ドコモの「M1000」は、米国Motorolaが開発したFOMA用携帯電話。テンキー部を持たず、全面タッチパネル液晶という最近ではほとんどみかけなくなったタイプの携帯電話だ。 CPUには、TIのOMAP 1510を採用し、液晶は、208×320ドットのTFTである。本体のユーザーメモリは24MBで、TransFlashスロットを持ち、メモリカードを接続可能。 OSとしてSymbianOSを採用しており、C++やJavaでアプリケーション開発が可能で、MotorolaのサイトからSDKをダウンロードできる。 携帯電話としては、FOMA(W-CDMA 2100MHz)に加え、GSM 900/1,800/1,900MHzにも対応しているため、海外でも利用できる。また、GSMのパケット通信方式であるGPRSにも対応しているので、海外でもデータ通信が行なえる。 ただし、M1000は、iモード関連の機能をもっていないため、ドコモの機種でありながら、iモードサイトへのアクセスはできない。WebブラウザとしてOperaを内蔵しているので、これを使って一般インターネットサイトを利用することになる。 また、IEEE 802.11b無線LANとBluetoothに対応しており、無線LAN経由でのネットワーク接続やBluetoothヘッドセットを利用できる。 ●外観は好印象だが
本体正面には液晶に5つのボタン、5wayのナビゲーションキー、ステータス表示LEDやカメラなどが配置されている。背面には、カメラとバッテリカバーがある。底部には、外部接続端子とスタイラスホルダが、左右には、電源(ロック兼用)、スピーカーホン、ボリューム、カメラ起動の各スイッチとスピーカー穴、イヤホンマイク端子(独自コネクタ)が配置されている。 底面の外部接続端子は、FOMA共通(実際にはIMT-2000で定義されたもの)であり、市販のFOMA接続USBケーブルが利用できた。うち、筆者が持っていた充電機能付きのUSBケーブルもPCとの接続に利用でき、充電も可能だった。 色はグレーで、全体として落ち着いた雰囲気で作りも安っぽくはない。ただ、実際に操作してみると、ナビゲーションキーが左右に動きやすく、下に傾けたつもりでも左右に動いてしまったことが結構あった。日本製の携帯電話でも同じようなカーソルキーを持つものは少なくないが、下を押して横を押してしまうような機種は現在ではほとんど見あたらない。このあたりは改善の余地ありという感じである。 この機種は、テンキーがなく、このナビゲーションキーを使った操作が割と多い。同じ操作をペンでも行なえるのだが、いちいちペンを出すよりも片手で操作できるキー操作のほうが便利なので、どうしてもナビゲーションキーを使うことが多くのなるのである。 形としてはPDAと同じ。だが、携帯電話のように耳元にもっていって使うと液晶面に顔の皮脂がべっとりという感じになってしまう。Bluetoothがあるので、ヘッドセットを使いたいところ。 M1000には、充電スタンドが付属する。付属のACアダプタは、本体底部の外部接続端子に直接接続するコネクタになっているが、充電スタンドに接続して使うこともできる。このときには、外部接続端子を使わないので、同時にUSB接続を行なうこともできる。ただ、PDAのようにスタンドに置いたら、同時にUSB接続ができる構造にはなっていないので、その都度、外部接続端子にケーブルを接続しなければならない。 スタンドは、かなりごつい感じがするもので、少なくとも持ち歩きするようなものではない。M1000を立てた状態で上下2つの位置を選択できるが、下にすると、重心が前に寄りすぎて少し不安定になる。 ●ハードウェア構成 CPUには、TIの「OMAP1510」を採用している。これは、PalmOneのTungstenT2などにも採用されていたCPU。CPUパッケージ内にARMコアとDSPコアを内蔵し、多くの周辺機器インターフェイスも内蔵する。ARMコアは、ARM9TDMI相当でクロック周波数は168MHz。DSPコアは、TMS320C55x相当で、クロック周波数は最大192MHzである。 ARMコアは、おもにOSなどの実行用で、これに対してDSPコアは、メディア処理を行なう。CPUパッケージに内蔵されている周辺インターフェイスは、ARMコア、DSPコアのどちらかに接続しているものと、共有してアクセスできるものがある。たとえば、サウンド出力やBluetoothのヘッドセット用音声などはDSPコア側で扱い、LCDコントローラーやタッチパネルなどはARMコア側で扱う。
