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iPod nanoハードウェアレポート
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「iPod nano」 |
●4GB版も破格の低価格
9月8日の発表と同時に発売となった「iPod nano」。
そのハードウェア上の特徴は、これまでならHDDの領域だった4GBをフラッシュメモリで実現したこと、その上で、超薄型のボディと、意外なほどの低価格を実現したことにある。4GB版のApple Store価格は27,800円なのだ。
同じNAND型のフラッシュメモリを使う、4GBのCFカードが、通常は5万円以上で売られていることを考えれば破格の値段といえる。
この価格を実現するためには、大量購入などの施策も行なわれているとはいえ、ハードウェア面でも何かの理由があるに違いない。
というわけで、銀座のアップルストアで1台購入することとなった。
●すでに店内は行列
アップルストア銀座に着いたのは14時過ぎだったが、すでに店内はiPod nanoを求める人々の長い列ができていた。今回、購入数の制限は特になく、2個以上持って精算を待つ人もいた。
iPod nanoの在庫は2GB、4GB共に豊富で、陳列分が少なくなるとすかさずスタッフが補充をする、という具合だ。見ている限りでは、4GBの方が多く売れているようだった。在庫は豊富なようで、次々と補充されていく。
なんとiPod nanoには、専用の手提げ袋まで用意されていた。店頭ではこの袋の組み立てに手間取るのも列が長くなる一因となっている。
行列が店外に出はじめるころに、4階のレジへの誘導もはじまり、店外に行列が出ることはなかった。
アップルストア銀座 | 店内の行列の様子 |
●高級感のあるパッケージ
パッケージのデザインも、良質なものだ。とくに箱を開けた状態で、均等の厚さに開くのではなく、厚い部分と薄い部分に分かれて開くようにしてあり、薄いほうにnano本体を入れる意外性でnanoの薄さを、最初から印象づけるようになっているのがうまい。
本体のデザインもそうだが、こういうパッケージデザインは、アップルは本当にうまい。
本体は透明なシートで包まれている。シートをむくと、本体の表面はピカピカの状態だ。iPodに共通する指紋が目立つボディなので、カバーを選んだり、磨く楽しみは従来通りだ。
nanoのパッケージと専用の紙袋。アップルストアで購入すると、この袋に入れてくれた | パッケージはCDサイズで、引き抜き式の紙箱になっている。左が紙箱、右に本体などが入っている | 本体パッケージはさらに左右に開く。なんと、ケーブル類が入っている左側より、本体が入っている右側の方が薄い |
SDメモリーカードとの大きさ比較。広報写真だと大きく感じるnanoだが、意外なほど小さい | ケーブルとCDは、白い袋に入っている。ケーブルのパッケージはホテルのアニメティが類が入っている袋を思わせる | 上から見たnano。こんなに薄い |
iPod Shuffle(右)との比較。幅はShuffleの2倍ほど | ところが、厚さはShuffleよりもずっと薄い | nano本体は透明なシートで包まれている。ちょっとチョコレートなどの包装を思わせる |
■■ 注意 ■■
・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。 |
●シンプルな内部構造
本体の組み立てには接着剤などが使われているのではないかと危惧していたのだが、ツメをつかったはめ込み式で、意外と簡単に開けられた。
部品点数は少なく、液晶や操作パネル部分を除けば、主な機能は主基板に統合されている。基板上の部品点数は意外に多く感じるが、液晶を備えたプレーヤーであることも一因だろう。
本体を開けた状態 | 本体側。電池がかなりの部分を占める。基板はネジ止めされている | カバー側。操作音を出すための圧電スピーカーが配されている。組み立てると基板上の端子と接触する設計 |
基板裏面の端子や配線部分などは黄色いカバーで保護されている。3色のケーブルはバッテリからのもの | バッテリがはずれにくいと思ったら、両面テープで止められていた | 一番の関心事であるフラッシュメモリ部分が見えてきた。サブボード上に配置され、基板の両面にチップが載っているようだ |
基板と本体前面とは2本のフレキシブルケーブルで接続される。これは、操作パネルからの配線 | こちらは液晶パネルへの配線 | 本体前面部をはずしたところ。上が液晶、下が操作パネル部分 |
フラッシュメモリはサブ基板に配されており、主基板とはコネクタで接続される。これは容量の違う製品を作り分けするためだろう。さらに大容量化できる可能性も高い。
フラッシュメモリチップはSamsung製で、4GB製品でも2チップだった。1チップで2GBの容量があることになる。
基板の固定にはネジが使われているが、リチウムイオンポリマー充電池の固定は両面テープのようだ。また、サブ基板のフラッシュメモリチップにも両面テープが貼られ、基板に固定されている。
バッテリの配線は半田付けされており、必要な部分はカバーもされている。バッテリに寿命がきたときにユーザーが交換するのは、ちょっと難しそうだ。
全体の部品点数は少なく、製造コストに配慮されていることがよくわかる。また、組み立てにも無理がなく、短い製造ラインが想像される。やはり良くできた製品といえるだろう。
基板表面。意外なほどチップ数が多い。リチウムイオンポリマー充電池の下が、フラッシュメモリが載ったサブ基板 | チップ類の拡大図。液晶コントローラらしきチップが見える | フラッシュメモリの載ったサブボードは短いネジ2本で止められている |
サブ基板をはずした状態 | 主基板とサブ基板の大きさ比較 | サブ基板も両面テープで接着されている。ノリに残るチップの刻印 |
液晶の背面には反射率の高い銀色のシートが貼り付けられている | 液晶ユニットと、操作パネルの保護板をはずした状態 |
nanoの全部品図 | フラッシュメモリはSamsung製だった。4GBで2チップなので、このチップ1つで2GBの容量となる |
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【8月9日】Apple、カラー液晶搭載の「iPod nano」(AV)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050908/apple1.htm
(2005年9月8日)
[Reported by date@impress.co.jp/ishid-to@impress.co.jp]