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BCN、2004年上半期PC店頭市場分析を発表
~PCは低迷、iPodのシェアは50%以上に

BCN総研部長 牧野 直樹氏

7月30日発表



 株式会社BCNは、都内で「第2回BCNフォーラム」を開催し、2004年上半期におけるPCの店頭市場分析結果を発表した。

 POSデータを元に集計された2004年1月~6月にかけてのPC市場動向で、デジタルカメラ、ポータブルオーディオプレーヤーなど、周辺機器市場についてもあわせて発表された。

 BCN総研部長の牧野 直樹氏は、「厳しい半年間だった」と上半期を振り返った。牧野氏によると、PC市場全体の市場動向としては、1月にはかろうじて前年比104%となったものの、2月以降は軒並み前年割れとなる厳しい状況。5月から6月にかけての右下がり傾向が顕著で、特に6月では前年比81.3%と、大幅な下落を見せた。

 一方、ポータブルオーディオプレーヤー、デジタルカメラなどは好調で、やはり5月~6月期の落ち込みは見られるものの、いずれも軒並み前年を上回った。

 「アテネオリンピックや猛暑の影響で、デジタル家電やエアコンなどの売れ行きに市場を食われたかたちとなった」と牧野氏は分析し、この傾向は7月~8月期にも続くとされ、さらに悪化する可能性もあると指摘した。

PC関連店頭市場動向

 PC関連市場のセグメントごとのシェアでは、ノートPCが29.2%、デスクトップPCが15.4%、デジタルカメラが13%となった。ノートPC、デスクトップPCに関しては若干規模は縮小したものの、大幅な変化は見られなかったが、デジタルカメラは昨年の9.2%に対して13%へと成長し、2位のデスクトップPCに迫る勢いをみせた。同社では、2004年下半期にはデスクトップPCを追い抜き、ノートPCに次ぐシェアに到達すると見込んでいる。

 ビジネスソフト市場は、2003年3月にソースネクストが発売した「1980円シリーズ」の影響により、平均単価は下落傾向となったが、平均単価に反比例するかたちで販売本数は伸びる傾向にあるという。

 メーカー別本数ベースのシェアではソースネクストが1980円シリーズ発売以来16カ月連続のトップを維持し、6月時点では20.9%のシェアをもつ。

 PCの分野別では、デスクトップPCの2004年上半期対前年同期比は86%(台数ベース)と厳しい状況。5月には91.8%と若干の回復傾向がみられたが、6月に入って再び80.2%と大幅な落ち込みを見せた。7月にもこの状況は続くとされた。

 大幅な落ち込みの原因としては、「デスクトップPCのAV化により、液晶テレビなど家電製品と競合してしまった。そのため、どうしても値頃感はPCが不利になり、その結果シェアが奪われている」と分析している。

 また、自作PCなどホワイトボックス市場の成長も原因のひとつにあげ、「CPUやマザーボードなどのデータから見る限り、自作市場は年間100万台ベース。ショップブランドPCの伸び率も高く、ナショナルブランドPCは苦戦せざるを得ない」とした。

 反面、デスクトップPCのAV家電化は進み、昨年45%だったテレビ機能搭載モデルは60%を超えた。AV機能の強化による液晶の大型化などが影響し、台数ベースの低下と反して平均単価は上昇しているという。

 ノートPCの2004年上半期対前年同期比は92%で、こちらも若干の縮小傾向となった。ノートPCでは、記録型DVDを搭載するモデルが増加し、昨年同期では2割程度だった搭載率も、2004年は52.9%と着実な成長を見せている。また、ワイヤレスLAN搭載モデルも、昨年同期の19%から30.1%へと増加した。

 デスクトップPC、ノートPCともに平均単価は上昇傾向で、主な価格レンジはいずれも16~19万円前後の製品が中心という。また、夏商戦モデルでは19万円以上のモデルも増加傾向にあり、PC価格の下落傾向は下げ止まりつつあると分析した。