168MHzのARM9相当なので、PDAとしては普及価格帯の製品と同等といえるだろう。数百MHzのクロックを持つXScale搭載マシンにはおよばないが、DSPが搭載されているため、メディア再生などでは、1つ上のクラスと同程度の性能が期待できる。 メモリは、メインメモリ 32MB、フラッシュROM 32MBで、このほかにファイル格納用に24MBのメモリを持つ。また、ファイル格納領域は、TransFlashスロットを使うことで拡張が可能。ファイルシステムはドライブと階層ディレクトリからなり、A、C、D、Zの4つのドライブがある。このうち、DドライブがTransflashメモリカードに相当し、AとZは、内蔵フラッシュROMに対応するROMドライブである。残りのCドライブが前記の24MBの内蔵メモリによるRAMドライブである。 M1000は、Motorolaが海外で販売している「A1000」という携帯電話がベースになっている。基本的なハードウェアや構成は同一だが、ハードウェアの一部(A1000にはGPSが搭載されている)やソフトウェア構成に違いがある。 【主な仕様】
●SymbianOS+UIQを採用 M1000は「SymbianOS」と「UIQ」を採用している。これについてはなじみのない読者の方もいると思われるので、簡単に解説しておこう。 SymbianOSは、SymbianがライセンスするOSだが、その起源は、英国PsionのPDAで採用されていたEPOCというOSである。 Symbianは、'98年にEricsson、NOKIA、Motorola、Psionによって携帯電話向けのOSを開発する企業として設立された。その後、オーナー企業として、松下とSony Ericssonが加わり、MotorolaとPsionは所有していた株を売却し、Symbianのオーナーではなくっている。 SymbianOSは、カーネル部分とGUIおよびその上のアプリケーションに分離している。GUIには、M1000などが採用するUIQ(UIQ Technology)と、NOKIAの携帯電話に採用されているものの大きく2系列がある。また、カーネルのみライセンスを受け、GUI部分を独自に載せることも可能で、富士通のFOMAで採用されているSymbianOSは、この形で作られたものだと思われる。 UIQは、Ericssonで携帯電話用に作られたGUIがベースである。このGUIの開発チームは、Symbian設立後、EricssonからSymbianに移った。そして、世界初のSymbianOS搭載携帯電話R380(Ericsson)を開発したときに「Quartz」という名称のGUIシステムとして登場した。このQuartzが現在のUIQのベースである(UIQのQはQuartzを意味していると思われる)。 Quartzは、その後、Symbianの子会社として設立されたUIQ Technologyに移管され、現在では、同社が開発を行なっている。 NOKIAは、Symbianのオーナー(現在では約49%の株を持つ)ではあるが、独自のGUIを開発し、自社の携帯電話に搭載、また他社にもライセンスしている。これらは、画面サイズに応じてSeries90/80/60と呼ばれる。 UIQとSeries90/80/60の違いは、画面デザインなどもあるが、UIQがタッチパネルによるペン操作を前提としているのに対して、Series90/80/60は、キー操作が前提で必ずしもタッチパネルを必要としない点にある。 これらのGUIシステムは、GUIを構成するプログラムだけでなく、その上で動作する電話帳などのアプリケーションを含んでいる。このため、同じGUIシステムを採用していれば、アプリケーションも含め、携帯電話の使い方はほとんど同じになる(もっとも、キーの数やジョグダイヤルの有無などハードウェアの違いなどはあるが)。 また、SDKが提供されているため、これを使って携帯電話上で動作するアプリケーションを作ることも可能。M1000用のSDKは、Motorolaのサイトからダウンロードできる(登録は必要だがSKD自体は無料)。プログラミング言語としては、C++かJavaが利用できる。M1000には、Java VMが標準で搭載されている。 すでに海外でA1000が発売されており、また、Sony EricssonのP800~910といった同じUIQを採用する携帯電話もあるため、インターネットで検索するとアプリケーションはいろいろあるようだ。ただ、日本語の利用を想定していないものがほとんど(例外は、ドコモがM1000用に配付しているソフト)なので、利用は、個人のリスクでということになる。利用できるのは、UIQ用のもののみで、NOKIAのSeries90/80/60用のものは原則として利用できない。 SymbianOSでは、拡張子が「sis」というアーカイブファイルで実行プログラムを配付するが、M1000には、署名のないsisもインストール可能だ。