■槻ノ木隆のPC実験室■Gigabit Ethernet対応「玄箱」試用レビュー(Part1) |
玄人志向は10月22日、おなじみ玄箱をGigabit Ehernet対応にした「KURO-BOX/HG」を発表した。発表後、すぐに出荷も始まったが、いかんせん数量が極めて少数だったためか、かつての玄箱の時のように入手性はまだあまり良くないのが現状。それだけ期待が高いという事の裏返しと言っても良いだろう。
ちなみに、従来の玄箱はかなり入手性も改善しており、普通に入手出来るようになっている。したがって、ポイントはKURO-BOX/HGが(入手困難な状況を克服してまで)入手する価値があるか、それとも従来の玄箱とさして違いがないのか? というあたりになってくる。そこで、この辺りを中心にご紹介したい。
●従来からの変更点
パッケージは従来の玄箱と全く同じである(写真01)。本体のほか、縦置き用のスタンド、インストールCD-ROM、及び簡単なマニュアルが付属するのみ。見かけは、従来だとシルバーだったプラスチックモールがグレーになったことと、フロントにUSBコネクタが増設されたこと(写真02)、及びバックパネルの構成がやや変わったこと(写真03)で、側面のレイアウトなどは全く変わらない(写真04)。
【写真01】パッケージは相変わらずシンプル | 【写真02】フロントパネルがブルーなのは保護フィルムをはがしていないからで、実際は鏡面加工。USBコネクタが追加されたほかはLEDの構成なども変わらない |
【写真03】バックパネルの色がシルバーからグレーになったほか、コネクタ部のレイアウトも変わり、ストレート/リバースの変更スイッチも省かれた | 【写真04】この写真でも、左側のエッジ部が波打っているのがわかると思う |
余談ながら、写真04からも判る通り側面パネルのフィニッシュはややクオリティが落ちている。成型の際のフィニッシュがやや荒いというか、プラスチック表面に波紋が出てしまっているのはちょっと残念である。
勿論これは個体差のレベルでたまたま筆者が使用したものだけかもしれないが、売れ行きが良すぎて生産が間に合わないために多少クオリティを落としてでも生産量優先にした結果だとすればちょっと残念ではある。とはいえ2万円未満の製品にそこまで求めるのは酷かもしれない。
KURO-BOX/HGも従来通りHDDは付属しないので、まず最初に行なうのはケースを開けてHDDを装着する事である。この手順に関しては従来の玄箱と全く同じ。従来の玄箱での手順は前回紹介しているので参考にしていただきたい。
ついでに内部を説明しておこう。KURO-BOX/HGと玄箱の主な違いは、
・CPUが200MHz→266MHzにクロックアップ
・メモリが64MB→128MBに倍増
・Gigabit Ehernetを搭載、JumboFrameにも対応
・USB 2.0ポート×1→×2に増設
となっている。このあたり、基板がどう変わってくるかはちょっと興味あるところである。
まず内部の構成自体だが、これは従来と同じである(写真05)。ただ基板自体は多少変更がある。表面(写真06)のCPU周りは大きな変更はないが、その右側は以前の玄箱のレイアウトと比較するとちょっと違いがあるのが判る。同様に裏面(写真07)も、以前とちょっと部品レイアウトが異なっているのが判る。
【写真05】全ての回路は基板上に載っており、電源部のみ別体になっている。IDEケーブルが基板に直付けなのも従来通り | 【写真06】基板上には“HGLAN-BA”のシルク印刷が見えることから、コチラと共通の基板と思われる。 | 【写真07】以前の玄箱と比べると、LANコントローラが裏面に移動しているのがわかる |
CPUはMotorola(現Freescale)の「MPC8241」という、PowerPC603eベースのプロセッサである(写真08)。型番から判る通り266MHz動作品である。IDEインターフェイスは玄箱同様にSilicon Imageの「SiI0680」が搭載されている(写真09)。
メモリはというと、写真08でも判る通りMicronの256Mbit品が表裏に2個づつ搭載され(写真10)、合計で128MBとなっている。
【写真08】266MHz動作品は日本語サイトを見る限り無い(MPC8245になる筈)だが、本国サイトを見るといつのまにか追加されている | 【写真09】マザーボードなどにはあまり使われている例を見ないが、組み込み用機器系ではしばしば使われるSiI0680 | 【写真10】玄箱も裏面にSDRAMが搭載されていた。その右にあるのはFlashMemoryである |
