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Intel、プラットフォーム能力を評価する新ベンチマーク
〜当初は3Dゲーム用とデジタルホーム用を提供

デーブ・サルバトアー氏

10月20日 発表



 米Intelは20日、国内で報道向け説明会を開催し、PCのプラットフォームとしての能力を評価する新ベンチマークを発表した。同社が運営するサイト「www.intelcapabilitiesforum.net」を通じて、今後、数週間で順次公開される。

●従来のTimedemoが抱える問題

 1つ目のツールは3Dゲームの性能を計測するもの。Intelでパフォーマンス・ベンチマーク・アナリシス ワールドワイド・クライアント・ケーパビリティ・エバンジェリストを務めるデーブ・サルバトアー氏は、今回このツールを提供するに至った経緯を次のように説明した。

 「DOOM3」や「Half-Life 2」などのゲームは、特定のPCでどの程度の性能が出るのかを判断するために、一般に「Timedemo」と呼ばれるフレームレートの計測モードを搭載する。Timedemoを実行すると、スクリプトによりそのゲームの一部が自動実行され、平均フレームレートを知ることができる。

 一般的に、フレームレートが高ければ高いほど、そのPCは3D性能が高いということになる。が、サルバトアー氏によれば、この手法は現在のユーザーニーズや市場の方向性に、もはやそぐわなくなってきているという。というのも、Timedemoの結果は、Timedemoにおける性能しか示していないからだ。

 具体的な事例として、同社が「Unreal Tournament 2004」を用いて検証した結果によると、Timedemoと実際のゲームではメモリのアクセスパターンやFSB転送プロファイルに大きな違いがあるという。また、DOOM3では、物理特性や人工知能に関わるゲームエンジンの「gamex86.dll」が、実際のゲームで使用される命令セットの内9%を占めるが、Timedemoでは全く使用されていないという。

Unreal Tournament 2004のTimedemoと製品版でのメモリアクセスと転送プロファイルの相違 Unreal Tournament 2004(左)とDOOM3(右)における利用命令セットの相違

 平均フレームレートという指標も、ユーザーの体験や満足度を示すには不十分であるという。例えば、最高フレームレート/最低フレームレートが76/44のPCと、101/29のシステムを比較すると、平均フレームレートは前者が63、後者が68となり、この数値のみを見ると、後者がより良いPCとなる。

 しかし、実際にユーザーがプレイする場合に、後者のPCではフレームレートが乱高下するため、ユーザーの満足度は低下し、平均フレームレートが低くとも、安定している前者のPCの方がよりゲームを楽しめる。

平均フレームレートが高くとも、必ずしも快適とは限らない 60fpsを超えると、ユーザーの満足度は頭打ちに

●ゲームプレイの満足度を示すGaming Capability Assessment Tool

 このTimedemoの問題を解決するため、今回同社が提供する「Gaming Capability Assessment Tool」(以下、GCATと呼ぶ)は、性能の測定に実際のゲームを利用し、平均フレームレートとは異なる新たな指標を示すものとなっている。

 このツールでは、ユーザーが「DOOM3」、「Half-Life 2」、「Unreal Tournament 2004」のいずれかを実際に3分程度プレイすることで、性能を計測する。

 ツールにはゲーム本体は含まれないため、各ゲームは測定者が用意する必要がある。ただし、サルバトアー氏によれば、実際のゲームとほとんど同じコードを利用しているので、デモ版でも満足な結果が出るだろうとしている。

 実際にユーザーがプレイしなければならないのは、実際のゲームの性能を測定するために必要な行為だが、デフォルトのTimedemoや、カスタマイズされたTimedemoも利用することができる。しかし、前述の理由から同社では実際のゲームのプレイを推奨している。

 また、同社ではTimedemoで、実際のゲームと同等の命令セットやアルゴリズムを使うようゲームメーカーに提案しているという。

Gaming Capability Assessment Toolの起動時のウィザードの画面。ここではゲームを選択 ゲームを実際にプレイするか、推奨ではないがTimedemoを実施 結果表示画面

 性能の計測が終了すると、2つの5段階評価(実際には、小数点以下も表示)が表示される。この指標は調査会社Gartnerが行なった実地検証によるデータに基づいている。

 Gartnerは175人のゲーマーを集め、それぞれ性能の異なる5種類のPCで上記の3種類のゲームをプレイさせ、満足度を調査。その結果、0fpsから60fpsまではリニアにユーザーの満足度が向上するが、60fpsを超えるとほぼ一定の値に落ち着いたという。

