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10万円を切る「VAIO type B SPEC-S」試用記

VAIO type B SPEC-S

直販価格:99,800円〜



 先月末にソニーが発表したノートPC「VAIO type B SPEC-S」は、最小仕様で10万円を切る価格で注目されている。

 今回、試作機を借用できたので、実機の感触を中心にレポートをお届けする。

●仕様を限定し、抑えた価格

 type Bは、直販サイト「ソニースタイル」の専用モデルだ。今回のSPEC-Sは、型番からも分かるとおり、新しい機種というわけではなく、従来からあるtype Bの仕様をチューニングし、価格を抑えた製品だ。したがって、基本的な仕様は149,800円からだった前モデルと共通で、基本的な仕様は高いレベルにある。

 仕様をざっとおさらいしておくと、Celeron M 350(1.30GHz)、256MBメモリ、40GB HDD、14.1型の1,024×768ドット(XGA)液晶、DVD/CD-RWコンボドライブ、IEEE 802.11b/g無線LANが最小構成となる。これで99,800円だ。

 本体重量は約2.3kg。バッテリ駆動時間は約2時間だ。直販モデルでBTO対応なので、あとで触れるようにシステム構成の自由度は高い。OSはWindows XP Professionalのみだが、この価格でXP Proが入っていることに魅力を感じるユーザーの方が多いだろう。

●ベーシックノートとは思えないデザイン

天板はグレーのマグネシウム合金製。VAIOロゴの部分は銀色に輝いている 正面。コーナーを丸めた処理ののおかげでスリムな印象 左側面、エッジの効いたデザインが魅力的。この製品の特徴が出ている
右側面。左の光ドライブはZとは異なり一般的なサイズ。DVD±RWドライブも選択できる 背面。ほとんどをバッテリが占めており、すっきりしている 底面。別売のポートリプリケーター用の端子が用意されている。左上隅がHDDのカバー

 type Bのデザインは「バイオノートZ」を原型としたもので、Zの特徴であったボディサイドの曲線を生かしながら、各所の強度と部品の汎用性を高めた設計となっている。エッジの効いたデザインは、ベーシッククラスのノートの中では、抜きんでてカッコいい。

 箱から出されたtype Bは、思っていたよりも一回り小さく感じた。14.1型液晶搭載機としては、実寸も小さい部類ではあるのだが、デザインも小さく見せる方向にデザインされている。ボディの強度は高く、液晶をたたんだ状態で、左右にねじってもあまりねじれない。ボディ自体の皮はマグネシウム合金製で、厚みもそれほどではないが、骨格ががっしりしている印象だ。

【お詫びと訂正】初出時、本体外装の素材を「樹脂製」としておりましたが、「マグネシウム合金製」の誤りでした。お詫びとともに訂正させていただきます

キーボードとポインティングデバイス。キーボードは無理の少ない配置 キーボード右上に無線LANスイッチとプログラマブルボタンが2つ。ボタンはデフォルトでは「スピーカーのミュート」と「ディスプレイの外部出力」が割り当てられている
キーボード右上のインターフェイス部分。ファン、モデム、電源スイッチが配されている キーボード左上のインターフェイス部分。マイク、スピーカー、IEEE 1394a、USB 2.0×2が配されている。その右はPCカードスロット。また、マイク端子の上にメモリースティックPROのスロットがある

 液晶を開けると、液晶やキーボードの周辺は黒一色で、締まった印象を受ける。キーボードの上端左右のボディを裁ち落としてインターフェイスを配しているデザインも小さく感じる理由だろう。

 キーボードは19mmピッチ。余裕のある配列で、一番下の段の特殊キーを除き、特殊なピッチにはなっていない。

 キータッチは、VAIO共通のやや固い感じの感触だ。タッチの好みはさておき、ストロークは少し浅い感じだが、クリック感はある。パームレスト部はやや薄い感じの素材で、指でたたいた時の音は安っぽいが、ボディ同様にたわみが少なく、がっしりとした印象だ。

 ポインティングデバイスはアルプス電気製のタッチパッドで、上下/左右のスクロール機能を備える。

 全体に、高級感はあまり感じないが、品質感は高い。変な言い方だが、設計に費やされている時間が長く、設計者がよく考えている感じが伝わってくる。使われている素材はそこそこだが、料理人の志が高いと言ってもいい。

背面のインターフェイスはEthernetと外部ディスプレイ端子のみ ACアダプタは小さめのタイプで、モバイル用途も考慮されていることがわかる 重量は実測で2.3kgをわずかに下回る

●すっきりとしたソフトウェア構成に好感

すっきりとした出荷時のデスクトップ

 起動しておどろくのはデスクトップで、Internet Explorerとごみ箱の2つしかアイコンがない。日本のメーカー製ノートでよく見かける、多数のアプリのアイコンやメニュー類でてんこ盛りのデスクトップに比べ、非常にすっきりとした好ましい印象だ。

 Windows XP ProfessionalとVAIO共通のユーティリティ類以外では、DVDプレーヤーソフトの「WinDVD 5」とDVD/CDライティングソフト「RecordNow!」程度しか入っていない。ちょうどホワイトボックスのPCを買ったときのような印象だ。アンチウイルスソフトもなく、自分で選んでいれてくれということだろう。

 液晶は通常のタイプで、いわゆるツルピカタイプではない。視野角はまあ普通で、全画面がちゃんと見える範囲はあまり広くはない。もちろん、自分のポジションに合わせて調整すればまったく問題はないし、画面隅にバックライトが届かないようなことはない。

 最小構成でもメモリは256MBあるので、一通りの動作は十分にできる。チップセットはIntel 855GMEで、グラフィックス機能もチップセット内蔵のもの。3Dグラフィックス性能は期待できないが、3Dゲームユーザー以外では問題はないだろう。

