場した「VersaPro UltraLite」は、そのLet'snoteシリーズをターゲットとし、さらに上回る携帯性を目指したモバイルノートPCであり、NECの底力が感じられる。

●最軽量時構成で約996gを実現

 今回、新たに登場した「VersaPro UltraLite」(VY12F/CH-W)は、その名称からもわかるように、携帯性の高いモバイルノートPCである。

 VersaProシリーズは、ビジネス向けノートPCのブランド名であり、主に企業向けに販売されている製品だ(個人でも直販サイトの「得選街」などから購入可能)。

 従来のVersaProシリーズで最も軽量なモデルは、重さ約1.32kgの12.1型液晶搭載機であったが、VersaPro UltraLiteは、同じ12.1型液晶を搭載しながら、最軽量構成で約996gという、大幅な軽量化を達成している。

 VersaPro UltraLiteでは、高密度2段ビルドアップ基板や新デカップリングデバイス「プロードライザ」といった最新技術を採用し、マザーボードの重量は従来に比べて38%も軽くなったという。ちなみに、ライバルと目される「Let'note T4」(12.1型液晶搭載)の重さは約1.04kg(軽量バッテリ搭載時)であり、VersaPro UltraLiteのほうが40g以上も軽い。12.1型液晶搭載1スピンドルノートPCとしては、東芝の「dynabook SS SX/210LNLN」(12.1型液晶搭載で約995g)とともに、世界最高レベルの軽さを誇る。Let'snoteを初めて触ったときも、その軽さにびっくりしたが、VersaPro UltraLiteの軽さはそれ以上に衝撃的である。

 また、単に軽いだけでなく、筐体が丈夫なことも特筆できる。軽くて丈夫なマグネシウム合金や、たわませることで応力を吸収するボンネット構造の採用によって、筐体上面全体で150kgfの圧力を受け止めることが可能だ。Let'snote T4の耐圧は100kgfなので、1.5倍の圧力に耐えられることになる。

 筐体デザインも一新されているが、上面の形状は、同じくボンネット構造を採用したLet'snoteシリーズに似ている。ボディカラーはやや青みがかったシルバーで、落ち着いた色合いには好感が持てる。

VersaPro UltraLiteの上面。ボディカラーは、やや青みがかったシルバーである 上面には、ボンネット構造を採用。たわむことによって、応力を分散させて吸収する
DOS/V POWER REPORT誌とのサイズ比較。DOS/V POWER REPORTと奥行きはほぼ同じで、横幅は多少小さい 試用機の重量は実測で978gであったが、量産品では約996gとなる予定

●HDDは容量によってプラッタ径が異なる

 VersaPro UltraLiteは、メモリ容量やHDD容量、指紋センサの有無、無線LANの有無など、BTOによってさまざまなカスタマイズが可能である。今回は、512MBのメモリと40GBのHDDを搭載し、指紋センサを内蔵したモデルを試用した。なお、試用機は量産品ではないため、ベンチマークスコアなどはあくまで参考にしてもらいたい。

 CPUとしては、超低電圧版Pentium M 753(1.20GHz)を搭載する。このクラスのモバイルノートPCとしては、一般的なスペックだ。チップセットとしては、統合型チップセットのIntel 855GMEを採用。Let'snote T4(CF-T4HW4AXR)などに採用されているIntel 915GMSに比べると、一世代前のチップセットである。

SO-DIMMスロットを1基装備。1GB SO-DIMMを装着することで、1280MBまでメモリを増設できる

 なお、Intel 855GMEは、メモリクロック333MHz(PC2700)をサポートしているのだが、VersaPro UltraLiteのメモリクロックは、266MHz(PC2100)となっている。これは、バッテリ駆動時間を重視しているためであろう。オンボードで256MBのメモリを実装しているが、SO-DIMMスロットを1基装備しているので、最大1,280MBまでメモリを増設可能だ(BTOによって、搭載メモリは256MB/512MB/768MB/1,280MBから選択できる)。CPU冷却用のファンが用意されているが、CPU温度が低い状態では、ファンは回転しない。