デスクトップPC市場動向 ノートPC市場動向

●ポータブルオーディオプレーヤー市場はAppleの圧勝

 一方、PC関連機器として、ポータブルオーディオプレーヤーは引き続き大幅な成長を見せ、2004年上半期対前年同期比は165%(台数ベース)となった。

 特にiPodを投入しているAppleは、他社が5~15%前後のシェアでしのぎを削るなか、2004年上半期で平均約27%(台数ベース)のシェアをもつ。iPod mini及び新型iPodが投入された7月第4週単独では、50%のシェアに到達したという。

 7月一杯の販売比率では、iPodが24.7%、iPod miniが13.5%と、依然として通常サイズのiPodの人気が高いことがうかがえるという。

 発売されたばかりのiPod miniはボディカラー別の販売シェアも発表され、シルバー34.2%、ブルー26.9%、ピンク17%、グリーン14.5%、ゴールド7.4%と、シルバーおよびブルーで過半数を占めるという。

 また、同市場では参入メーカーの数は、2年前では47社だったが、現在では60社へ増加しており、「市場参入への障壁が低く、参入しやすいことが原因で、しばらくこの傾向は続いていく」(牧野氏)とした。

ポータブルオーディオプレーヤーの市場動向 7月の市場シェアとiPod miniの色別構成比

 メモリカード市場については、2004年上半期対前年同期比は142%(台数ベース)と堅調な伸びを見せた。

メモリカードシェア

 種別ごとのシェアでは昨年6月には32.7%であったSDメモリーカードが50.1%と過半数を超えた。対して24.3%を保持していたCFは18.7%へシェアを落としたほか、そのほかのメディアについても軒並みシェアが低下した。

 デジタルカメラの2004年上半期対前年同期比は138%となったものの、5~6月の夏商戦にはやはりオリンピックなどの煽りをうけ、109%と大幅に失速したかたちとなった。

 価格帯では2~4万円の製品が過半数をしめるが、昨年末から続々と発売された、低価格デジタル一眼レフカメラなどが含まれる10万円以上のレンジは、前年同期1.1%に対して4.2%と成長を見せた。

 画素数別では500万画素以上の製品が31.3%へ延びたほか、400~500万画素も29.5%に成長。反面、昨年同期で56%を占めていた300~400万画素製品は33%へ落ち込んだ。300~400万画素クラスの製品は、今後携帯電話などに吸収されていくという。

 牧野氏は最後に、今後のテーマとして、無線LAN技術、PCのAV家電化、デジタルカメラについて動向を語った。

 無線LAN技術については、「家庭内の普及や使い勝手の向上を無線によって実現することでPCの家電化が促進されれば、次のPCの成長シナリオが見えてくる」とし、「最近はホームサーバー製品を見かけなくなったが、PCにとっては重要な機能であり、今後の技術発展によって、より現実味を帯びてくると見られる」などと語った。

 AV家電化については、「今後もPCが家電化していくことは変わらないが、より一層デジタル家電と比較されることになる。リビングルーム以外の個室をいかにPCが占められるかが課題になる。年末にかけて液晶パネルの価格が下落するとみられており、これによりPCの価格が安価になれば、PC市場に弾みがつくかもしれない」とした。

 デジタルカメラについては、「すでに成熟期にはいっており、ユーザーには行き渡った感があるため、成長はやや鈍化している。今後は普及モデルとデジタル一眼レフカメラに市場は二分されるが、特にデジタル一眼レフカメラは、かつての銀塩カメラのように交換レンズを始めとした周辺機器ビジネスが活性化していく」などと語った。

□BCNのホームページ
http://www.computernews.com/
□関連記事
【7月16日】ガートナー、世界PC市場2004年第2四半期出荷速報
~世界市場は13%以上の成長に
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0716/gartner.htm
【1月15日】国内PC関連機器トップシェアを表彰するBCN AWARD 2004発表
~PCはNECがソニーを逆転
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0115/bcn.htm
【2003年1月17日】トップシェアメーカーを表彰する「BCN Award 2003」発表
~70部門で40社が受賞
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0117/bcn.htm

(2004年7月30日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]


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