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IDF Spring 2005レポート

プレスセッションで6番目の「T」が追加
~Sonomaの省電力機能の詳細も

Vanderpoolのイメージ図。CPUリソースをパーティショニングし、VMMと呼ばれる仮想マシンの管理ソフト上で複数のOSやアプリケーションを実行させる

会期:2005年3月1日~3日(現地時間)

会場:Moscone Center West
(米国カルフォルニア州サンフランシスコ市)



 Intel Developer Forum Spring 2005は、3月1日の開幕を控えた2月28日に報道関係者向けのセッションを開催。ここでは、次世代プラットフォームに組み込まれる機能として、以前よりIntelがアピールしている「Ts」の各機能の概要や、1月に発表されたSonomaプラットフォームの機能などの解説がな行われた。

●Intel I/O Acceleration Technologyを発表

 昨年秋のIDFまでIntelは、5つの「T」(Technology)を今後のデスクトッププラットフォームに組み込んでいくと公言してきた。「The Ts」を名付けられたセッションでは、この5つの技術の概要に加えて、新たな技術が発表された。

 まず5つのTをおさらいしておくと、

・Hyper-Threading Technology(HT)
・Extended Memory 64 Technology(EM64T)
・Vanderpool Technology(VT)
・LaGrande Technology(LT)
・Active Management Technology(AMT)

のことであるが、HTとEM64Tはすでに実装された技術で、おなじみの名称である。

 LTとVTについても、すでにオープンになっている部分が多い。LTはCPU、チップセットなどのハードウェアにセキュリティ機能をもたせる技術で、VTは1つのプラットフォームを仮想的に複数のシステムとして稼動させるものである。

 VTは先月、最初の仕様書がリリースされており、2005年中にデスクトップとItaniumに導入され、2006年にXeonとモバイルのプラットフォームでも導入されるスケジュールとなっている。

 AMTも昨年秋のIDFで公開されている。PCの状態に関係なく遠隔操作ができる技術で、ソフトウェアだけでなく対応するハードウェアも必要とする。これにより、例えばPCの電源をOFFの状態からONの状態へ切り替えたり、ブルースクリーン状態でPCが操作を受け付けない場合でも遠隔操作が可能としている。デスクトップ向けプラットフォームでは2005年中に導入される予定という。

 ここまでは、具体性の多少はあるが、すでに明らかになっていた技術である。そして本日のセッションで「Intel I/O Acceleration Technology」と呼ばれる新たな「T」が発表された。

 これは、今日まで転送方法が変更されていないTCP/IPの転送を改善する技術である。プロトコルスタックを最適化したCPUや、チップセット内のデータコピー、データと命令のパラレル処理やネットワークプロセッサ内でのダイレクトメモリアクセスなどのアプローチがとられ、これまでよりアプリケーション性能が30%向上するという。加えて、この技術にはストレージ高速化技術も含まれており、RAID 6処理におけるCPU負荷を低減させることもできる。

 今回は前日セッションという性格もあって、公開済みの5つの「T」を含めて、概要のみが語られるに留まった。さらに詳細な情報は、明日以降に公開されていくものと思われる。

Active Management Technologyのイメージ図。PCの状態に関わらず遠隔操作が可能なので、技術スタッフがメンテナンスを必要とするPCまで行く必要がなくなり、作業時間を短縮、結果としてPCの管理におけるコストを削減できるとアピールしている 本日正式に発表されたI/O Acceleration Technologyの概要。TCP/IPのオフロードエンジンを中心とした機能

●Sonomaが持つ省電力機能

 「The Ts」の後に開かれた、「Performance and Power Consumption for Mobile Platform Components Under Common Usage Models」と名付けられたセッションでは、1月に発表された新しいモバイル向けプラットフォームであるSonomaの概要が紹介された。

 Sonomaは、Alvisoのコードネームで呼ばれた、Mobile Intel 915チップセットを中心とするモバイル向けプラットフォームで、533MHzのFSBサポートするほか、PCI Express、DDR2 SDRAMの導入など、同社のデスクトップ向けプラットフォームと同等の機能を実現したのが特徴となる。

 こちらのセッションも、内容の多くは、これらSonomaで導入された機能についての説明だが、Intel 915GMに実装された省電力機能に関して、具体的な数字とともに解説がなされたので、ここに紹介しておきたい。

 Intel 915GMでは、グラフィックのインターフェイスとしてPCI Express x16が導入された。これにより、アクセス速度は向上する反面、電力消費は大きくなる。そこで導入された省電力機能が「PCIe Active State Power Management(ASPM)」である。L0/L0s/L1という3つのステートを定義して省電力化を行なうもので、PCI Express x16でL0sステート時に約1.2W、L1ステートを有効にした場合はさらに0.3W消費電力を抑制できる。

 また、C3/C4ステートといった省電力効果の高いステートへの移行を、USBマスターが拒否した場合の対策として、C2 Popupと呼ばれる機能を実装した。この機能はUSBマスターからの拒否が起きてもC4ステートへ移行するだけでなく、PCI Expressのデータ転送もC3/C4ステートで動作可能としている。

ASPMとC2 Popupの説明。右下の表にはC2 Popupの有無による省電力効果の違いが表されている

 これにより、これまでWindows XPのアイドル時の95%がC2ステートで動作していたものが、すべてC4ステートで動作できるようになる。C2ステートとC4ステートの比較では、およそ1.5~6Wの省電力効果があるため、その効果は大きい。

 このほか、CPUがC2~C4ステートに入りメモリアクセスが必要ないと判断した場合には、メモリをセルフリフレッシュモードに入るよう指示し、GMCH内のメモリリード/ライトに関するロジックを停止する。これをRapid Memory Power Management(RMPM)と呼ぶが、メモリモジュールの消費電力を最大0.3W、GMCHのそれを最大1W抑制できるという。

 さらに、以前のプラットフォームから実装されていたDynamic Row Power Management(DRPM)では、GMCH/メモリそれぞれ最大0.4Wが抑制されている。

 また、表示される内容に応じてコントラストなどを調整することで、見た目の変化を最小限に抑えつつ液晶ディスプレイの輝度を低下させる「Intel Display Power Savings Technology 2.0」も実装されている。この効果は、MobileMark2002の場合で0.5W、3DMark03時で0.8W、DVD再生の倍では1.1Wに上ると紹介されている。

 ちなみに、Intel 915GMは従来のIntel 855GMEなどに比べて消費電力が上がっていると指摘されており、実際にSonomaプラットフォームを採用したノートPCのバッテリ駆動時間は、従来のプラットフォームを採用した製品と比較して短くなっていることが多い。今回のセッションで省電力機能について細かな解説が行なわれたのは、こうした声に対してIntel 915GMの省電力性を、より具体的な形でアピールしたいという同社の思いが背景にあったと想像される。

RMPMとDRPMの説明と効果を表したグラフ。このグラフはMobileMark2002のアイドル状態における結果であり、とくに高い効果が出ている状態である。RMPMはC2~C4ステートの状態で働く機能であるためCPU負荷が高い状態ではまったく効果がないし、DRPMも(RMPMほど極端ではないが)負荷に応じて効果は変化する Display Power Savings Technology 2.0の概要と効果を表したグラフ。このグラフは14.1型SXGA+液晶における効果を表しているという

□Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
□IDFのホームページ(英文)
http://www.intel.com/idf/us/spring2005/systems/
□関連記事
【1月21日】Intel、2005年中にVanderpoolをデスクトップ向けCPUに実装
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0121/intel.htm

(2005年3月1日)

[Reported by 多和田新也]

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