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三菱重工「wakamaru」プレスプレビュー
〜共に暮らす実感が得られるロボットへ

9月15日開催

価格:1,575,000円



 三菱重工業株式会社は、9月16日から東京23区内在住者を対象に予約販売を開始する、家庭用ロボット「wakamaru(ワカマル)」のプレスプレビューを品川本社で開催した。

 wakamaruは、本体価格1,575,000円で販売されるロボット。このほか、サポート費用として毎月10,500円が必要になる。バッテリの交換は年1回程度が目安で、こちらは63,000円。予定販売台数は100台程度。

 コンセプトは「一日の生活リズムを持ち、人に近寄って話しかけ、家族と一緒に生活する、家庭で役に立つロボット」。同社では「本格的なコミュニケーション能力を持つロボットを一般に販売するのは世界でもはじめてではないか」と語る。wakamaruは「共に暮らす実感が得られるロボットを作りたい」という気持ちから始まったプロジェクトであり、「人とロボットの新しい関係」を築くことを目指しているという。

 自律で移動し、無線LANでインターネットに接続。自分自身の生活リズムを持っており、朝、「起床」し、夜は「就寝」する。時間に合わせて家族を起こしたり、留守番をしてくれたり、メールや伝言を伝えるほか、天気予報やちょっとした蘊蓄を披露することもできる。

 身長はおよそ1m。体重は約27kg。横幅48cm、前後の幅は53cmほど。小さな子どもほどの身長だが、設置面積は意外と大きい。車輪を使って時速1kmで移動する。車輪のため、1cmほどの段差しか乗り越えることはできない。OSはLinux。

記者会見に登場したwakamaru 伝言を伝えるなどのデモンストレーションを披露。wakamaruの手を握ることでオーケーという意志を伝えられる
【動画】「今日の予定」を伝える様子 ドット絵のようなアイコンを表示している胸のインジケーターは、wakamaruの状態を示す。100種類以上あるそうだ

 wakamaruは2本の腕を持ち、ジェスチャーや体操を行なうことができる。腕の把持力はほとんどないが、手先にはセンサーがあり、手を握ることでwakamaruにオーケーのサインを送ったりすることができる。センサーは肩先にもあり、こちらは命令のキャンセルに用いることが多いという。

 身体の各関節部は挟み込みの危険がないように、センサーのほか、ゴムなどで保護されている。また、万が一誤動作して人に激突しても大けがをしないように、腕や車輪の力は低く設定されている。自動車の衝突実験で使われるダミー人形を使って、実際に実験もしたという。

 特徴的な顔のある頭頂部には全方位天井カメラとIR-LEDを装備。部屋内にあらかじめ赤外線の反射板をマーカーとして貼り付けておけば、赤外線を使った三角測量によって自分の位置を把握することができる。そして、まわり360度を同時に見て人を見つけることができる。

額の向かって右側にカメラ、左側にマイクが付けられている。いわゆる目にあたる部分には何も入っていない 頭頂部の全方位カメラと、赤外線を出すIR-LED ボディ下部には超音波そのほかのセンサー類が付けられている
ゴムで保護されている関節部 三菱重工株式会社 wakamaruプロジェクトリーダー 長島 是氏 「人と人との関係が、人とロボットの間でも発生することを感じてもらいたい」と語る三菱重工株式会社 wakamaruテクニカルリーダー 大西 献氏。片手に持っているのはwakamaruのために部屋内に張る赤外線反射マーカー

 全方位カメラで人を見つけると、額左側の前方カメラによってアップで撮影し、顔認識を行なう。認識できるのはオーナーそのほか10名まで。インターネットに接続しているときはオーナーのリクエストに応じて、カメラで撮影した画像をメール送信することもできる。前方カメラの画像はカラー、全方位カメラ画像をパノラマ処理した画像はモノクロだ。

 電池がなくなってくると、自分で充電ステーションに向かい、自動充電する。フル充電で2時間ほど駆動できる。

 顔画像認識技術はオムロン、センサー技術は松下電工が技術協力している。また、コミュニケーション技術に関してはATR知能ロボティクス研究所、自律移動技術は筑波大学知能ロボット研究室との研究協力の成果だ。

 また、ワードスポッティングによって特定単語を音声認識し、一定のシナリオルールに基づいて会話できる。生活環境のノイズを除去するノイズリダクション技術を持ち、「アコースティックキャンセラー」によって自分が喋っている途中に話しかけられても人の声を認識することができる。

決められたキーワードを言えない不審者を見つけると、オーナーのケータイにメールで画像を飛ばす ウェブサイトで見ることもできる
充電ステーションで充電中のwakamaru 【動画】自動で充電ステーションにバックするwakamaru

 デザインはシャープの液晶TV「AQUOS」ほかを手がけていることで知られる、インダストリアル・デザイナーの喜多俊之氏。2003年度グッドデザイン賞も受賞している。苦心した点はやはり顔で、怒りと悲しみの表情を織り交ぜ、見る人の心理状態によって違う表情に見えるようにしたという。

 なお、色は黄色のみ。黄色にしたのは家庭の中でも存在感を発揮できるようにという思いと、これからのロボット産業に対する期待が込められているという(喜田氏)。また「フローリングの床には思っていた以上に馴染む」(三菱重工・大西氏)そうだ。

wakamaruの顔のデザインコンセプトについて解説するインダストリアル・デザイナー喜多俊之氏 wakamaruに話しかける喜多氏。wakamaruは「未来の扉を開けてくれる優れたコンピューターであり、未来のガイド役である」と語った

 wakamaruの開発は三菱重工の社長直轄プロジェクト「フロンティア21」の1つとして2003年2月から始まった。2003年4月にはROBODEX2003にてプロトタイプを一般公開。その後、2004年6〜9月の間に一般モニターテストを実施し、2005年4月から社内ベンチャープロジェクトとして販売を見据えた開発を推進した。2005年3月からは愛知万博に接客ロボットとして出展され、現在も活躍している。

 wakamaru販売にあたり、三菱重工業は同社を含め7社で、支援・管理運営に関する共同運営体「JV」を発足させている。伊藤忠商事、住友商事、三菱商事の3社が販売支援、西華産業が情報アプリケーション提供、ベルシステム24が販売・運用時の顧客管理及びコールセンター業務、オムロンフィールドエンジニアリングが保守設置などのフィールドサービスを行なう。

 wakamaruを置くためには廊下の幅は76cm以上、段差1cm以内の床、そして充電ステーションの1m以内には物を置かないで済む、広いスペースが必要だ。東京23区内でそれだけの居住スペースを持つとなると、必然的にそれなりの富裕層となるだろう。「しかし、誰でも一度使って頂ければ受け入れられる商品だと考えている」と三菱重工・長島氏は語る。

 同社では、wakamaruを実際に体験・購入申し込みできるスペースを都内各所に設置する。詳しくはwakamaruのウェブサイトを参照してほしい。

□三菱重工のホームページ
http://www.mhi.co.jp/
□wakamaruのホームページ
http://www.wakamaru.net/
□関連記事
【8月29日】三菱重工、家庭用ロボット「wakamaru」発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0829/mhi.htm
【2003年4月3日】ROBODEX2003プレスプレビューレポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0403/robodex.htm

(2005年9月16日)

[Reported by 森山和道]

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