Vodafoneの「702NK」は署名付きsisファイルしかインストールできないので、いろいろと工夫しなければならなかった。 アプリケーションのインストールは、PC側からPC Suite経由で行なうか、M1000内蔵のブラウザで直接ダウンロードしてインストールすることも可能だ。 SymbianOSは、マルチタスクOSであり、複数動作を同時に実行できる。たとえば、バックグラウンドでPCとファイル転送をしている最中に他のアプリケーションを利用できる。 ●UIQの使い勝手 UIQは、画面上部の「アプリケーション選択バー」に6つのアイコンを持ち、タップすることでアプリケーションを切り替えることができる。このうち右端のラウンチャーを除く5つのアイコンはユーザーが割当てを変えることができる。 ラウンチャーは、組み込まれているアプリケーションを起動するためのもので、ユーザーがインストールしたプログラムもここから起動する。 この直下にメニューバーがあり、画面最下行は、常にステータスバーとなる。 UIQのメニューバーは、右側にフォルダ指定のためのメニュー項目があり、実行中のアプリケーションが扱うデータを保存するフォルダを指定する。ただし、データによりベースとなるディレクトリが決まっていて、ここでのフォルダ指定は、ベースディレクトリの下に置かれる。ちょうどPalmOSのカテゴリ指定と同じようなもので、「すべて」という項目を選ぶことでディレクトリに関係なく全てのデータを表示できる。 UIQの操作の基本はタップで、ペンを長いあいだ押し当てるとメニューが表示されるような操作は基本的にはない。また、画面サイズに比べると大きめのボタンや文字が使われていて、指での操作ができる場面も少なくない。 また、ダイアログボックスのタイトルに下向きの三角形アイコンがあり、これをタップするとコピーやペーストのメニューが表示される。このため、文字列による設定値などをコピー&ペースで入力することもできる。 アプリケーションに文字入力を行なう場合には、ソフトウェアキーボードを使う。ソフトウェアキーボードは、手書き入力パネルを含め、全部で5種類ある。直接入力方式として「50音キーボード」、「QWERTYキーボード」、「手書き入力」があり、間接入力方式では、「マルチタップ」、「ツータップ」の2つがある。また、どの場合も登録した単文入力が可能で、入力文字に対して予測候補が表示されるので、タッチ数をへらすことができる。そのほか、入力パネルから辞書を引くことも可能である。 「マルチタップ」は、携帯電話の入力と同じく12個のキーで入力するもの。これに対してツータップは、50音の「行」を選ぶと、その行に属する清音と濁音、半濁音、拗音などを候補として表示するもの。1文字を必ず2回のタッチで選択する方法だ。 M1000にはテンキーがないためか、入力パネルはわりと大きめで指先でも操作ができる。マルチタップ入力などでは、入力パネルが画面全体を覆ってしまう。入力先が見えないと不安だが、フィールド切り替えもパネル内からできるし、フィールド名も表示されるので問題はないだろう。それに、UIQでは、複数ウィンドウを表示することはできないので、ほかのアプリケーションの表示を見ながら入力という作業はもともとできないのである。 また、入力フィールドに文字種や最大文字数が定義されていれば、自動的に入力文字種が切り替わり、入力可能な残り文字数なども表示される。 ただ、この入力パネル、ステータスバーにあるアイコンをタップしてから表示されるまでちょっとした間がある。慣れないと、タップが効かなかったかと思い再度タップしてしまう。もう少し早く出るといいのだが。 本体上部にある2つのボタンは、アプリケーションで使うことができるが、標準では、左側のボタンがメニューオープンになるだけ。内蔵アプリケーションでも右側のボタンを使うものはない。 本体下にあるHomeボタンは、ホーム画面へ移動するためのものだが、これを長押しすることで別のアプリケーションを起動することもできる。また、ほかのアプリケーションからは、オンフック、オフフックのボタンを使って通話アプリケーションのダイヤルパッドと着信履歴へ移動できる。 SymbianOSはマルチタスク対応であるため、起動したアプリケーションは、他のアプリケーションに切り替えても、基本的にはそのままメモリに残る。再度同じアプリケーションを起動すると、メモリ内に残っていたイメージが使われ素早く切り替えできる。 メモリが不足すると、バックグラウンドになっているタスクを終了させメモリを確保する。このような構成になっているため、アプリケーションは、編集中のデータを失わないような動作をすることが求められる。 たとえば、画像の編集中にアプリケーションを切り替えると、適当な名前で保存が行なわれ、オリジナルを置き換えることはない。あるいはメモ帳なら切り替え時点で、編集を終了させたのと同じ状態になる。Operaも、メモリに余裕があるなら、開いたWebページは残ったままだ。ただし、コントロールパネル内の設定ダイアログを開いたまま、アプリケーションを切り替えると途中の設定が廃棄されてしまう。 ●必要十分なアプリケーション類を搭載 M1000は、表1のようなアプリケーションを内蔵している。このほか、別途アプリケーションをインストールして利用することが可能である。 【表1】
