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Intel、ルイス・バーンズ副社長がCEATECで基調講演

米Intel ルイス・バーンズ副社長

10月5日 開催

会場:幕張メッセ



 10月5日から4日間のスケジュールでCEATEC JAPANがスタートした。IT/エレクトロニクス関連ではわが国最大規模の展示会であるCEATECだが、毎年多くのゲストを招いてのキーノートスピーチでも知られる。今年のスピーカーには米Intel本社でデスクトップ・プラットホーム事業本部長をつとめるルイス・バーンズ副社長も名を連ねたが、CEATECのキーノートスピーチにIntel本社のエグゼクティブが登壇するのは、意外なことにこれが初めてだ。

 さらに意外だったのは、「デジタルライフスタイル:デジタルホームから広がるビジネスチャンス」と題されたバーンズ副社長のスピーチのモチーフとして、日本の連歌が用いられていたことだ。連歌とは、和歌の上句にあたる五・七・五と、下句にあたる七・七を、別の作者が合作する定型詩の一種で、時に100句を超えるものも楽しまれたという。五・七・五・七・七という定型を用意することで、多くの人が1つの作品に連なることが可能になる。

 この特性を踏まえて、オープンスタンダードという「型」を用意することで、家庭でのネットワークに接続されたさまざまなデバイスが相互運用可能になることになぞらえたものだろう。あるいは、上句と下句を別の作者が詠みながら1つの作品を作り上げることを、IntelがリードするIT業界と我が国が中心となっている家電業界の融合に見立てているのだろうか。いずれにしても、IDF等で行なわれた既存のスピーチに手を入れたものではなく、このイベントのために、それなりの準備期間を要して準備されたものであったことは間違いない。

NEC製のPCを使ってCinemaNowのサービス開始を発表 CinemaNowのホームページ こちらは富士通製のEntertainmentPCを使ったDTCP-IPのデモ

 それはともかくバーンズ副社長のキーノートスピーチでまず触れられたのは、デジタルホームにおける「型」、すなわちオープンスタンダードの確立を目指すIntelの動きについてである。Hitachi、Intel、Panasonic、Sony、Toshiba(いわゆる5C)によるDTCP(Digital Transmission Content Protection)の策定、IntelやHP、IBMをはじめとするITベンダと、Sony、Sharpなどの家電ベンダが名を連ねるDLNA(Digital Living Network Alliance)による標準化ガイドラインの作成などだ。こうした標準により、映像、音楽、動画といったデジタルコンテンツがさまざまなデバイスで容易に利用することが可能になる。これこそが消費者が望んでいるもの、というわけだ。

 もちろん、その一方で著作権者の権利も守られねばならない。そのための技術、特にネットワークに対応した著作権保護技術(DRM)としてIntelはオープンスタンダードであるDTCP-IPの採用を呼びかけている。現在DRMは消費者の囲い込みを狙うベンダの主戦場となっており、さまざま独自技術が覇を競っているが、35年に及ぶIntelの事業経験はオープンスタンダードに基づくことがいかに重要であるかを物語っているという。

 音楽配信はオープンスタンダードの確立が間に合わず、独自技術によるDRMを用いたネットワーク配信が先行した分野だが、それでも大成功をおさめつつある。これがオープンスタンダードに基づいたものになれば、さらなる成功も期待できるというわけだ。いずれにせよ、コンテンツがデジタル化されネットワークを行き交うようになるという流れは、もはや止めることができないまでに勢いを増している。わが国でもこの冬から、ハリウッド映画のオンライン配信サービスであるCinemaNowがスタート、映画というコンテンツがネットワーク経由でオンデマンド配信されるようになる。

 こうしたホームネットワーク技術の進歩と普及は、社会全体にも大きな影響を与える。現在、世界的な規模で進みつつある高齢化社会においても、ホームネットワークが重要な役割を果たすことになるだろうとバーンズ副社長はキーノートスピーチを締めくくった。

□CEATEC JAPAN 2004のホームページ
http://www.ceatec.com/
□CEATEC JAPAN 2004レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/link/ceatec.htm

(2004年10月5日)

[Reported by 元麻布春男]

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