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Microsoftビル・ゲイツ会長が早稲田大学で講演

6月28日開催



 早稲田大学IT戦略研究所が運営する「エグゼクティブ リーダーズ フォーラム」(ELForum)の第5回公開コロキアムが28日、東京・新宿区の早稲田大学で開催された。

 同研究所は、ITが経営戦略や経営組織などに与える影響について、研究・提言を行なうことを目的として、2003年3月に設立された。メンバーは各大学の教授、助教授、国際ITジャーナリスト、ITコンサルタント、企業研究員などで構成されている。

 同研究所が“企業戦略の意志決定者のためのコミュニティ”として企画運営しているのが「ELForum」で、上場企業の経営について意志決定に参加している人間を対象とした相互学習型の情報交換グループという位置付けになっている。

 この研究所の活動は企業からの指定寄付金と委託研究費で運営されており、マイクロソフト株式会社はELForumの設立時から支援している。その縁もあり、今回は来日中の米Microsoft会長ビル・ゲイツ氏が基調講演を行なった。基調講演のタイトルは「The New World of Work」。

Microsoft会長ビル・ゲイツ氏 「The New World of Work」

 ゲイツ会長はまず、「現在は世界中の経済活動において、あらゆる場所から遠くのものを調達可能になった」と、通信インフラや技術の進歩と、「PCはごくごく普通の、汎用ツールになっている」とハードウェアの低コスト化による普及に触れた。

ソフトウェアが中心部分で変化を動かしてきた

 その中でも発展の中心を担ってきたのはソフトウェアであるとし、「企業におけるプレゼンテーションやリッチドキュメントなど、Officeの存在で効率的になった。また、メールによって世界の商取引が変貌してきている」と述べた。

 これによって「メールの量は'97年以降、10倍に増大したが、企業にとって重要となる顧客の理解や営業分析などの情報量は少ない」と問題点を挙げ、「情報を集める上で重要なことが効率性であり、サーバーを通じてあらゆるデータを利用可能にしていくことが第一歩。情報の取捨選択のためのソフトウェア選択が大切だ」とした。

 現行の技術でも、「PCの前に座っていれば、プレゼンテーションを同時に見ながらメッセンジャーや音声チャットで会話し、互いの理解を深めることが可能になっている。これらは技術の融合によって実現した。ペーパーレスの仕事環境を提供できた」と一定の成果を挙げていることを強調した。

 現状の企業のIT投資については、「以前までは予算の大部分がハードウェアに当てられていた。しかし、現在は大幅にコストダウンし、通信インフラが整ったことで通信料金も同様に下がっている。これらによって抑えた予算をソフトウェアに回すことで、もっと生産性を上げることができる」とソフトウェアの重要性を説き、「今は、あらゆる分野でデータの効率化が求められているが、情報が氾濫してしまっているのが現状。上手くソフトウェアを利用することで、情報のオーバーロードを防げる」とした。

 同氏は情報の効率化への道として「多くの情報を1カ所に集める。すべてをデジタル化して生産効率を高める。そのデジタルな媒体でさまざまな洞察を行なう。ワークフローの簡略化」などを挙げ、「これらはすべて、標準的なシステムで行なうことができる。つまり、ハードウェアはIAベースでWindowsシステムを使用するということだ」とWindowsの優位性をアピールした。

 Microsoftは多くの標準化作業にも関わっており、「通信においては、独自のプロトコルが乱立していたのもTCP/IPで統一され、さまざまなシステムがシームレスに接続可能になっている。ソフトウェアも人々の慣れているユーザーインターフェイスを使用するべきで、Officeドキュメントであればメールなどで送信して簡単に皆が閲覧できる」と、業界標準と言われる技術のメリットを語った。

「Sybari giant」や「Internet Explorer 7」の文字が見える 「ソフトウェアがカギ」

 近年で大きく問題が表面化したウィルスと迷惑メールにも触れ、「ウィルスや迷惑メールは、ハードウェアでの処理は無理であり、ソフトウェアで処理しなければならない。それらは重要な課題だ。だが、1社だけではなく、各企業との協業が大切である。Microsoftは(Sybariなどの)買収で技術の取り込みを進めてきた」と、同社の姿勢を示した。

 また、同社の64bit化についても言及し、「Microsoftの会計システムはこれまで、3,000万ドルかかっていたが、64bit化によってコストを3万ドル程度まで抑えられた」とし、ハードウェアとソフトウェアの双方で環境が整いつつあるx64 Editionをアピール。最後に「ソフトウェアは重要なカギであり、Microsoftは“タフ”な問題を解決し続けている。2006年末のLonghornでは大きな進歩を見せる」と講演を締めくくった。

 質疑応答は時間の都合のため1人だけとなり、XMLへの取り組みについて質問があがった。ゲイツ氏は「データベースでは表しか理解できなかったが、XMLの導入によって、ユーザーにとって容易に、対応ソフトウェアに取り込めるようになる」とコメント。MicrosoftのサイトではXMLによる情報配信を積極的に行なっており、XML対応ソフトウェアを今後リリースしていく見込みで、「Microsoftは今後も、XMLの採用を進めていく」とした。

□Microsoftのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/
□早稲田大学のホームページ
http://www.waseda.jp/
□IT戦略研究所のホームページ
http://www.waseda.jp/prj-riim/
□ELForumのホームページ
http://www.elforum.org/

(2005年6月28日)

[Reported by yamada-k@impress.co.jp]

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