 バッテリ駆動時間は、液晶を一番明るくした状態で、テキスト入力中心で使って、2時間弱程度だった。だいたいカタログ通りだ。

 負荷の割には、冷却ファンが良く回っている感じだが、音が静かなので、ほとんど気にならない。

 なんというか、低価格の機種を使っていると意識させられることが、まったくなく、特に何かをガマンする必要もない。ごく普通のノートPCを使っている印象だ。

●1万円アップで多彩な選択肢

 本機のBTOの面白いところは、プラス1万円で選べる選択肢を多くしている点だ。

 たとえば、モバイル用途が多い場合は、バッテリ駆動時間が約4時間と2倍に延びるPentium M 725(1.60GHz)搭載モデルがプラス1万円。

 また、最小構成では、オンボード256MBのメモリを512MBにするとプラス1万円。しかも、マザーボード上のメモリが512MBに増量され、1つだけのメモリスロットは空いたままという嬉しい状態になる。

 同様に、液晶をXGAからSXGA+(1,400×1,050ドット)にするのもプラス1万円。HDDは40GBから60GB、80GBへとステップアップするたびに1万円ずつプラス。DVD±RWドライブはちょっと高くて、25,000円のプラスが必要だ。

 というわけで、液晶とプロセッサをアップした試作機もテストさせてもらった。CPUの交換は有効で、液晶最大輝度、テキスト入力中心なら3時間半使用できた。液晶の解像度が上がっていることを考えると優秀な成績だ。体感上の速度差はわからない程度なので、バッテリの持ち時間が一番大きなメリットに感じる。

左がXGA、右がSXGA+の表示例。情報量の差は大きい

 高解像度の液晶も情報量が大幅に増え、効果が大きい。ただし、バッテリ駆動時の輝度はXGAよりも低く、一番明るい設定にしても、やや物足りない。AC電源中心で据え置いて使うなら文句なくSXGA+がお勧め。解像度が高く、文字表示などが小さくなるため、親御さんなどに買ってあげる場合はXGAの方がいいだろう。

 ちなみに、2台を並べて比べてみると、SXGA+液晶はやや赤みが、XGA液晶は青みがある印象だ。どちらがいいとは言えないが、個人的にはテキスト入力が主なので、スッキリ感のあるXGAの方が好みだ。

 自分でいまオーダーするとすれば、バッテリ駆動時間を延ばすためにCPUをPentium Mにし、メモリはオンボードに入れておきたいので512MBにするだろう。HDDは80GBにしたいが2万円の差額は痛いので、40GBでガマンする。

 液晶は悩んだ末にXGAにし、解像度が必要な場合は外部ディスプレイを使うと思う。この構成で119,800円となる。しかし、明日聞かれたら画面は広い方がいいし、1万円差だからと言ってSXGA+にするかもしれない。

 なお、編集部用に1台、個人名で発注した際のことだが、最小構成で発注し、2時間後に512MBメモリの件に気づいて、いったんキャンセルしようとメールしたが、その日のうちには連絡がなかった。そして翌日になってから、もう製造に入っているので、キャンセルできない旨のメールが届いた。納期まで余裕がある場合でも、オーダーの変更やキャンセルは難しそうなので、発注前によく考えて、仕様を決定してから注文することをお勧めする。

●ユーザーの選択肢を広げる貴重なモデル

 10万円以下のノートPCをテストするのは、HPの「nx5000」以来だった。両機種を比べている人から相談を受けたら、VAIO type Bの方を勧める。

 ボディも普通の大きさで、そこそこの大きさと重さはあるが電車で持ち歩くことも不可能ではない。社内移動ならまったく苦にならない。

 液晶もやや良く、無線LANもIEEE 802.11g対応になっている。そこまで比べなくてもデザインの美しさや、XP Pro搭載の魅力も大きい。「VAIO」のブランドに魅力を感じる人もいるだろう。

 BTOに対応しており、ついつい高いスペックを目指してしまいがちなのが、一番のデメリットかもしれない。

 企業内で買う場合、10万円というのは、資産管理や予算の裁可の関係で1つの壁になっている場合が多い。ノートPCで、それを切るというのは大きなメリットだし、ドメイン管理の問題などでXP Proが搭載されているのもありがたい。

 個人ユーザーの場合でも、とくにベテランユーザーにとって、この製品はきわめて魅力的だろう。

 品質的には国内PCメーカーの製品を買いたいが、ある程度のランクの製品でも、1台目用のPCと同じてんこ盛りのソフトウェアやプロバイダーの広告アイコンをプリインストールしているのがイヤで、海外メーカー製品や企業向け製品に走ったユーザーも多いと思う。いや、その前にノートPCを、TVを見たり録画するためのツールではなく、PCとして使いたいというユーザーは少なくないとおもう。

 この製品について、一部では単なる安売りのPCという受け止め方も出ている。VAIOの価値を下落させる製品という評もある。しかし、基本的には、ユーザーの選択肢を広げてくれる製品と前向きに受け止めたい。

 一歩間違えば、安売り競争の火種と受け止められかねない製品を、勇気を持って企画したソニーに拍手を送りたい。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp
□ソニースタイルのホームページ
http://www.jp.sonystyle.com/
□製品情報
http://www.jp.sonystyle.com/Style-a/Product/B/index.html
□関連記事
【1月31日】ソニー、最小構成で10万円を切る「VAIO type B」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0131/sony.htm
【2004年11月2日】Amazonで買った89,800円のノートPC「HP nx5000」レビュー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1102/hp.htm

(2005年2月4日)

[Reported by date@impress.co.jp]

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