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ルネサス、2005年度上半期は辛うじて黒字

社長兼CEOの伊藤達氏

11月8日 発表



 日本最大の半導体ベンダーである株式会社ルネサス テクノロジは8日、報道機関向けの会社説明会を開催し、2005年度上半期(2005年4~9月期)の業績(連結)と今後の事業展開を公表した。

 説明にあたった同社社長兼CEOの伊藤達氏は、2005年度の上半期業績を「大変残念な結果。さえない数字」と評した。売上高は前年同期比14%減、前期比10%の4,393億円にとどまった。営業利益は5億円となり、辛うじて利益を確保した。過去の営業利益は前年同期(2004年上半期)が364億円、前期(2004年下半期)が146億円だった。

 この結果、2005年度通期(2005年4月~2006年3月)の業績見通しを当初計画から下方修正した。売上高は前年比11.3%減の8,893億円となる見通し。当初計画の9,700億円から、約800億円のマイナスである。上半期を景況の底とし、下半期はゆるやかな回復を見込んでおり、通年の営業利益は45億円となる見通し。なお2004年度通期の売上高は1兆24億円、営業利益は510億円だった。

2005年度上半期(2005年4~9月期)の業績。なお、2004年度上半期の売上高は5,135億円、営業利益は364億円 2005年度下半期(2005年10月~2006年3月期)の見通し。当初計画を下方修正した。事業再編や年金一元化などのため、純損益では上半期、下半期のいずれも赤字となる 事業分野別の概況と下半期の展開。上半期はSoC(システムLSI)を除くと、いずれの分野も売上高は前期比でマイナス成長となった。ただし営業収支ではSoCは赤字であり、MCU(マイコン)やLCDドライバなどで上半期の営業黒字を確保した

●中国市場への取り組みを強化

 続いて伊藤社長は、同社の中期的な成長戦略を説明した。半導体需要を地域別にみると、中国を中心とするアジア地域が高い成長を示すものの、ほかの地域は成長率が鈍化している。そこで中国の設計/技術サポートを強化する。現在、中国の設計拠点には300名の人員を配置しているが、これを2007年度には、500名へと増強する。

 また、開発資源を再配分し、選択と集中をを徹底する。汎用製品事業(マイコン、LCDドライバ、アナログ)とシステムソリューション事業(システムLSI)、メモリ事業の3事業分野があるなかで、汎用製品事業とシステムソリューション事業を強化する。

中国およびアジア市場に重点的に取り組む 開発資源(開発リソース)を再配分する

●マイコンはフラッシュメモリ内蔵品を強化

 製品別では、トップシェアであるマイコン事業に引き続き力を入れる。例えばフラッシュメモリを内蔵するマイコン(フラッシュメモリ)で電源電圧が1.8Vの低消費電力品を投入する。現在、マイコンのシェアは世界全体で22%、フラッシュマイコンのシェアは世界全体で28%ある。これをそれぞれ30%、35%に引き上げたいという。

 またシステムLSIの開発期間を短縮するとともに、ソフトウェア開発の効率を高めるプラットフォーム「EXREAL」を紹介した。大規模なシステムLSIの開発には、EXREALを全面的に採用していく方針だという。

マイコン事業では、フラッシュメモリ内蔵版を強化する システムLSI開発用新プラットフォーム「EXREAL」のコンセプト。松下電器産業の「UniPhier(ユニフィエ)」、NECエレクトロニクスの「platformOViA」と意図するところ(開発期間の短縮とソフトウエア開発負担の軽減)は同じである。なおここでは2008年に全面適用とあるが、伊藤社長は「もっと早めたい」とコメントしていた
「EXREAL」の概要。さまざまなハードウェア部品同士を接続する技術、各種のソフトウェア部品を接続する技術、性能や消費電力などの評価検証技術で構成される 「EXREAL」をベースに、携帯電話機向け、車載情報システム(CIS)向け、デジタルテレビ(DTV)向けといった用途別のプラットフォームを用意する。こうなると「EXREAL」は母体であるマザープラットフォーム、あるいはグローバルプラットフォームなどと呼んだ方が分かりやすいかもしれない

□ルネサス テクノロジのホームページ
http://japan.renesas.com/
□関連記事
【2004年11月4日】ルネサス、2004年度上期の成果を発表
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/21269.html

(2005年11月8日)

[Reported by 福田昭]

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