【写真11】最近はこうしたAuto MDI/MDI-X対応トランスフォーマーの利用が多くなってきた。製品単価が通常のものとそれほど変わらなくなってきたためだろう |
玄箱の場合はElpida Memoryの「DS2516APTA-75」×2の構成だったが、これは要するに133MHz/16Mbit×16のSDRAMなら何でもいいわけで、選択に深い理由はないだろう。
フラッシュメモリは富士通(現Spansion)の「MBM29PL32TH-90PF」で、4MB/90nsのもの。これは玄箱から変更無しだ。更にその右にはNECの「D720101GJ」があるのも、玄箱と同じである。
異なるのはEthernetのコントローラで、玄箱に使われていたADMTeK「AN983B」に変わり、RealTekの「RTL8110S-32」が搭載されている。
このチップは最近のマザーボードでもよく利用される、32bit PCI接続タイプの10/100/1000BASE-Tコントローラである。これに組み合わされるトランスフォーマーはDelta Electronicsの「LF9203」で、Auto MDI/MDI-X対応のものである(写真11)。
●インストールと使い勝手
さて、HDDを装着して蓋を閉め終わったら、ファームウェアのインストールである。これも概ね、玄箱の時と変わらない。玄箱HGにLANケーブルを接続し、同じLAN内にあるPC上で付属のユーティリティ(KuroBoxSetup.exe)を起動するだけである。
うまくPCから玄箱HGを見つけられれば、後は自動でインストールが行なわれる。インストールの完了後、再起動すればインストール作業は終了する。ちなみに環境は玄箱同様、
・ワークグループ:workgroup
・ホスト名:kuro-box-em
・IPアドレス:自動取得
となり、このkuro-boxの下に誰でも読み書き可能な「share」という共有フォルダと、共有プリンタ「lp」が出現している筈だ。これでは都合が悪い、という場合はWebブラウザでKURO-BOX/HGにアクセスすることになるが、既にKURO-BOX/HGが自動取得でDHCPサーバーからIPを獲得していたりするとちょっと話が面倒である。
運良くお使いのルータのDHCPサーバー機能に「リース中のIPアドレス一覧表示」(写真12)機能があれば一発で判るのだが、そうでない場合はIPリース範囲を総当りで試すか、KURO-BOX/HGをLANに接続せずに立ち上げるのも一案だ。この場合KURO-BOX/HGは192.168.11.150という固定のIPアドレスで立ち上がるので、あとはPC側のLANの設定をこれにあわせて接続する形だ。
筆者の環境の場合、192.168.1.172が割り当てられているので、Webブラウザで「http://192.168.1.172/」にアクセスするとパスワード入力画面になる。玄箱ではrootにパスワードがついていなかったが、KURO-BOX/HGでは、
・ユーザー名:root
・パスワード:webadmin
に設定されているので、これを入力すると設定画面(写真13)に移る。ほとんどの設定画面は玄箱と同一であるが、ネットワーク設定→IPアドレス設定画面(写真14)にJumbo Frameの設定が追加されているのがちょっと異なる。
【写真12】Hawking Technologies FR24は、最新ファームウェアだとこのようにDHCPリースIP一覧を表示してくれるので便利 | 【写真13】この画面だけ見ていると、KURO-BOX/HGと玄箱の区別はつかない | 【写真14】唯一違うのはイーサネットフレームサイズの設定が追加されたこと。1,518byte/4,100byte/7,418byteの3つが選べる |
10BASE-T/100BASE-TXの場合、フレームサイズは1,518byteのままにするのが普通で、これを弄っても劇的に性能が上がることはまず無い(代わりにネットワーク上のさまざまな機器と通信できなくなったりする)から、これを設定するシーンはあまりない。
ところがGigabit Ehernetの場合、1,518byteのフレームサイズではパケットが小さすぎるため、オーバーヘッドが大きい。そこでフレームサイズを1,518byte以上に設定する事でオーバーヘッドを減らし、結果として高速化を実現することが可能になる。こうした、1,518byteを超えるフレームサイズを「Jumbo Frame」と呼ぶ。