 HDD容量は、20GB/40GB/80GB/100GBから選べるが、20GBと40GBは1.8インチHDD、80GBと100GBは2.5インチHDDとなる。VersaPro UltraLiteは、指紋センサを内蔵できることが特徴の一つだが、指紋センサを搭載するには、HDDが1.8インチであることが要求される。内蔵指紋センサを利用したいのなら、HDD容量は40GBまでとなることに注意が必要だ。

 HDD性能的にも、1.8インチHDDは2.5インチHDDに比べて不利なので、HDD容量や性能をとるか、内蔵指紋センサをとるかという選択になる。HDDは、L字型の衝撃吸収素材によって、フローティング構造で固定されているため、外部からの衝撃が伝わりにくい。また、液晶パネルについても、落下時の衝撃を分散させる工夫や、剛性を高める工夫が行なわれている。

 1スピンドルノートPCなので、光学ドライブやFDDは内蔵していない。BTOメニューには、USB接続のCD-RW/DVD-ROMドライブやDVDスーパーマルチドライブ、FDDなどが用意され、同時に購入することが可能だ。

●指紋センサにより高いセキュリティを実現

 VersaPro UltraLiteは、BTOによって指紋センサを内蔵できることが特徴だ。ただし、前述したように、2.5インチHDDを搭載している場合は、指紋センサを内蔵することはできない。指紋センサがあれば、パスワード入力を指紋認証で代替でき、高いセキュリティを実現可能だ。

 さらに、標準でセキュリティチップ(TPMチップ)が搭載されているため、ファイル暗号化のキーをセキュリティチップで保護することができる。複数のパスワードを1つのパスワードで管理するためのユーティリティソフト「IWS Desktop Security」も付属する。なお、2006年2月末には、IWS Desktop Securityの指紋認証対応版がWebサイトで無償公開される予定だ。

 さらに、PC内のデータを認証済みのリムーバブルメディアにしかコピーできないようにするツールや、USBメモリの利用を禁止する機能(USB自体を無効にするのではなく、USBマウスなどは利用可能)も装備しているなど、ビジネス向けモデルらしく、セキュリティ機能は充実している。また、日本で初めて、Windows起動前にウイルス対策ソフトのパターンデータをアップデートする「Platform 5 アップデートエージェント」(ウイルスバスター2006に対応)も搭載している。

 ディスプレイには、12.1型液晶パネルが採用されている。AVノートでよく用いられている表面に光沢のあるタイプではなく、つや消しのノングレアタイプなので、外光の映り込みも少なく、長時間使っていても目が疲れにくい。

パームレスト右側に指紋センサを内蔵可能。ライン型で、指を滑らせて認証を行なう 「コンピュータの電源を切る」ダイアログボックスに並ぶアイコンの横の長さは約9mmである

●正方形で使いやすいキーボード

 キーボードの出来もいい。Let'snoteシリーズの場合、14.1型液晶を搭載したLet'snote Y4以外は、縦方向のキーピッチが狭く、キートップが長方形になっているため、慣れるまでやや違和感がある。それに対して、VersaPro UltraLiteでは、キートップが正方形なので、ミスタイプしにくい。

 キーピッチは17.55mm、キーストロークは2.5mmと標準的だが、キーピッチが均等なので、かな入力ユーザーも使いやすい。キータッチも心地よく、快適にタイピングが可能だ。ファンクションキーも4つごとに間隔があいているので、デスクトップPCのフルキーボードに近い感覚で入力できる。また、BIOS設定で、Fnキーと左Ctrlキーを入れ替えることも可能だ。

 ポインティングデバイスとしては、パッドタイプのNXパッドが採用されている。シンプルな2ボタンタイプのパッドだが、操作性は良好だ。

 インターフェイスとしては、USB 2.0×3、外部ディスプレイ、PCカードスロット(Type2×1)、Ethernet、モデムなどを装備している。SDメモリーカードスロットやIEEE 1394ポートなどを装備していないのは残念だが、コンシューマ向けモデルではないので、そう問題にはならないのであろう。PCカードスロットのフタは、ダミーカード方式なので、紛失する恐れがあるのは残念だ。

