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写真でみる「Mighty Mouse」
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アップルコンピュータから3日に発表され、即日販売開始となった光学式マウス「Mighty Mouse」。アップルのマウスといえば、これまでシングルクリックが当たり前であった。これは初代Macintoshからの伝統であったし、シンプルな操作をウリとしているアップルのプライドでもあったと思う。
いくら、PC市場でマウスが普及し、2ボタンマウスが主流になっても、ホイールが搭載されてもその状況は変わらなかった。それらの機能が使いたければ、サードパーティ製の製品を購入するしか手段はなかったわけだ。
しかし、アップルもしくはユーザーがこの状況に満足していたわけではないことは、Mac OS Xで2ボタンやホイール機能がサポートされていたことからもわかる。こうした製品が登場する下地は準備していたようだ。しかし、実際に登用したMighty Mouseは、単にボタンを増やし、ホイールを搭載しただけではなかったところは、さすがといえる。
編集部でもさっそくこのMighty Mouseを購入してみた。購入したのはアップルストアで、価格は5,670円だった。今回はWindows XPでの使い勝手や、分解写真などを中心に検証してみた。
●外観
Mighty Mouseは、従来のApple Mouseと同等のデザインで、サイズもほぼ同じだ。ボディカラーがホワイトに変更され、「スクロールボール」が追加されているのが大きな違いとなる。
特徴はやはり、静電容量タッチセンサーを採用した独自の2ボタン仕様だろう。マウス側のスイッチはあくまで1つだが、タッチセンサーが内蔵されており、ユーザーがマウスの左右どちらをクリックしたかを、指が置かれた位置から検出する。指の位置が左側なら左クリック、右側なら右クリックとして動作するわけだ。マウスの機構的には1ボタンながら2ボタンの機能を実現したユニークなアイデアと言えるだろう。
ホイールマウスの代わりに搭載された「スクロールボール」も大きな特徴だ。直径6mmほどの小さなボールだが、これはトラックボールのように実際に回転するもので、押し込むことでボタンとしても機能する。ただし、ボールだけを押しても反応はなく、ボールとともにマウスをクリックした段階で、初めて反応するようだ。
初めてこのマウスにふれたときは、ボールの動作がかなり緩い感じがしたため、間違ってボタンを押してしまうのではないかと心配したが、これなら誤動作の原因にはならなさそうだ。ボールそのものが小さいため、そのあたりの操作性にも不安があったが、使ってみると意外とスムーズな動きをする。
本体左右には、圧力センサー式のボタンを備えている。これは「スクィーズ」機能と呼ばれ、両サイドのボタンをつまむように同時押しすることで1ボタンとして機能するものだ。なぜか片方のボタンだけでも機能してしまうが、片方だけ押すというのはちょっと難しいし、左右個別に機能を設定できるわけでもないので、同時押しの操作が基本なのだろう。
圧力センサーを使用しているため、クリック感はほとんどないが、クリック時にはマウス本体に内蔵されているスピーカからクリック音が鳴るので、擬似的なクリック感がある。なお、スクロールボールの操作時にもiPodのホイール操作時に鳴るようなカチカチカチという音がする。
パッケージ。マウスのサイズギリギリの大きさで、かなりコンパクトな印象 | パッケージの内容物。マニュアルやドライバCD、保証書など。ドライバはMac OS X 10.4.2以降専用 | USBケーブル端子も丁寧にパッケージされている。いかにもアップル製品らしい心配り。USBケーブルのキャップは写真のようにケーブルを纏める機能もある |
Mighty Mouse本体。シングルボタンのApple Mouseと同じような外観だが、クリア素材でなくなったため、印象は異なる | 本体左右の半円部分が圧力センサーボタン。左右同時に押すことで1つのボタンとして動作する。圧力センサーのため、ボタンそのものはほとんどクリック感がないが、マウス内蔵のスピーカからクリック音が出るため、擬似的なクリック感がある |
本体を後ろからみたところ | 本体の裏側。本体の上部カバー全体がボタンといえるため、裏側から見ると可動用の隙間が見える | シングルボタンのApple Mouse(右)と比較したところ。クリア素材を使用した旧モデルとは印象がだいぶ異なるが、デザインはほぼ同じ |
●Windowsでの使用感
Mighty MouseはMac OS Xおよび、Windows 2000/XPに対応する。ただし、全機能を利用するには、Mac OS X 10.4.2以上が必須だ。それ以前のバージョンでは、アプリケーションの起動/切り替えや、スクロール機能のオン/オフなどの機能が利用できなくなるなど、若干の機能制限がある。そもそも、ドライバディスクは付属するが、Mac OS 10.4.2以上のOSでないとインストール自体ができない。そのため、専用ユーティリティが必要な機能は基本的に機能しない。
スクロールボール。一見小さすぎるように見えるが、使ってみると意外に快適で、スルスルとスムーズに画面をスクロールできる |
そこで、Windows 2000/XPについてはどうかというと、こちらもドライバやユーティリティの類は用意されていない。付属のマニュアルには、「Mighty Mouseは、Windows 2000やWindows XPに含まれている標準のマウスドライバを使用します。各オペレーティングシステムで使用できる機能の詳細については「マウス」コントロールパネルを開いてください」などと記述されており、ちょっと突き放された印象だ。