ただこのJumbo Frame、いいことばかりではなく2つ困った問題がある。1つは具体的なサイズが決まっていないこと。KURO-BOX/HGの場合、4,100byteと7,418byteの2つが設定可能だが、これ以外に4,088/9,014/9,216/12,288/16,128/etc……と非常に多くのフレームサイズが世の中では使われており、これといって決まったサイズは無いのが実情だ。
このため、うまく通信するためにはGigabit Ehernetに接続した全ての1000BASE-Tカードでフレームサイズの微調整が必要になってくる。カードが1種類ならそれほど問題はないが、さまざまなGigabit Ehernetカードが搭載されている場合には結構これがいい加減だったりする。
もう1つの問題は、Gigabit EhernetでJumbo Frameを使うためには、そのGigabit Ehernetに接続された全ての機器(PCだけでなく、スイッチングハブなども含む)がJumbo Frameに対応していなければならないことだ。
これが厄介なのは、例えば10/100BASE-Tハブとか、LAN対応プリンタなどをつないではいけないことで、したがって必要ならこうした周辺機器とGigabit Ehernetを別のネットワークにして、間をルーティングするといったものすごく面倒な処理が必要になってしまう。こうした部分がネックになって、いまいちJumbo Frameは普及していないのが現状である。
そうした話はともかく、仮にJumbo Frameを設定したい場合、写真14の「イーサネットフレームサイズ」を設定してから「設定」ボタンを押せば変更ができる。実を言うと、ここで「設定」ボタンを押すと画面が空白になってしまうが、ちゃんと設定は出来ている。
写真14の例で言えば、アドレスバーの“http://192.168.1.172/cgi-bin/setup-ip.cgi”を“http://192.168.1.172/”まで削って、再度トップから「ネットワーク設定」→「IPアドレス設定画面」を選択すれば、ちゃんと設定できていることが確認出来るはずだ。
実はこれ、KURO-BOX/HGのCGIに問題があるようで、きちんと画面更新が出来ない(常に出来ないわけではなく、出来る場合もあるのが悩ましい)という不具合がある。ただこれはまだ良い方である。というのは、写真14の画面からDHCPクライアントを無効にしようとしても、不可能なのだ。これもCGIの不具合の模様で、とにかくIPアドレス設定欄に何を設定しても反映されない。
この問題は「ファームウェア Version 1.01」で修正されているので、これを入手して修正を掛ける(修正手順はアップデータ内にpdfで記載されている)事を推奨するが、一応Version 1.00のままIPアドレスを変更する手順をまとめておくと、
(1) telnetでKURO-BOX/HGにログインする
ちなみにWindows XPに標準で入っているtelnet.exeはエスケープシーケンスを正しく認識しない(*1)ため、エディタを使うと画面が楽しいことになってしまう。筆者のお勧めはTeraTermであるが、ほかにもいくつかターミナルソフトはあるので、それでも構わないと思う。もしX Windows環境があるなら、xterm/ktermなどを開いてそこからtelnetしても構わないだろう。
話を戻すと、ログインの際のユーザー名/パスワードは、
・ユーザー名:root
・パスワード:kuroadmin
となっている。
(2) /etc/network/interfacesを編集する
【写真15】編集前 | 【写真16】編集後 |
写真15が編集前、写真16が編集後である。この例では、KURO-BOX/HGに192.168.1.200という固定のIPアドレスを割り当てている。ちなみにこれの編集はviエディタを使って行なうことになるが、これが面倒というのであれば、telnetでKURO-BOX/HGにログインした後で、
cp /etc/network/interfaces /mnt/share
というコマンドを発行すると、共有フォルダの中に「interfaces」という名前でこのファイルがコピーされる。これをWindows側のエディタで編集してから、
cp /mnt/share/interfaces /etc/network
というコマンドを発行することで、再び書き戻す事が可能である。
ただ注意して欲しいのは、WindowsとUnixでは改行コードが異なる関係で、例えばWindowsのNotepadで編集すると、余分なコードが入ってしまい、KURO-BOX/HGで正しく認識できない。従って編集するエディタは、例えば秀丸エディタの様にUnixの改行コードを理解できるものに限られる。このあたりが判らない人は、面倒でもviエディタを使ったほうが無難である。
