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東工大、1万コアのOpteron搭載グリッドは
「みんなのスパコン」

東京工業大学 学術国際情報センター長 酒井善則氏

11月29日 開催



 国立大学法人 東京工業大学は29日、16日付けで発表した国内最大のスーパーコンピューティング・グリッドに関するプレス向け説明会を開催した。

 まず、東京工業大学学術国際情報センター長 酒井善則氏がグリッドの概要について解説。米AMDのOpteron、米SunのGalaxy、米Cluster File Systemsの大規模ファイルシステム、イスラエルVoltaireのインフィニバンド、英ClearSpeedのSIMDアクセラレータボードなど、各国の技術をNECが結集して実現したと説明した。

各国の技術を集結 一般的なノートPCとの比較

 このグリッドはデュアルコアOpteron 8way(16コア)のノード計算機を655ノードで構成。計5,240個(10,480コア)を搭載し、50T FLOPSを実現する。さらに、SIMDアクセラレータを600ボード以上搭載し、合計で100T FLOPSを実現する見込み。

 このほか、メモリは21.4TB以上、HDDは1.1PB(ペタバイト:テラバイトの1,024倍)以上、ネットワーク性能は13Tbpsなどの仕様となっている。現行の一般的なノートPCと比較し、演算性能が約60,000倍、メモリ容量が約40,000倍、HDD容量が約14,000倍、ネットワーク性能が130,000倍という。

 OSは現状Linux(SuSE Linux Enterprise)だが、Solaris 10およびWindowsも検討中という。また、NECのSX-8ベクトル計算機の設置も計画している。今後、2007年までインフラ増強を継続し、2008年度には中間アップグレード戦略により、日本だけでなくアジアでも上位を維持したいとの意向を示した。

 今回のグリッドの狙いは、以前のHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)が限られたユーザー層や特殊なソフト、少ない資源、孤立した計算環境のような閉鎖的な状況であることを打開し、大規模なHPCマシンによるデスクトップや研究室のクラスタと連続性のあるソフトウェアや、研究/教育/産学連携などユーザー層の裾野を拡大すること、グリッド技術による仮想組織化、シームレス化であるとした。

 説明会には、NECの山本雅彦執行役員常務、日本AMD株式会社のデイビッド・ユーゼ社長、サン・マイクロシステムズ株式会社のダン・ミラー社長も駆けつけた。

NEC 山本雅彦執行役員常務 日本AMD株式会社 デイビッド・ユーゼ社長 サン・マイクロシステムズ株式会社 ダン・ミラー社長

 NECの山本氏は、同社がHPC分野において世界を牽引してきた実績を強調し、「今回のグリッドは少なくとも50T FLOPSを実現できる」と語り、「HPC分野に関してもSunとの協業が広がってきた。これを新たなチャレンジにつなげていきたい。今回のシステム構築には東工大の皆様に教えを請いながら、各パートナー様と協力していきたい」とコメントした。

 日本AMDのユーゼ氏は、「日本の学生が勤勉に努力するだけでなく、教授の方々も努力し、さまざまなベンチマークを行なった結果、(Opteronの)導入を決めてもらったのだろう」とコメント。また、「日本国内において、AMDにとって最大の好機ではないだろうか。また、Sunにとっても大きなチャンスだと思う」と今回のグリッドへの期待の大きさを表した。

 サン・マイクロシステムズのミラー氏は、「先生方にはフェアな選択をしていただいた。このグリッドはSun創設当時を思い出すような大きな出来事」と表現。「我々の技術は世界一になるものだと信じているし、SunとAMDの技術は世界でも随一だと思っている。今後は密に東工大とコラボレーションを行ないたい」と語った。

東京工業大学学術国際情報センター教授 松岡聡氏

 最後に、東京工業大学学術国際情報センター教授 松岡聡氏が挨拶。「NEC、Sun、AMDと日本一のグリッドを作れてうれしく思う」とし、産学連携の大きなAchieve(達成)だとした。加えて、「最高のコストパフォーマンス、最高の使い勝手、最高の性能を得た」と今回のグリッドの素晴らしさを強調した。

 続けてグリッドの詳細構成などを説明。655ノードの中で、639ノードが2.4GHz動作のデュアルコアOpteron、32GBのメモリを搭載し、残りの16ノードは2.6GHzのデュアルコアOpteronとメモリ64GBを搭載する構成となっている。2.6GHzのデュアルコアOpteronは2005年11月時点で一般市場には存在しない特注モデル。この10,480コアで50T FLOPS。

 この各ノードにSIMDアクセラレータボードを搭載。11月時点で360ノード(約35T FLOPS)、今後、追加調達により600ノードに搭載し、合計で100T FLOPSを達成する。2006年春の時点では達成しているだろうとの見通しを示した。

 ノードからインフィニバンドでストレージ、外部ネットワークへと接続し、ストレージはSunのThumper(コードネーム)を採用した1PB(500GB HDD×48搭載サーバーを42台)のものと、NECのiStorageを採用しRAID 6で信頼性を高めたものを96TB用意。合計で約1.1PBとなっている。

 また同氏は、このグリッドを東工大全体へ開放して「みんなのスパコン」という位置付けにするとコメント。東工大の新入生は国内最速スーパーコンピュータのユーザーになれるとした。産学連携なども計画しているという。

 Opteronを採用した理由は、x86のソフトウェア汎用性、システム互換性などエコシステムが重要で、“みんなのスパコン”を目指す上で必要だったと説明。グリッド技術により、ユーザーが意識せず研究室などからシームレスに接続することでさまざまな計算用途に活用したいと語った。

システムの詳細な構成 「みんなのスパコン」を目指す

□東京工業大学のホームページ
http://www.titech.ac.jp/
□関連記事
【11月16日】東京工業大学、デュアルコアOpteronを5,240基搭載した国内最速グリッド
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1116/titech.htm

(2005年11月30日)

[Reported by yamada-k@impress.co.jp]

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