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シャープ、左右に違う画面を表示できるデュアルビュー液晶
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デュアルビュー液晶。左にあるのは鏡。液晶の右側から見たときと左側から見たときでは、まったく違う情報が表示されているのがわかる |
デュアルビュー液晶は、液晶パネルの左右2方向に違う情報を同時に表示できる。左側から見たときと、右側から見たときでは違う情報が表示される。
応用例としては、「左側から見るとPCの画面が、右側から見るとTVの画面が見えるリビングルームPC用ディスプレイ」、「助手席側からはTVが、運転席側からは地図が見えるカーナビゲーション用ディスプレイ」、「顧客側にはプレゼンテーションが、販売員側には内部資料が見えるディスプレイ」、「左から来た人と右から来た人に違う広告を表示できるディスプレイ」、「エスカレーターを登っている人には上階の案内を、下っている人には下階の案内を表示できるディスプレイ」などが提示された。
液晶パネルの前に視差バリアを設け、1ピクセルごとにバックライトからの光の進行方向を振り分けることで、左右に違う情報を表示できる。視差バリアの配置などによっては、3画面以上を表示しわけたり、上下方向に表示しわけることも可能。
デュアルビュー液晶の原理 | リビングルームでの応用例 |
カーナビ画面への応用例。運転席側には地図が、助手席側にはTV画面が表示される |
ただしデュアルビュー液晶では、1画面あたりの解像度が液晶パネルの解像度を、表示する画面の数で割った解像度になる。つまり、2画面を表示する場合は2分の1の解像度になるため、細かい文字や高精細な画像を表示するためには、液晶パネルに相応の解像度が要求される。
なお、視差バリアを応用した液晶技術としては、2002年に同社が発表した3D液晶がある。3D液晶では液晶パネルの正面にいる1人の鑑賞者の左右の目に、視差バリアにより視差のある画像を表示しわけることで立体的な画像を表示している。3D液晶では左右の目の間隔が約6cmで、パネルから目までの距離が30~40cm程度となり、視差バリアで画像を分離する角度が6度程度となっている。
一方、デュアルビュー液晶では、左右の鑑賞者の間隔が100~200cm、パネルから鑑賞者までの距離が50~200cm程度あるため、40度以上に画像を分離している。また、3D液晶では左右の目に同じような画像を表示すればよいが、デュアルビュー液晶ではまったく異なる画像を表示するため、反対側の画像からの光もれを低減する必要がある。
●視野角を制御できる「ベールビュー液晶」
ベールビュー液晶。右側にあるのは鏡。パネル正面以外の場所からは、シャープのロゴが表示された黒い画面しか見えない |
ベールビュー液晶は、電気的な制御で視野角を広げたり狭めたりできる技術。
ノートPCや携帯電話では通常の視野角で複数の人に情報を見せたり、狭い視野角で自分だけ情報を見えるようにしたりすることができる。またATMなどでは、暗証番号入力時は視野角を狭めることで覗き込みを防止し、通常は広い視野角で広告などを表示することができる。
通常の液晶パネルの前に「スイッチ液晶」を設け、スイッチ液晶に電圧を印加することで液晶分子の配置や向きを変えて、バックライトからの光の進行方向を変化させることで、視野角を変化させる。
スイッチパネルにより輝度がやや下がるが、バックライトの増光などで通常の輝度を確保可能としている。
ベールビュー液晶の原理 | ノートPCでの応用例。右写真のように脇から覗いても何も見えない |
発表会ではシャープ 液晶事業統括の片山幹雄 常務取締役が、いずれの液晶も出荷が開始されており、搭載製品は7~8月にかけて発売される見込みと述べた。また、製造コストは「通常の液晶の1倍~2倍の間」とし、「1倍に近づける努力をしていく」とした。
□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□ニュースリリース(デュアルビュー液晶)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/050714-b.html
□ニュースリリース(ベールビュー液晶)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/050714-a.html
□関連記事
【2002年9月27日】シャープ、2D/3D表示両対応の液晶ディスプレイ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0927/sharp.htm
(2005年7月14日)
[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]