予定表や電話帳など、PDA用途には必要なものはそろっているし、英和、和英、国語辞書、ボイスレコーダーなどもある。 スケジューラーは、Outlookの場所やメモに相当する項目を持っているため、ほとんどの情報が同期できる。PalmやPocketPCの標準のスケジューラーとほとんど同じ。 電話帳のほうは、携帯電話だけあって、PDAのアドレス帳よりも充実している。電話番号やメールアドレス、URLなどを合計で7つ登録でき、会社と自宅住所を個別に登録可能。さらにメモや識別用着信音、画像などを指定できる。画像を指定しておくと、着信時に番号通知があれば、名前とともに画像を表示してくれる。着信音が1人1人指定できるのは便利だが、グループ全体で設定する機能はない。着信音を1人ずつ設定するのはちょっと面倒。実際、よほど親しい人でもなければ、個別に設定することはなく、グループ単位の設定でもいいのではないかと思う。
インターネット関係では、メールとOpera WWWブラウザが搭載されている。メールは、POPとIMAP4をサポートしている。基本的には、サーバーにアクセスしてヘッダのみを取り出し、メッセージのリストを作る。その後、必要なものだけをダウンロードして読むことが可能。 ただし、IMAP4は、INBOXだけをアクセスできる。サーバー側のほかのフォルダをアクセスできないが、IMAP4では、メッセージの本文や添付ファイルを個別に取り出すことが可能なので、添付ファイルを含めてメッセージ全体をまとめてダウンロードしなければならないPOP3よりは効率的だ。 セキュリティ設定としてSMTP認証やPOP before SMTP、APOPなどが設定でき、プロバイダのメールサービスにも対応が可能だ。 Operaは、表示モードを切り替えることができ、画面全体を拡大縮小するズーム機能のほかにレイアウトを変更して横スクロールを不要にするフィットモード、縦または横向きの全画面モード(フィットやズームと同時指定可能)を指定できる。このような表示機能があるため、インターネットの一般サイトもなんとか見ることができる。
また、ドキュメントビューアー「Pixcel」でPDFやOfficeのファイルなどを表示可能であるため、メールに添付されていたり、Webからのダウンロードしたこれらのファイルをそのまま表示させることができる。 この2つがあるため、通常のWebのアクセスであれば、ほとんど問題になることはないだろう。 メディア関係では、音楽プレーヤー、動画プレーヤー、静止画ブラウザなどが用意されている。音楽はMP3やMIDI、WMA、WAVなどに対応し、動画は、MPEG-4やWMVに対応している。音楽再生は、MP3が192kbps(サンプリングレート44.1kHz)、WMAが128kbps(同48kHz)にまで対応するなど、問題はなさそうだが、ビデオは、MPEG-4でビットレートが最大256kbps(オーディオとビデオの合計)、フレームレートが15fps、解像度が最大176×144ドット(QCIF)までとなっている。PocketPCなどではQVGAサイズぐらいまではサポートできることを考えるとちょっと弱い感じである。この解像度だど、字幕を読むのが辛くなる。 また、WMVへの対応はVer.8までであり、最近のWMVでサポートされているVer.9には対応していない。 M1000では、電池の下にTransFlashスロットがあり、簡単に交換できるというわけでもなく、USB経由の転送もそれほど速くないため、音楽用プレーヤーにはなるが、動画プレーヤーとして使うには、ちょっと力不足といえるだろう。 ●Motorola Desktop Suite
