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コニカミノルタ DiMAGE Z3

− 待望の手ブレ補正を搭載、通好みの画質 −



 コニカミノルタのDiMAGE Zシリーズは超高倍率ズームレンズを搭載したミドルクラスモデルで、今回試用したDiMAGE Z3(以下、Z3)はその名の通りZシリーズの3代目。

 前機種DiMAGE Z2(以下、Z2)とは画素数こそ400万画素と変わらないものの、CCDシフト式の手ブレ補正機構「Anti-Shake」を新採用したほか、光学ズームが10倍から12倍へ高倍率化すると共にAFも強化されるなど、かなり力の入ったモデルチェンジが行なわれている。

 高倍率ズーム搭載機における手ブレ補正機構の有効性については今さらここで述べるまでもないと思うが、正直に言って高倍率ズーム機にとって手ブレ補正機構は「あれば便利なもの」というような軽い存在ではなく、もはや「なくてはならない」必然的な装備だと思う。同社ではすでにひとクラス上のDiMAGE A2でAnti-Shake機構を搭載しているが、今回Z3にも同機構が搭載されたことにより、カメラとしての魅力度は大幅にアップしたといえるだろう。

●好みのハッキリしたボディデザイン

 いつものようにまずはボディデザインから見てみよう。

 ごらんの通り、基本的には前モデルのZ2と同様のデザインコンセプトが継承されているが、カラーがブラックになったこともありグッと落ち着いた印象を受ける。個人的にはドライヤーにしか見えなかったZ2よりもずっと好ましいカッコウになったなぁ〜と思う。なお、ボディカラーについてはブラックが基本だが、「ユーロシルバー」と呼ばれるシルバーモデルも限定で販売される。


 Z2よりも落ち着いたとはいえ、かなり個性的なデザインであることに変わりはなく、間違いなく人によって好きか嫌いかがハッキリと分かれるだろう。ただ、よく見ると細部のディテールなどはかなり凝っていて、旧ミノルタ時代を含むコニカミノルタ製カメラとしては珍しくデザインコンシャスな仕上がりになっていると思う。

 外装はエンジニアリングプラスチック製だが、逆に金属製だったらこのデザインはちょっと難しかったのではないだろうか。その意味ではプラスチックの利点を上手に活用した造形である。ちょっと残念なのはこれだけボディ本体のデザインにこだわったのに、ストラップを取り付けるアイレット金具がえらく貧弱なことだ。


●おおむね良好な操作関係

 スイッチ関係の配置はZ2とおおむね同じであり、数が整理されていることもあってわかりやすい操作系だ。ボディサイズに余裕があるため、各操作スイッチのサイズも大きめで、操作性もおおむね良好である。ただ、右手側グリップ上部のモードダイヤル前方にあるマクロモード切り替えボタンとフラッシュモード切り替えボタンの2つはあまりにデザインをこだわりすぎたためか、指を当てる方向によっては少々操作しにくかった。

 あと、各操作部のアイコンや文字類はそれなりに大きくて見やすいのに対して、メニュー内の文字は小さすぎると感じた。液晶モニタのサイズが1.5型と小さいため、表示文字類のフォントサイズを上げると1画面で表示できる情報量が少なくなってしまうという理由は十分理解できるが、誰にでも使いやすいユニバーサルデザインを目指すのなら、ここは何とかひと工夫してほしいところだ。

 操作レスポンスはこのクラスとしては良好で、メニュー操作などで十字キーをかなり早く操作しても表示が追いつかないといった事態はあまりなかった。また、Z2ではズーム操作があまり微調整がきくタイプではなく、つい行きすぎたり戻しすぎたりしてしまうことがあったが、Z3ではズームレバーのレスポンスが改善され、任意の画角で止めやすくなった。

 ホールディングについては左手をレンズ部の下側に添えるような一眼レフ的な構え方をすると、グリップを握った右手と干渉することは避けられないが、これについてはちょっとだけ左手の位置を工夫すればOKだ。グリップ部のサイズがたっぷりとしていることもあり、基本的には構えやすいと思う。