(3) 編集が終わったら、再起動する
電源ボタンを3秒長押しすればKURO-BOX/HGがシャットダウンするので、電源が切れたら再度電源ボタンを押すだけである。
といった手順になる。これがLinkStationでの不具合であれば問題視するところだが、あくまで玄人志向の自作キットである玄箱での事だから、取り立てて目くじらを立てるほどの事でもない。
要するに /etc/network/interfaces でIPアドレスの設定が決まる、と理解しておけば良い。上にも書いたとおり、この問題は既にアップデータで対策されているから、既に過去のものである。実際不具合らしい不具合はこの1点のみ。後はほぼ玄箱と同じ使い勝手が実現されている。
(*1) Windows XPならC:\Windows\system32にあるansi.sysをコマンドプロンプトに組み込めば、エスケープシーケンスの認識が出来るようになる「筈」だが、そんな手間を掛ける位ならTeratermを入手するほうが確実だろう。
●気になるスピード
それでは、Gigabit Ehernet対応となったKURO-BOX/HGの性能を確認してみることにしてみたい。前回の評価では、100BASE-TXベースということもあって9MB/secあたりで頭打ちになっていたわけだが、そのあたりがどの程度改善されたかが一番興味あるところだ。
前回の結果と比較するため、全く同じ環境を用意して同じようにテストを行なってみた。表1~表4はMaxLine Plus II 250GBを内蔵した場合、表5~表8はMaxLine II 250GBを内蔵した場合の結果である。上で述べた通り、Jumbo Frameの設定で転送速度の変化が予想されるため、1,518byteのほか4,100byte/7,418byteでのテストも行なった。この際には相手側もJumbo Frameの設定を行なっている。
【表1】HDBench(MaxLine Plus II) | 直接接続 | 玄箱 | 玄箱/HG (1518Bytes) | 玄箱/HG (4100Bytes) | 玄箱/HG (7418Bytes) | |
---|---|---|---|---|---|---|
Read | KB/s | 52872.3 | 7842.7 | 16576.3 | 24030.3 | 24430.0 |
Write | KB/s | 61427.0 | 6036.7 | 8721.7 | 12343.7 | 12615.0 |
Copy | KB/s | 39405.3 | 4889.0 | 7604.0 | 9288.3 | 10199.3 |
【表2】FDBench(MaxLine Plus II) | 直接接続 | 玄箱 | 玄箱/HG (1518Bytes) | 玄箱/HG (4100Bytes) | 玄箱/HG (7418Bytes) | |
---|---|---|---|---|---|---|
ReadWrite | KB/s | 43564.3 | 6733.7 | 12630.0 | 17706.7 | 34937.0 |
Read | KB/s | 55053.0 | 7969.3 | 16875.0 | 23124.3 | 51312.0 |
Write | KB/s | 62738.0 | 5971.3 | 8690.7 | 12202.7 | 54584.0 |
RandomRead | KB/s | 26743.7 | 7008.3 | 16287.0 | 21975.0 | 14214.7 |
RandomWrite | KB/s | 29690.0 | 5986.0 | 8668.0 | 12325.7 | 19637.3 |
Copy | Operations/s | 46100.3 | 7445.0 | 12821.0 | 14414.0 | 4347.3 |
2K | Operations/s | 107322.0 | 16758.0 | 29916.0 | 30840.0 | 5342.0 |
32K | Operations/s | 53208.0 | 10026.0 | 16686.0 | 20094.0 | 5350.0 |
256K | Operations/s | 19182.0 | 2348.0 | 3678.0 | 5235.3 | 4204.0 |
Variable | Operations/s | 4692.0 | 648.0 | 1006.0 | 1460.7 | 2494.0 |
