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第8回ROBO-ONE in 飛騨高山開催
9月17日~19日 会場:飛騨・世界生活文化センター 9月17~19日、岐阜県高山市「飛騨・世界生活文化センター」にて「21世紀夢ウイーク~飛騨高山ロボットワールド~」が開催された。ASIMOやレスキューロボットなどのデモンストレーションのほか、「第8回ROBO-ONE in 飛騨高山」が開催された。会場には17日で1,500人、18日には3,000人の来場者があり、家族連れなどでにぎわった。 「飛騨高山ロボットワールド」というイベントそのものは高山市合併記念行事として行なわれたもの。このイベントを企画した高山市企画管理部企画課の林 秀和主任によると、将来を担う子ども達に未来の技術の象徴であるロボットを実際に見せて身近に感じてもらうことにより「創造する喜び、仲間と協力して目的を達成する喜び、夢が現実に近づく喜びを体験」してもらうことを目指したものだという。また、高山の精密機械メーカー関係者に実際のロボットの様子を見てもらい、活性化に繋げていきたいという思いもあったという。 当初はロボットといっても企業ロボットのみを呼ぶ予定だったのだが、岐阜県立飛騨神岡高等学校 工業科の中村英樹教諭のアドバイスによってROBO-ONEの存在を知り、誘致に至ったのだという。
ROBO-ONEとは、アマチュアによる二足歩行ロボットの格闘エンターテイメント・イベントである。2002年2月に第1回が行なわれ、今回が8回目。通常は日本科学未来館か川崎市産業振興会館で行なわれている。 ROBO-ONEには毎回、予選と決勝があり、予選では「規定競技」が課せられる。今回の規定競技は「とにかく走る」。その模様は、後ほど別の記事でお伝えする予定だ。 予選には88台のロボットが登場したが、審査員の審査の結果、上位32位に入ったロボットが本戦に挑むことができる。本記事では、18日に開催された本戦ベスト8決定戦以降の闘いの模様を中心に、レポートする。 ●第8回ROBO-ONEベスト8決定戦(2回戦) ベスト8決定戦第一戦は「HAJIME ROBOT」VS「Dynamizer」。どちらもROBO-ONE常連の強豪で、機動性に富むと同時に安定した動きを見せるロボットだ。しかもどちらも攻撃方法が似ているため、同じ攻撃を繰り出してぶつかってしまう場面があった。勝敗は、より素早く、操作への反応も早いDynamizerの勝利に終わった。DynamizerはROBO-ONE界きってのアスリートロボットである。
第2戦はバンプレスト「Raging-God」VS「TAEKWON-V」。TAEKWON-Vは韓国から参加のロボットで、前大会で優勝したロボットである。勝敗は安定感と勝負馴れの差でTAEKWON-Vに。
第3戦は「ivre02」VS「プティ(Petit)」。赤い機体のプティは高いジャンプや、最近人気のお笑い芸人「レイザーラモンHG」をイメージしたカクカク踊りなど、高い運動性を誇る。対して「ivre02」は人間でいう膝から手が生えたようなロボット。勝利はプティ。
第4戦。「OmniZero.1」VS「Aerobattler Pento」。「Aerobattler Pento」はペンギン型で子ども達に大人気。しかも頭突き攻撃はかなりのダメージを相手に与えることができる。対する「OmniZero.1」はROBO-ONEの中では「万年2位」と尊敬? の称号を与えられている前田さんによる実力派ロボット。腕を大きく振り回して相手を転倒させる。
第5戦。「Arichyon(アリキオン)」VS「R-Blue」。動作1つ1つに音声によるエフェクトを振って、「ファイトファイト」、「アタック」とカワイイ声で強烈な攻撃を繰り出す「Arichyon」。R-Blueは近藤科学のロボットキットKHR-1の基本設計などで知られる吉村さんの新型ロボット。操作ミスが若干目立ったR-Blueに対して、Arichyonがかわいい声とは裏腹に強烈な連続攻撃を決めて勝利をおさめた。
第6戦。「YOGO CUSTOM」VS「HSWR-07」。HSWR-07はなんと車から変形するロボット。しかも車状態で走行することも可能で、二足歩行状態でもスマートな外見を持つ。どのように変形するかは追ってレポートする。YOGO CUSTOMによる姿勢を低くした状態での腕を振り回す攻撃を見せるロボット。最後はYOGO CUSTOMが電源入れ忘れでスタンディングダウンとなり、勝利はHSWR-07に。
第7戦。「Lancer」VS「マジンガァ」。Lancerはこじんまりとまとまったロボット。マジンガァはマスタースレイブ操作と外見で知られている。なお外見は永井豪氏公認である。勝敗はやはり大きさの違いと、マジンガァがベテランの貫禄を見せて勝利。