全体的な操作部材の配置はそれほどZ2と変わらないが、十字キーのデザインは一般的なものに変更されている。十字キーの左右ボタンを押すことでダイレクトに露出補正可能なのは使いやすい モードダイヤル上の文字、アイコン類は大きく視認性が高い。ダイヤル前方の2つの押しボタンはややデザインを優先させすぎた感じであまり押しやすくない
ズームレバーはちょっと変わったデザインだが、こちらは操作しやすい。ズーミングのレスポンスも良好だ シャッターボタンは縦長形状だが、押しやすく不満は感じない
視度調整機構も備える接眼部だが、プラスチック成形のために眼鏡がカチカチと当たる 明外付けストロボ用のアクセサリーシューはコニカミノルタ独自の形状。クリップオンストロボはαシステムのもの(PROGRAM FLASH 5600HS、3600HS、2500のみ)を共用可能だ
撮影時にはリアルタイムのヒストグラム表示も可能 ヒストグラムはもちろん再生時にも表示可能だ
拡大再生は最大6倍まで やや文字が小さいメニュー表示。液晶モニタのサイズを考えると仕方ないところだが……

●独立したEVF用の液晶モニタ

 前モデルのZ2では、EVFに切り換えると液晶モニタが内部で倒れ、その像をミラーを使ってファインダーへ送る仕組みの実にユニークなスイッチファインダーが採用されていた。つまり、ひとつの液晶モニタでEVFと兼用していたわけだ。しかし、このスイッチファインダーは問題もあった。液晶モニタとして直接見たときの表示はクリアなのだが、その像をミラー経由で眺めることになるEVFでは表示品質があまりよくなかったのだ。そこで、Z3ではスイッチファインダーを廃し、EVF側にも専用の0.3型液晶モニタを仕込む一般的な方式に改められた。これによりEVFの表示品質はZ2より格段に向上している。

 一方、液晶モニタは前述したとおり1.5型。最近の流れを考えるとやや小さく、メニュー用のフォントサイズを考えると、やはり最低でも1.8型は欲しかったというのが正直なところだ。ただ、表示品質はなかなか良好だった。この液晶モニタは7.8万画素のTFTで、スペックだけ見ると特に高度なものではないように思えるが、視野角はかなり広く、よほど斜めからのぞかない限り画像の明暗が反転して見えることはない。当然ながら視野率は100%だ。また、液晶モニタ、EVF共に、フレームレートが50コマ/秒と早いため、画面のちらつきが非常に少なく、被写体の動きが実になめらかに見えるのもZ3の美点である。

 電源は単3電池4本で、アルカリのほか、ニッケル水素充電池も使用できるが、残念なのはマンガン電池やオキシライド電池がサポートされていないことだ。単3電池モデルは汎用性の高さが魅力なので、対応電池の種類はなるべく多い方がありがたかったのだが……。なお、CIPA準拠による撮影可能枚数はアルカリ電池の場合が約170コマ、ニッケル水素充電池(2,300mAh)では約320コマとなっている。本体にはニッケル水素充電池は付属しないが、ある程度ヘビーに使うならニッケル水素充電池セットは手に入れた方がいいだろう。また、ACアダプターは別売で用意されている。

 記録メディアはもはやコンパクト機では定番となりつつあるSDカードもしくはMMCで、SDカードの場合は松下製、東芝製、サンディスク製、MMCの場合は日立製、サンディスク製のカードが動作確認されているという。

 インターフェース関係は一見するとUSBとACアダプター用外部電源端子しかないように見えるが、実はUSB端子はAVアウトを兼ねており、付属のコードを使うことでテレビなどへ出力することも可能だ。


液晶モニタの視野角は広く、斜め方向からの視認性も良好 電池はアルカリorニッケル水素のみの対応。流行のオキシライドや高容量なリチウム電池が使えないのは残念 カードスロットは電池室と独立している。写真では256MBのSDが写っているが、実際に付属するのは16MBのSDカード

インターフェースはUSBと外部電源の2つのみだが、付属のコードを使うことでUSB端子からAV出力を得ることも可能

●高倍率機ながら不満のないAF速度を実現

いつもと同じように時計の秒針が12時を指すのと同時に電源スイッチを入れ、何秒後にシャッターが切れるか見てみた。時計はもちろん1秒運針ではなく連続運針式。Z3の場合、電源を入れた直後にシャッターボタンを押しっぱなしにするとシャッターが切れないため、スタンバイするまでシャッターを押すタイミングを計らなければならず、多少は人的要素が入ってしまう。結果、約3.3秒で最初の1枚目が撮影できた

