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iRiverが新製品を披露
~年末には1インチHDD機も投入

プレーヤ本体、ネックストラップ、イヤホンを一体化したN10

7月23日開催



 携帯型音楽プレーヤメーカーのiRiverは、韓国 ソウル市内でプレスカンファレンスを開催し、今年1月のInternational CESでモックアップを披露していた携帯型ビデオプレーヤ「PMP-100」、ペンダント型の斬新なデザインと有機ELディスプレイが特徴のフラッシュメモリ型オーディオプレーヤ「N10」、USBホスト機能とカラー液晶搭載でフォトビューアにもなる「iFP-900」の動作モデルを披露した。

 また発表会ではiRiverの親会社Reigncomの社長兼CEO、Joon Yang氏が「年末に4GBの1インチHDD(Microdrive)を採用した製品をリリースする」と、記者の質問に答える形で予定外のアナウンスも行なわれた。

●フラッシュメモリ型の長所活かしたN10

 PMP-100はLinuxベースで開発されたHDD内蔵型マルチメディアプレーヤで、MP3、WMAといった音楽フォーマットのほか、JPEG静止画、AVIフォーマット(ISO MPEG-4 スタンダードプロファイルもしくはDivX)の動画再生もサポート。

 USBホスト機能を備え、USBマスストレージクラスに対応するデバイスを接続し、PC無しでデータを取り込めるOn-The-Go機能にも対応しているほか、内蔵マイクあるいはライン入力のリアルタイムMP3エンコード録音機能、FMチューナおよびFM放送録音機能など、同社製品ではお馴染みとなった機能も備えている。

 HDDは20GBもしくは40GBの1.8インチ型でPCとの接続はUSB 2.0。3.5インチTFT搭載で、ビデオ再生時のバッテリ持続時間は約5時間。重さは20GB版が280g、40GB版は299gだ。価格は明らかではないが、40GB版でも6万円は切るようだ。

 PMP-100は、Windows CEベースのPortable Media Centerを搭載するPMC-100とともに、4~5月に投入されると言われながら発売が遅れていた。来月には韓国で出荷が開始され、その1カ月後には日本語版も発売される見込みだ。発売時期が異なるのは「予定よりも出荷が遅れ、ユーザーにご迷惑をかけたこともあった。発売日を可能な限り守るために、韓国での発売から1カ月の余裕を見ている(日本法人社長・遠藤信久氏)」のが理由という。

N10のイヤホンは、ネックストラップ部のホルダーにパチンとはめることができる

 一方、同社の主力製品となっているフラッシュメモリ型オーディオプレーヤ2製品のうち、特に注目したいのがN10だ。N10はネックストラップ、イヤホン、プレーヤ本体が一体になったデザインを採用。ネックストラップにはイヤホンをホールドする部分が設けられており、未使用時にコードが絡まないよう工夫されている。16階調表示の有機ELディスプレイや、本体と統一されたイヤホンのデザインも秀逸。本体部の重量は22gしかない。もちろん、日本語表示も可能だ。ボイスレコーダー機能も搭載する。

 バッテリは内蔵リチウムポリマー型でMP3再生時のバッテリ持続時間は11時間。充電は本体をストラップ部から取り外しUSBケーブルを繋ぐことで行なう(端子はミニBタイプ)。対応フォーマットはMP3およびWMAで、内蔵メモリは128MB、256MB、512MBのバリエーションが韓国では予定されている。内蔵埋め込み型のバッテリだが、有償交換サービスも用意される。交換コストは未定だが、関係者によると「2,000円以下になる」という。ただし、PCとの接続はUSB 1.1となる。

 イヤホン一体デザインということで、セットになっているイヤホンの音質が気になるところだが、試作機を試聴した限りでは、この手の製品に同梱されるイヤホンとしては例外的なほど音質が良かった。オープンエアのインナーイヤー型のため、低域の力感には限界はあるが、中域から高域にかけての抜けがよく開放的な音がする。また、自前のイヤホンを使いたいユーザー向けに、イヤホンを内蔵せずミニステレオジャックを備えるネックストラップも製品に同梱されるそうだ。

 小型軽量でケーブルマネージメントがスッキリとするN10は、機能満載だった従来のiRiver製品とはかなり味付けが異なるが、フラッシュメモリを利用するプレーヤの長所をうまく引き出したデザインだ。価格も当初予定よりは多少安くなる見込みで、256MB版が2万円台前半、512MB版も3万円を切る可能性があるという。韓国では今週中にも出荷が開始され、日本でも9月初旬の発売を予定している。

●コンテンツ配信も併せ、2006年には10億ドル企業を目指す

事業計画について語ったレインコムのYang社長兼CEO

 前出のReigncom社長兼CEO、Yang氏は「iRiverのプレーヤ群を基礎に、コンテンツ配信事業を強化していく。2006年にはワールドワイドで10億ドルの売り上げを見込んでいる」と鼻息が荒い。そう話すのも当然だろう。