第8戦。「トコトコ丸」VS「Y・G・不知火」。不知火はROBO-ONEロボットのなかでも随一のパワーロボット。今回は腕部が大きくなるなど、さらにパワーアップして登場。歩くたびにリングが揺れていた。トコトコ丸はユーモラスな外見とは裏腹に安定して、しかも素早く動くロボットで、相手の背面に回り込んでの攻撃を得意とする。しかも今回は製作者の網野氏が抜群の操作テクニックを誇った。いずれもROBO-ONEベテランであり、白熱した試合展開となった。不知火は途中で調子が悪くなったこともあり勝利はトコトコ丸。
●ランブル 3回戦の前に、ベスト8決定戦で負けたロボットたちによって、ランブルが行なわれた。ランブルとはリング上のバトルロイヤルによる落とし合い。最後まで残っていたロボットが勝ちとなる。勝利したのはランブル王こと「HAJIME ROBOT」。
●第8回ROBO-ONEベスト4決定戦(3回戦) こうして勝ち残ったロボットたちにより、3回戦が続けられた。3回戦からは本職のリングアナが登場し、ロボットの名前をコールして試合を盛り上げた。また、ラウンドガールも登場した。
3回戦第1試合は「TEKKON-V」VS「Dynamizer」。TEKKON-Vも機動性や瞬発力のあるロボットなのだが、Dynamizerはそれをさらに上回る、昆虫か工作機械をイメージさせる素早い動作で攻撃を避け、前転や後転による波状攻撃をかける。だがTEKKON-Vの守りも堅く、なかなか勝敗がつかない。さらにルール上のトラブルなどもあったが結局、2回の延長戦の結果、Dynamizerが勝利を収めた。
第2試合は「OmniZero.1」VS「プティ(Petit)」。プティはかなりがんばったが、勝利はより相手に効果的な攻撃を打ち込めたOmniZeroに。場数の違いが勝敗を決した。 第3試合。「HSWR-07」VS「Arichyon」は、お互い長い腕を振り回しての攻撃となった。勝利はHSWR-07。
第4試合。「トコトコ丸」VS「マジンガァ」。マジンガァはこの段階では後方への対応ができておらず(翌日、同会場で開催された「ROBO-ONE GP」では後方攻撃のモーションを作っていた)、相手の後方に回り込んでの攻撃を得意とするトコトコ丸にやられた。勝利したのはトコトコ丸。
●準決勝 そして準決勝。第1試合は「OmniZero.1」VS「Dynamizer」。お互い、ワザを出し合っての闘いとなったが、現在のルール上で能力を目一杯発揮したDynamizerの勝利となった。逆にOmniZeroは自分の間合いで勝負ができなかったことが敗因だろう。こうしてDynamizerは決勝に進出。
第2試合。「HSWR-07」VS「トコトコ丸」。トコトコ丸側は、敗退した人たちがどんどんセコンドとしてつき、背後で応援。トコトコ丸の着物は自機の骨格部分を隠してしまうため、いわばRPGの魔法使いが着るローブのように、敵が打ち込むべきポイントを外してしまう効果を持っている。また、ちょっとした重さによって機体を安定化させる役割も持っている。それがここで大きく差となって現れた。振動が止まらず、おまけに攻撃の軽いHSWRに対し、勝利をおさめ決勝進出を決めたのは素早い動作で自分の位置取りに成功し続けたトコトコ丸。
●3位決定戦 決勝の前に行なわれた3位決定戦はHSWR-07とOmniZero。勝利はより攻撃力が高く決定打を持つOmniZeroに。これで「万年2位」と揶揄されていた製作者の前田さんは「今度は万年3位になっちゃいますよ」とさらに揶揄されることになった。
●決勝 決勝戦は決勝戦には初進出のDynamaizerと、九州大学チームとしては経験があるが、個人としては初進出のトコトコ丸となった。Dynamizerはスピードは速いのだが、重量が軽く、捨て身攻撃をかけても決定力に欠ける点が裏目となった。いっぽうトコトコ丸を操作する網野 梓さんは落ち着いた様子でトコトコ丸を見事に操り、外装含めた機体性能を存分に引き出して勝利を収めた。
●ランブル、表彰式 決勝後にはさらにランブルが行なわれた。こちらで勝利をおさめたのは韓国の強豪「TAEKWON-V」。その後、続けて表彰式が行なわれた。優勝賞金は100万円。さらに今回は優勝ベルトに加え、高山市市長賞として100g 3,000円の飛騨牛1kgが贈られた。
現在、ROBO-ONEは年2回の正式大会のほか、「ROBO-ONE GP」としてROBO-ONE委員会が選んだロボットによる模範試合も各地で開催されている。次回のROBO-ONEは、9月24日、甲府で行なわれる予定だ。 □ROBO-ONEのホームページ (2005年9月21日)
[Reported by 森山和道]
【PC Watchホームページ】
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