 このデータを基に、Intelでは、DOOM3は40fps、Half-Life 2とUnreal Tournament 2004では45fpsというしきい値を設定。GCATでは、ゲームの実行中このfpsを下回る時間の割合を測定することで、しきい値モデルにおける指標を測定する。

 もう1つ、ベイズ解析モデルという指標も測定される。ここでは、高い瞬間フレームレートは、より高いユーザー満足度を実現し、安定したフレームレンダリングの方が、変動するより望ましい、という2つの仮定に基づき、これをベイズの確率の定理などに当てはめ、数値化する。

 2つのモデルを用意したのは、しきい値モデルは、理解しやすいが、形式が簡単すぎ、ベイズ解析モデルは、詳細だが、理解が難しいという、それぞの長所/短所を補完するため。

ロードマップ

 これにより得られた結果は、従来のベンチマークより、より実地的であり、ユーザーの満足度を反映したものであるというのがIntelの主張だ。

 ただし、GCATで示される指標は、フレームレートのみをベースとしたもので、アンチ・エイリアスや、異方性フィルタリングといった画質についての情報は得られない。この点については、現在、映像品質基準に沿った数学的モデルを開発中で、将来のバージョンでは定量的に画質も測定されるようになる見込み。

 このほか、ゲームジャンルをFPS以外にMMORPG(多人数型オンラインRPG)やRTS(リアルタイム ストラテジ シミュレーション)などにも拡大、マルチタスクの対応、マルチスレッドゲームへの対応、バッテリなどモバイル機向けの性能評価、といった拡張が予定されている。

 なお、フレームレートの測定には、「FRAPS」というツールが別途必要。FRAPSはシェアウェアだが、フレームレートの計測機能についてはフリー版でも提供されているため、GCATではフリー版で機能する。

●主観的画質評価を行なうDigital Home Capability Assessment Tool

 もう1つのツールは「Digital Home Capability Assessment Tool」(以下、DHCAT)と呼ばれる、デジタルホームでのユーザー体験を指標化するベンチマークソフト。

 DHCATでは、デジタルホームの利用形態に則した基本要素として、映像/オーディオの再生や録画、TVの視聴、ファイルの圧縮、ポータブルプレーヤーへの転送、DLNAメディアサーバー機能などの項目について、反応時間や、映像品質、性能を計測する。

 性能計測においては、上記項目の単体実行に加え、デジタルホームサーバーでの用途を考慮し、映像をエンコードしながら、複数のストリームを同時配信といった複数タスクの同時実行も行なわれるほか、10フィートGUIについても評価がなされる。

テスト内容 結果画面。SDコンテンツ、HDコンテンツ、ネットワークへの対応状況とスコアが表示 詳細なテスト結果も表示できる

 映像の録画(エンコード)画質の評価については、Psytechnicsのツールを利用しており、オリジナル画像とエンコード後の画像の客観的な比較と、人間による画質評価のデータベースを活用したアルゴリズムによる主観的な画質評価を組み合わせ、人間の知覚を基にした能力評価を行なう。

 再生とストリーミングについては、それぞれフレーム落ち、フレーム遅延を測定し、ユーザー体験の優劣を定量的に評価する。

 将来的には、コンテンツの作成、熱設計やファンノイズ、VoIPなども対象に含める予定。

 なお、DHCATは、HD動画素材などを含み、ファイルサイズが4GBを超えるため、ダウンロード以外に、DVDメディアでの提供なども検討しているという。

録画画質のテスト画面。機械的な画像比較と、人間の見た目の印象を組み合わせて評価 ロードマップ

●AMDへの不当な締め出しはない

 質疑応答では、Intelが開発/提供することで、AMDプラットフォームで動作しなかったり、Intel製品と比べ不当な結果が出る可能性があるのではといった懸念が相次いだ。

 この点についてはIntelも重々承知しているようで、サルバトアー氏は「コードおよび開発に関しては“透過性”に重点を置いている」とした。

 コードの透過性については、契約を結んだ開発者に対してソースコードを公開するとしており、AMD製品に対する不公平なコードが含まれていないかを確認できるという。また、前述のサイトには、ユーザーフォーラムも設置され、フィードバックを受けたり、今後の開発についてオープンな話し合いを持つ予定という。

 これらのツールが有用なものとして普及するには、ユーザーおよび業界からの信頼を得るのが必須というのが同社の考えのようだ。ただし、AMDとの共同開発の可能性については否定した。

□Intelのホームページ(英文)
(10月20日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.intel.com/

(2005年10月21日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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