 韓国ではMP3などの圧縮音源に対応する携帯オーディオプレーヤで57%のシェアを持ち、米国でもiPodに次ぐ販売台数を誇る。韓国の電気街を歩いてみると、iRiverのプリズムシリーズ(iFP-100シリーズ)を真似たデザインの中国メーカー製プレーヤや、操作ボタン類やディスプレイデザインを真似た製品が多数並んでいる。

 MP3対応携帯オーディオプレーヤは、韓国などアジア諸国でユーザー数が伸び、中国などはMDの普及が始まる前にMP3プレーヤが浸透した。iPod効果もあってMDが普及していない米国においても、ジワジワと浸透が進む。CDプレーヤーやMDプレーヤーのワールドワイドにおける普及台数には及ばないとは言え、今後はさらに伸びることは間違いないところだろう。

 では何故、iRiverがここまで競争力を持ったのか。彼らは独自の半導体チップを持っているわけでもなく、筆者が見るところPC用の連携ソフトのセンスも特に良いわけではない。いち早くリアルタイム録音やマルチコーデックサポートを進めた点は評価できるが、57%という圧倒的なシェアをMP3プレーヤが多く競争の激しい韓国で獲得した理由はどこかにあるはずだ。

 そのひとつは親会社のReigncomが、Samsung製フラッシュメモリの大口代理店だったことにある。代理店として大量にフラッシュメモリを扱うため、他社よりも安価にフラッシュメモリを調達できる。1GB版のフラッシュメモリ型オーディオプレーヤを販売しているのは、いまだにiRiverだけだ。

 もっとも、調達コストならばグループ内調達が可能なSamsung製のYepシリーズも、同等の競争力があるように思える。しかし、音楽プレーヤ市場の可能性に対して、思い切り良く事業をフォーカスしたことが良い方向に働いたようだ。Yang氏によると、現在はフラッシュメモリの代理店事業をReigncomとは別の会社に分離しており、Reigncomグループはプレーヤとコンテンツの事業に特化していく。

 「近年、様々なデバイスがパーソナル化の道をたどっている。携帯電話然り、携帯型オーディオプレーヤ然りだ。今後はビデオプレーヤがパーソナル化するだろう。ポータブル型のメディアプレーヤは、これからさらに市場が拡大する」とYang氏は話す。

 すでに韓国では音楽配信事業を開始しており、コカコーラと提携し、コカコーラを飲むとポイントが溜まり、音楽ダウンロードが可能になる、といったキャンペーンまで展開している。音楽配信はMicrosoftのDRM技術を用いているそうだ。来年には韓国以外でも音楽配信サービスを展開する方針で、日本でも来年中の開始を検討中。ただし、前出の遠藤氏は「日本ではコンテンツオーナーが、音楽配信に対して保守的なこともありサービス開始は確約できない。ユーザーに魅力ある価格・運用形態にならなければ、立ち上げることはないだろう」と付け加えた。

韓国内に数カ所あるというユーザー向けサービス拠点兼ショウルームのiRiver Zone アイリバーゾーン2階はカフェになっており、修理待ちのユーザーは無料で飲み物を注文できる アイリバーの修理サポート待合室。無料で飲み物が配られ、漫画本、インターネット端末なども無料で利用可能。修理待ち時間は30分以内とか

●4GB HDD版は新ソフトウェアとともに

 一方、Yang氏が口にした1インチ4GB HDD搭載機、いわばiPod miniやMuvo2のiRiver版とも言える製品だが、韓国内でクリスマスシーズンの発売で動いていることは間違いないようだ。発売時期については、開発進捗などの技術的要素よりも、HDDの調達状況が鍵となる。

 製品はMP3録音機能やOn-The-Go機能、カラー液晶パネルなど、1.8インチHDD採用のH300シリーズと共通する特徴を備える。On-The-Go機能はH300シリーズよりも接続互換性が向上し、現在はサポートできていないデジタルカメラともつながるようになるという。

 また、PCとの連携ソフトも新規開発のものが用意されており、大量の曲ライブラリから4GB分を簡単に抜き出せるように工夫されているという。遠藤氏いわく「性格が異なるので直接は比較できないが、iTunesよりもある面、優れている」という自信作になるようだ。

 さらに東芝製の0.85インチ2GBHDDに関しても搭載機の開発を表明している。ただし、0.85インチHDDはドライブ自体の開発が遅れており、十分な量を調達できるのは「来年、それもいつの時期になるかわからない」(遠藤氏)というが、こちらも調達スケジュールさえ確定すれば、発売に漕ぎ着くことができるようだ。

□アイリバー・ジャパンのホームページ
http://www.iriver.co.jp/

(2004年7月26日)

[Text by 本田雅一]


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