M1000には、PC用のプログラム「Motorola Desktop Suite」が付属している。これは、M1000のバックアップやアプリケーションをインストールするためのもの。また、このソフトを使うことでOutlookやLotus Organizerなどとの同期が可能になる。ただし、同期が可能なのは、スケジュール(ToDoを含む)とメール、電話帳だけで、メモの同期機能はない。 バックアップは、M1000のCまたはDドライブの内容をPC上に保存するもの。ただし、M1000の設定のいくつかは、PC上にバックアップできず、バックアップ後、初期化してリストアしても完全には元に戻らない。ユーザーが追加したネットワーク設定などが対象外で、たとえば、無線LANの設定は再度行なう必要がある。長いWEPキーなどを入力したものが、なくなってしまうのはちょっときつい。 また、Desktop Suiteを使う場合、USBケーブルやBluetoothで接続したのち、M1000側からDesktop Suiteプログラムを使って接続を行なう必要がある。これはちょっと面倒。USBケーブルで接続すれば、自動的に同期などをしてくれると便利なのだが、一手間かかるのは不便。PC側からモデムとして利用する場合や、後述のPC設定ソフトなどがM1000にアクセスする場合には、このDesktop Suiteの接続をやめる必要があり、それぞれ排他的に利用しなければならないためのようだ。同じSymbianOSを使う702NK(NOKIA6630)もDesktop Suiteを持つが、このような切り替え機能は不要。PDAとして使うことを考えるなら、なんとかしてほしいところである。 付属CDには、PCからM1000を使ってパケット通信を行なうための設定ソフト「FOMA PC設定ソフト」があり、一見、PCからの接続に専用ソフトが必要なように見えるが、これは、設定を簡便化するために存在するソフトで、理屈がわかれば手動でも設定は可能である。 FOMAパケット通信では、接続先はアクセスポイントとなり、これをアクセスポイント名で指定する。このため、M1000をモデムとして扱うには、アクセスポイント名(3つまで)をAT+CGDCONTコマンドで記憶させておき、特殊な電話番号(ATD*99***n# ただしnは1~3)をATDコマンドで指定してダイヤリングする。この原理さえわかれば、非Windowsの環境やPDAであっても、M1000と接続(USBドライバはWindows環境用しかないのでBluetoothなら可能)してパケット通信ができるようになる。 ●使い心地 印象としては、携帯電話とPDAのちょうど中間という感じ。PalmOSを内蔵した「Treo」の使い心地が、いかにもPDA的なのに比べるとちょっと違う。また、携帯電話として見ても、テンキー部などがないためにまたちょっと違う使い心地になる。このため、PDAと携帯電話のいいところを持ちながら、2つの性格が同居しているようで折り合いの悪いところもある。 たとえば、無線LANを使うとき、利用後にちゃんと無線LANをオフにしないと、そのまま電力を消費し続けてしまう。PDAならば、オートパワーオフが働いて適当なところでオフになるが、携帯電話なのでオートパワーオフすることはありえない。このため、自分で無線LANをオフにしないといけないわけだ。 また、電話機として見ると、テンキーもジョグダイヤルもないため、片手操作がちょっとやりにくい。片手でM1000を持ったまま、親指の先でタッチパネルを使うことも不可能ではないが、ちょっと手がつりそうな感じになる。また、皮脂が付くため、液晶画面を手で触ることを嫌うユーザーも少なくない。 PalmOneのTreoなどは、スマートフォンとして開発するときに片手で操作できることを必須と考え、キーボードをつけることにした、と以前開発者から聞いたことがある。たとえば、手に荷物を持っているときに電話するような場面を想定してのことだという。 同じSymbianOSとUIQを使うSony EricssonのPシリーズは、液晶カバー兼用のテンキーを持っている。テンキーを付ければ、液晶が小さくなってしまう。フリップカバーのようにすれば、コストもかさむし、壊れ易くもなる。ただ、使い勝手を考えると携帯電話であっても、PDAであっても、外出中に使う機器は、片手で操作できるべきだとおもうのだが。 日本の携帯電話は、海外のものに比べるとかなり高性能だ。Javaが実行可能で、カメラ内蔵はあたりまえ、フルブラウザやドキュメントビューアーを標準搭載といったものも少なくない。このため、海外では高性能機種となるM1000も、国内では、少し埋没気味。珍し物好きの人を別にして、M1000を使う理由を見いだせるユーザーはそれほど多くないのではないだろうか? とはいえ、SDKでネイティブのアプリケーションを作ることもできるので、いろいろと機能拡張することも可能だ。日本語対応のアプリケーションが充実してくれば、評価も変わるのではないかと思う。
□製品情報 (2005年7月25日)
[Text by 塩田紳二]
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