【表3】Sandra 2004 SP1(MaxLine Plus II) | 直接接続 | 玄箱 | 玄箱/HG (1518Bytes) | 玄箱/HG (4100Bytes) | 玄箱/HG (7418Bytes) | |
---|---|---|---|---|---|---|
Drive Index | MB/s | 51.0 | 7.0 | 12.0 | 17.0 | 17.0 |
バッファの読み込み | MB/s | 49.7 | 9.0 | 17.0 | 23.7 | 25.0 |
順次読み込み | MB/s | 58.0 | 8.0 | 14.0 | 19.0 | 19.0 |
ランダム読み込み | MB/s | 41.0 | 7.0 | 13.0 | 16.0 | 16.3 |
バッファの書き込み | MB/s | 64.0 | 9.0 | 11.0 | 20.0 | 22.0 |
順次書き込み | MB/s | 58.0 | 7.0 | 9.0 | 13.0 | 14.0 |
ランダム書き込み | MB/s | 45.7 | 7.0 | 9.0 | 13.3 | 14.3 |
アクセスタイムの平均 | ms | 7.0 | 11.0 | 9.0 | 9.7 | 9.3 |
【表4】731MBのコピー(MaxLine Plus II) | 直接接続 | 玄箱 | 玄箱/HG (1518Bytes) | 玄箱/HG (4100Bytes) | 玄箱/HG (7418Bytes) | |
---|---|---|---|---|---|---|
HDDにコピー | MB/sec | 31.06 | 5.78 | 8.42 | 10.65 | 11.09 |
HDDからコピー | MB/sec | 37.38 | 7.67 | 13.75 | 17.71 | 17.77 |
【表5】HDBench(MaxLine II) | 直接接続 | 玄箱 | 玄箱/HG (1518Bytes) | 玄箱/HG (4100Bytes) | 玄箱/HG (7418Bytes) | |
---|---|---|---|---|---|---|
Read | MB/s | 40682.0 | 7975.0 | 15527.3 | 23880.0 | 24738.7 |
Write | MB/s | 41903.7 | 5963.3 | 8759.3 | 10147.7 | 12427.3 |
Copy | MB/s | 29440.0 | 5012.3 | 7731.7 | 8420.0 | 10224.0 |
【表6】FDBench(MaxLine II) | 直接接続 | 玄箱 | 玄箱/HG (1518Bytes) | 玄箱/HG (4100Bytes) | 玄箱/HG (7418Bytes) | |
---|---|---|---|---|---|---|
ReadWrite | KB/s | 30176.0 | 6645.7 | 11971.3 | 16042.7 | 17878.3 |
Read | KB/s | 40683.0 | 7997.3 | 15370.7 | 22835.3 | 23341.3 |
Write | KB/s | 41373.7 | 5959.0 | 8692.0 | 11091.3 | 12667.7 |
RandomRead | KB/s | 19857.0 | 6659.3 | 15086.7 | 20296.7 | 22671.0 |
RandomWrite | KB/s | 18791.0 | 5973.7 | 8737.7 | 9947.7 | 12833.3 |
Copy | Operations/s | 6096.7 | 7845.7 | 12698.0 | 11657.0 | 14484.3 |
2K | Operations/s | 7916.0 | 17946.0 | 29760.0 | 26706.0 | 30828.0 |
32K | Operations/s | 7784.0 | 10428.0 | 16458.0 | 14480.0 | 20094.0 |
256K | Operations/s | 6281.3 | 2358.0 | 3598.0 | 4176.0 | 5454.0 |
Variable | Operations/s | 2404.0 | 646.0 | 976.0 | 1268.0 | 1562.0 |
【表7】Sandra 2004 SP1(MaxLine II) | 直接接続 | 玄箱 | 玄箱/HG (1518Bytes) | 玄箱/HG (4100Bytes) | 玄箱/HG (7418Bytes) | |