 起動時間は電源オンから液晶モニタにスルー画が表示されるまでストップウオッチによる手動計測で約2.6秒ほど(付属16MBカード使用)。ここからAFが作動して最初のカットを撮りきるまで約0.7秒ほどで、電源オン→1枚目の撮影完了にかかるトータル時間は約3.3秒であった。劇的に速いという感じではないが、ストレスを感じずに使うことのできる起動レスポンスといえるだろう。

 また、高倍率ズームにつきもののAF速度の遅さもZ3ではほぼ解決されている。前モデルのZ2でもパッシブセンサーとCCD撮像素子による像面AFのハイブリッドAFが採用されており、実使用では十分なAF速度を実現していたが、今回のZ3ではパッシブセンサーを廃して撮像素子による像面AFだけになったにも関わらずAF速度はむしろ向上しているという。実際の使用でも体感的なAF速度に関する不満はほとんどなかった。


●拡大されたズーム倍率と効果抜群のAnti-Shake機能

Z3用に新開発された光学12倍ズーム。異常分散ガラスやガラスモールド非球面レンズが採用され、GT APOレンズの名称を冠している。F値は2.8-4.5

 Z3のレンズは35mm判換算で35-420mm相当となる光学12倍ズーム。Z2は38-380mm相当だったので、広角側、望遠側共に拡大されたことになる。この手の高倍率機の常で、広角側の画角が35mm止まりなのは不満と言えば不満だが、オプションで用意されているワイドコンバーターを用いれば26mm相当の画角を得ることも可能である。

 歪曲収差、周辺光量不足共によく補正されており、特に望遠側ではほとんど歪曲収差は感じられない。また、どのズーム位置でもシャープネスが一定しており、画角ごとの画質変化の少ないレンズである。

 実使用ではさすがに12倍ズームは使いでがある。Anti-Shake機能による手ブレ補正効果も絶大で、日中のスナップではISO100でもほとんど三脚の必要性を感じないほどだ。もちろん、望遠側では特に慎重にホールドする必要はあるが、これだけの超望遠撮影を手持ちでイケてしまうのは痛快である。


以降に掲載する作例のリンク先は、特に記載がない限り、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更しました)。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。
クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます
建物のシャッターで歪曲収差をチェックした。広角35mm側でも歪曲収差はごらんの通り少ない こちらは望遠端で撮影。広角側と同じ撮影位置だが、さすがに12倍ズームだけあって画角変化はこれだけ大きい。歪曲収差はほとんど感じられない

●シャープネスの高い描写

【滑り台】

 いつもの滑り台をAWBで撮影。このケースでは色味は若干地味な気もするが、彩度が高すぎない点は好感が持てる。シャープネスは広角、望遠共に文句なし

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広角側→プログラムAE(F4.5、1/100秒)、WB=オート、ISOオート(50)、ファイン 望遠側→プログラムAE(F4.5、1/100秒)、WB=オート、ISOオート(80)、ファイン

【屋外ポートレート】

 例のごとく逆光+レフ起こしのポートレート。こちらも適切な彩度である。この条件ではAWBの働きはまったくブレず、適切な色味になった。撮影場所はいつもの公園で立ち位置も同じだが、最望遠側で撮影したので、背景はかなり簡略化できた。

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絞り優先AE(F4.5、1/100秒)、WB=オート、ISO50、ファイン 絞り優先AE(F4.5、1/125秒)、WB=太陽光、ISO50、ファイン

【屋内ポートレート】

 ミックス光下でAWBとマニュアルホワイトバランスの差がどのくらい出るか試してみた。結果、AWBは赤みが強く、マニュアルホワイトバランスは逆に青味がやや強い。正確さではマニュアルホワイトバランスだが、AWBの色味も決して悪くない。

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プログラムAE(F4.0、1/25秒)、WB=オート、ISOオート(200)、ファイン プログラムAE(F4.0、1/20秒)、WB=マニュアル、ISOオート(200)、ファイン