 USBポートは、左側面に2つ、右側面に1つ用意されているが、右側面のUSBポートには、10,000回の挿抜試験をクリアした信頼性の高いコネクタが使われている。通常のUSBポートの場合、保証挿抜回数は3,000回程度とのことなので、3倍以上の抜き差しに耐えることになる。USBメモリなどを頻繁に抜き差しする際も、安心して利用できる。

キートップは正方形で、右側の文字キーのピッチも均等になっている ポインティングデバイスとしてNXパッドを採用。シンプルな2ボタンタイプのパッドである 本体左側面には、外部ディスプレイやUSB 2.0×2、ヘッドホン出力、マイク入力、Ethernet、モデムの各端子が用意されている
本体右側面には、PCカードスロットやUSB 2.0、ケンジントンロック用固定穴が用意されている PCカードスロットのフタはダミーカード方式である 右側面のUSBポートには、10,000回の挿抜試験をクリアした信頼性の高いコネクタが使われている

 BTOによって、IEEE 802.11a/b/g対応無線LAN機能を追加可能だ。専用の無線LANスイッチは用意されていないが、FnキーとF2キーのコンビネーションによって、無線LANのON/OFFを行なうことができる。なお、パームレスト左手前部分に無線LANインジケータが用意されており、無線LANの動作状況を知ることが可能だ。

 バッテリは4セル仕様(7.4V、5,200mAh)で、公称最大約7時間の動作が可能だ。Let'snote T4は、標準で9セルバッテリを採用しており、最大約12時間の駆動を実現しているが、4セルバッテリ搭載時の公称駆動時間は約5時間となる。4セルバッテリで約7時間駆動を実現したのは、VersaPro UltraLiteが業界初となる。VersaPro UltraLiteでは、液晶パネルをはじめ、徹底して消費電力の小さなデバイスを採用し、高度なパワーマネージメント技術を駆使することで、Let'snoteシリーズを上回る省電力設計を実現している。なお、標準バッテリでの駆動時間が長いため、大容量バッテリは用意されない。

 ACアダプタはコンパクトで軽く、携帯性も良好だ。また、ウォールマウントプラグが付属していることも特徴である。ACアダプタにウォールマウントプラグを装着すれば、直接コンセントにACアダプタを差し込めるようになる。コンセントの位置や回りのスペースによって、ACケーブルとウォールマウントプラグを使い分けられるので便利だ。

専用の無線LANスイッチは用意されていないが、Fn+F2キーで、無線LAN機能のオンオフが可能 パームレスト左手前に、各種LEDインジケータが用意されている。左から3つ目が、無線LANインジケータである
バッテリは4セル仕様で、コンパクトである。左はVHSビデオテープ 電圧は7.4V、容量は5,200mAhとなっている
ACアダプタもコンパクトで、携帯性は良好だ。左はVHSビデオテープ 壁などのコンセントに直接差し込めるウォールマウントプラグが付属 ウォールマウントプラグをACアダプタに装着したところ

●パフォーマンスはそこそこだが、バッテリ駆動時間には満足

 参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、BAPCoのMobileMark 2002、SYSmark 2002、Futuremarkの3DMark2001 SEおよび3DMark03、id softwareのQuake III Arenaを利用した。

 MobileMark 2002は、バッテリ駆動時のパフォーマンスとバッテリ駆動時間を計測するベンチマークであり、SYSmark 2002は、PCのトータルパフォーマンスを計測するベンチマークである。また、3DMark2001 SEやQuake III Arenaは、3D描画性能を計測するベンチマークだ。MobileMark 2002については、電源プロパティの設定を「ポータブル/ラップトップ」にし、それ以外のベンチマークについては、電源プロパティの設定を「常にオン」で計測した。また、バックライトの輝度は、8段階中4段階目に設定した。