---|---|---|---|---|---|---|
Drive Index | MB/s | 36.0 | 7.0 | 11.0 | 15.0 | 17.0 |
バッファの読み込み | MB/s | 32.3 | 9.0 | 15.3 | 22.3 | 25.0 |
順次読み込み | MB/s | 40.7 | 8.0 | 13.0 | 18.0 | 19.0 |
ランダム読み込み | MB/s | 30.0 | 7.0 | 11.7 | 15.0 | 16.0 |
バッファの書き込み | MB/s | 47.0 | 9.0 | 11.0 | 16.3 | 22.0 |
順次書き込み | MB/s | 40.7 | 7.0 | 9.0 | 10.7 | 14.0 |
ランダム書き込み | MB/s | 30.0 | 7.0 | 9.0 | 10.7 | 13.0 |
アクセスタイムの平均 | ms | 8.7 | 12.3 | 12.0 | 11.7 | 11.7 |
【表8】731MBのコピー(MaxLine II) | 直接接続 | 玄箱 | 玄箱/HG (1518Bytes) | 玄箱/HG (4100Bytes) | 玄箱/HG (7418Bytes) | |
---|---|---|---|---|---|---|
HDDにコピー | MB/sec | 29.29 | 5.78 | 8.43 | 8.74 | 10.68 |
HDDからコピー | MB/sec | 31.02 | 7.67 | 12.84 | 17.44 | 17.92 |
さて結果を見るとなかなか面白い。Jumbo Frameを使わない場合でも、基本的に玄箱→KURO-BOX/HGで大体1.5倍程度、テストによっては2倍程度の性能アップが図られており、玄箱のスピードに不満を感じている人にとってKURO-BOX/HGは有意義な製品になっている事が判る。
これは7,200rpmのMaxLine Plus IIだけでなく、5,400rpmのMaxLine IIでも確認できることで、流石に最大1,000Mbpsの威力ではある。ただ、よく見てみるとMaxLine Plus IIとMaxLine IIでほとんど性能差が無いあたりは、まだどこかにボトルネックがあることを示している。
次にJumbo Frameを使った場合の結果であるが、こちらも面白いように性能が上がって行くのが判るはずだ。テストによっては4,100byteで頭打ちになり、7,418byteでも変わらないものと、7,418byteで更に性能が上がるものが混在しているが、大体4,100byteの場合で(1,518byteの)1.5倍程度、7,418byteで1.8倍という感じで、2倍まではいかないものの大幅に数字が増えている事がわかる。
特に表2のFDBenchの結果など、直接接続と比肩しうるところまで性能が上がっているほどで、玄箱と比べた場合は明らかに2倍以上のパフォーマンスアップが成し遂げられている。これだけ速いと、かなり利用時のストレスは少なくなる筈だ。
もっともこの結果はJumbo Frameに拠る部分も多いだけに、実際に環境を作る場合は「どうやって全てのネットワーク機器をJumbo Frame対応にするか?」という問題が別途出てくるわけではあるが、とりあえずJumbo Frameを使わなくてもそれなりに速度の恩恵に預かれるのは大きいだろう。
加えて言えば、相変わらず7,200rpmドライブのメリットはあまり感じられない。平均アクセスタイムこそ多少短縮されるが、転送速度に関してはほとんど変わらないというあたり、発熱を考えると5,400rpmドライブを選ぶほうが賢明に思える。
KURO-BOX/HGではファンの静粛化がなされているとの事で、実際騒音はかなり収まった感があるが、その分7,200rpmドライブを使った場合にはより筐体が熱くなる感じである。HDDの寿命を考えると、やはり5,400rpmドライブを選ぶほうが賢明だろう。
ところでKURO-BOX/HGではUSBポートが2つに増加しているが、相変わらず標準ファームウェアでのサポートは無い。このあたりはまた色々と書き換える必要があるわけで、その辺りのレポートを次回お届けしたい。
□関連記事
【10月22日】玄人志向、Gigabit Ethernet対応の「玄箱」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1022/kurouto.htm
(2004年11月24日)
[Reported by 槻ノ木隆]