【ストロボ撮影】

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プログラムAE(F2.8、1/40秒)、WB=オート、ISOオート(80)、ファイン

 いつもと同じ撮影条件。色再現は問題ないが、他のカメラと比べると、ややストロボ光が強めの調光結果となった。結果的にストロボ撮影独特のコントラスト感がある。


【夜景】

 AWBと太陽光、それにシーンセレクトの夜景モードで撮り比べてみた。色味は太陽光よりAWBの方が自然だ。シーンセレクトの夜景モードではなぜか露出不足気味になった。また、この条件では当然ながら三脚を使用して同一構図で撮影しているが、3枚に1枚くらいの割合でピンボケが発生した。高速で不満の少ないAFだが、もしかすると夜景条件では合いにくいのかも知れない。

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絞り優先AE(F2.8、1/3秒)、WB=オート、ISOオート(200)、ファイン 絞り優先AE(F2.8、1/2秒)、WB=太陽光、ISOオート(200)、ファイン 夜景モード(F2.8、1/13秒)、ファイン

【マニュアルホワイトバランス】

 タングステン光下でAWBとマニュアルホワイトバランスの差を確認してみた。AWBは光源の色味をある程度残すチューニングらしく、明らかに赤みが強い。一方、マニュアルホワイトバランスはかなり正確だが、実際より少々青味が強いという結果になった。屋内ポートレートのミックス光撮影の結果からみても、Z3のマニュアルホワイトバランスは少々冷色方向になる傾向があるようだ。

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絞り優先AE(F4.0、1/6秒)、WB=オート、ISO50、ファイン 絞り優先AE(F4.0、1/6秒)、WB=マニュアル、ISO50、ファイン

【感度ごとのノイズ変化】

 当然ながら感度を上げるほどノイズは増える。人によって感触は異なるだろうが、筆者的にはISO200くらいまでは許容範囲内だ。ISO400ではそれなりにノイズが多くなるものの、他機種に比べて特に多いということはない。

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絞り優先AE(F4.0、1/5秒)、WB=マニュアル、ISO50、ファイン 絞り優先AE(F4.0、1/10秒)、WB=マニュアル、ISO100、ファイン
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絞り優先AE(F4.0、1/15秒)、WB=マニュアル、ISO200、ファイン 絞り優先AE(F4.0、1/25秒)、WB=マニュアル、ISO400、ファイン

【カラーモードを試す】

 Z3にはカラーモードという機能が搭載されており、ナチュラルカラー、ビビッドカラー、モノクロ、セピアの各モードに切り替えできる。よくある機能だが、Z3のいいところは、ビビッドにしても極端に彩度が上がらないところだ。これくらいの彩度強調なら曇りの日は常時ビビッドに切り替えて使うのもいいかも知れない。

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ナチュラルカラー ビビッドカラー
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モノクロ セピア

●まとめ

 これまでのZ2はカメラそのもののポテンシャルは非常に高かったにも関わらず、手ブレ補正機構がないということで、パナソニックのLUMIX FZシリーズやキヤノンのPowerShot S1 ISなどと比べて総合的な魅力で見劣りしてしまったが、Z3では待望の手ブレ補正が搭載されると同時に各所のブラッシュアップが図られ、大いに魅力度がアップした。一眼レフ的な質感重視の画質も通好みであり、このクラスの製品としては極めてポテンシャルが高い。デザインが気に入れば、悩まずにゲットしても恐らく後悔はしないだろう。

Monthly Digital Camera Navigation(5つで満点、は0.5点)
コニカミノルタ DiMAGE Z3
カメラ指数
写りと、カメラとしての使い勝手を評価
★★★★
デジタル指数
デジタル機器としての魅力を評価
★★★★☆
モノ指数
モノとしての魅力、バリューフォーマネーを評価
★★★★

□製品情報
http://konicaminolta.jp/products/consumer/digital_camera/dimage-z3/
□関連記事
【7月7日】コニカミノルタ、手ブレ補正機構と12倍ズーム搭載「DiMAGE Z3」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0707/konimino1.htm

■注意■

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(2004年8月31日)

[Reported by 河田一規 / モデル 汐瀬 ナツミ]


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