実際にWindows XPに接続すると、やはり「HID標準マウス」として認識される。動作するボタンは、タッチセンサーの左右クリックボタンと、スクィーズ機能、スクロールボールのボタン機能で、計4ボタンは動作する。
左右のクリックは通常のマウスと同様で、スクィーズ機能については、「戻る」ボタンが割り当てられている。スクロールのボタン機能については、ホイールマウスのホイールをクリックした場合と同じ挙動だ。
ここで、ちょっと残念だったのは、スクロールボールの動作で、Windows XPでは、上下スクロールとしてしか機能しないのだ。チルトホイールマウスに対応したマイクロソフトの「IntelliPoint 5.2」をインストールしてみたが、やはり上下スクロールのみだった。
Windowsの標準ドライバでの動作が前提となっているので、仕方はないのだが、やはり、Windowsへの対応を謳うのなら、このあたりは対応ドライバを用意して、360度とは言わないまでも、せめて上下左右方向には動作するようにしてほしいところだ。個人的にボールの操作感は気に入っているだけに、惜しい気持ちがある。
●操作感はちょっと気になるところ
操作していて少し気になったのは、タッチセンサーを採用した左右ボタンの機能だ。タッチセンサーのため、通常のマウスではあまり起こらない事態が発生することがある。
タッチセンサーによって左右どちらが押されたのかを検出することは先ほど書いたが、マウスの表面に軽く指が触れているだけでも検出してしまうのだ。
これがどうなるかというと、たとえば、右クリックをした瞬間に、左クリックの位置に指が触れていると、両方のボタンを同時に入力したと判断され、左クリックが優先されて動いてしまう。実際、操作中に右クリックをしたつもりが、なかなか反応しなくて、手元を見ると左クリックの位置を指で触れていた、ということが何度かあった。通常のボタン式マウスなら、2本の指を左右に置いたままクリックする、という状況はよくあると思うので、ちょっと戸惑うかもしれない。ただ、これはタッチセンサーを使用している以上、仕方がないといえるし、慣れれば問題ないかもしれない。
このように指を左右に置いた状態だと、右クリックはできない | 右クリック時にはかならず左側から指を離すのが基本 |
いずれにしろ、マウスとしてはかなり斬新な製品であることを評価したい。Windowsユーザーではフル機能を体験することはできないのが残念だが、Mac OS Xを利用しているユーザーなら、利用してみる価値はあるのではないだろうか。
実際に、社内のMac OS Xユーザーが利用しているシーンをみたが、スクロールボールを使って、Safariなどで360度スクロールさせているシーンなどを見てしまうと、デバイスとしての価値観が全く変わってしまう。Windowsユーザーとしては早急なドライバの対応を切に願いたいところだ。
Mac OS Xでは、スクィーズ機能でDashboadを呼び出すことができる。これがなかなか気持ちいい。現状ではMac OS Xでこそ真価が発揮されるマウスだ |
■■ 注意 ■■
・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。 |
まずはソール部分をはがしてみた。これは裏側から焼き止めしてあっただけのようで比較的楽に取り外せた | 次にソールの外周を覆っていたカバーを外す。接着剤できっちりと止められているため、スクィーズボタンの隙間からマイナスドライバーを入れて、テコの原理で少しずつこじ開けていった。これをやってしまうと、再度接着しない限り元には戻せない |
カバーを外すと、内部にツメが2カ所あることがわかる。ここにマイナスドライバーをつっこんでこじ開ける | ツメを外すとこんな感じに開くので、根元にあるヒンジ部分を外す |
ヒンジをはずして、分解完了 | マウスの上部カバーの裏側。アップルのWebページの解説どおり、タッチセンサーが張り付いている。センサーの下部に板状の銅が貼り付けてあるが、これが何に使われているのかはわからなかった | 基板側のアップ。左上についている縦長の黒いボックスがクリックボタンのスイッチで、1つであることがわかる。右側の丸いものはスピーカ |
下部カバーから基板を外したところ。スクィーズボタンは左右独立している | 基板の裏側。光学センサーは通常のマウスとあまり変わらない。圧力センサーはハンダ付けされておりこれ以上は分解できなかった |
今回のマウスのキモであるスクロールボールを上部カバーから取り外してみた。マイクロトラックボールという印象だ | カバーを外したところ。ボールは非常に小さな4本のローラーで囲まれていることがわかる | ローラーの先端についている黒い部分は磁石で出来ており、この回転数を計測してボールの移動方向を検出しているようだ |
□アップルのホームページ
http://www.apple.com/jp/
□ニュースリリース
http://www.apple.com/jp/news/2005/aug/02mouse.html
□製品情報
http://www.apple.com/jp/mightymouse/
□関連記事
【8月3日】アップル、初の4ボタンマウス「Mighty Mouse」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0803/apple.htm
(2005年8月5日)
[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]