 結果は下の表にまとめたとおりである。比較対象用にLet'snote T4やLaVie A LA790/DD、LaVie RX LR700/CDの結果も掲載する。

【VersaPro UltraLiteのベンチマーク結果】
 VersaPro UltraLiteLet'snote T4Lavie A LA790/DDLaVie RX LR700/CD
CPU超低電圧版Pentium M 753超低電圧版Pentium M 753超低電圧版Pentium M 753Pentium M 740
ビデオチップIntel 855GME内蔵コアIntel 915GMS内蔵コアIntel 915GMS内蔵コアRADEON XPRESS 200M
内蔵コア
MobileMark 2002
Performance rating148166167計測不可
Battery life rating298563284170(注)
SYSmark 2002
Internet Content Creation199206209283
Office Productivity111153146159
3DMark2001 SE
1,024×768ドット
32bitカラー(3Dmarks)
1813343535095789
Quake III Arena
640×480ドット
32bitカラー
88.4105.2104.3182.5
800×600ドット
32bitカラー
59.396.491.4136.4
1,024×768ドット
32bitカラー
38.378.765.3101.6
3DMark03
1,024×768ドット
32bitカラー(3Dmarks)
888037931559
CPU Score計測不可361352553
(注)手動計測による参考値

 まず、MobileMark 2002の結果から見ていこう。バッテリ駆動時のパフォーマンスを示すPerformance ratingのスコアは148で、同じ超低電圧版Pentium M 753を搭載したLet'snote T4やLaVie A LA790/DDに比べて20近く低い。その理由としては、チップセットが1世代古く、メモリバスが狭いことと、1.8インチHDDを搭載していることが考えられる。

 バッテリ駆動時間を示すBattery life ratingは、298分(4時間58分)であり、LaVie A LA790/DDやLaVie RX LR700/CDを上回っている。Let'snote T4は、563分(9時間23分)という優秀な結果を記録しているが、これは本体総重量が1.26kgとなる9セルバッテリでのテスト結果であることに注意したい。Let'note T4を4セルバッテリで駆動した場合、公称駆動時間は約12時間から約5時間になる。そこから、Battery life ratingのスコアを推定すると、563×5÷12=235になるわけだ。つまり、同じ4セルバッテリ同士の比較なら、Let'snote T4よりVersaPro UltraLiteのほうが、長時間駆動できることになる。バックライトの輝度を下げれば、より長時間の駆動も可能になるので、バッテリ駆動時間については十分合格点をつけられる。

 SYSmark 2002のInternet Content Creationのスコアは、Let'snote T4やLaVie A LA790/DDに比べて5%程度低いだけだが、Office Productivityのスコアは3割近くも低くなっている。Office Productivityのスコアは、HDD性能に左右されやすいので、1.8インチHDDを採用した今回の試用機では、あまり芳しくない結果となっているのだろう(Let'snote T4やLaVie A LA790/DDは2.5インチHDDを採用)。

 3DMark2001 SEやQuake III Arena、3DMark03といった3D系ベンチマークのスコアも、統合型チップセットの世代が一世代古いため、最新のIntel 915GMSを搭載したLet'snote T4やLaVie A LA790/DDに比べると見劣りしてしまう。3D描画性能については期待しないほうがいい。

●モバイルノートPCとしての完成度は高い

 VersaPro UltraLiteは、NECが本気でモバイルノートPCに取り組んでいることを実感させてくれる製品だ。パフォーマンスは、2.5インチHDDやIntel 915GMSを搭載したライバル製品に及ばないが、長いバッテリ駆動時間や筐体の丈夫さ、キーボードの出来など、モバイルノートPCで重要になるポイントを、世界トップレベルでクリアしている。モバイルノートPCとしての完成度は高いので、軽くて丈夫なモバイルノートPCを探している人には、有力な選択肢となるだろう。

 今後は、VersaPro UltraLiteをベースにした、コンシューマ向けモバイルノートPCの登場も期待できそうだ。

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【12月5日】NEC、1kgを切るモバイルノート「VersaPro UltraLite」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1205/nec.htm

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(2005年12月5日)

[Reported by 石井英男]


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