COMPUTEX TAIPEI 2004会場レポート【冷却パーツ&電源編】

水冷キットやファンレス製品が目白押し


会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/2/3
   Taipei International Convention Center
会期:6月1日~5日(現地時間)


 COMPUTEX TAIPEIが開催されているここ台湾は、連日20度後半から30度前半という暑さが続いているが、間もなく日本も夏の暑さを迎えることになる。そうしたなかで注目されるのが冷却パーツだ。

 会場内には日本でも利用者が増えつつある水冷キットのほか、ファンレスパーツ類が数多く展示されている。また、そのほか目に留まった冷却パーツ、電源などを紹介していきたい。

●バリエーションが増える水冷キット

 COMPUTEX TAIPEIの開催に先駆け、水冷システムの推進・標準化団体として「Liquid Cooling Forum」が結成されたのは既報のとおりで、CPUの消費電力、発熱の増加に伴い、水冷システムが注目を集めている。

 Spire Cooloer(SPEEZE)のブースに展示されていた「Atlantic Wave」は、ラジエータとポンプ、タンクを兼ねたユニットをPCケース外に設置するタイプの水冷キット。温度上昇やファン停止などに対するアラーム機能を搭載し、ファン速度の変更もできる。すでに日本での代理店も決まっているそうで、今月から来月にかけての販売を予定しているという。

 続いては、ThermalTakeのブースに展示された「Big Water」。こちらはタンク&ポンプ、CPUヘッド、ラジエータの3ユニットをPCケース内に設置するオーソドックスな形状。ラジエータのファンは1300~2400rpmの間で回転速度が変わる12cmタイプで、ノイズレベルは21dBに抑えられる。また、ファンレスの小型ラジエータもバリエーションモデルとして用意されている。

 今年発売された5インチベイ内蔵型の水冷キット「WC-201」が一躍ヒット商品となったEVER COOL。このメーカーの新製品「WC-301」は、PCケース内/外どちらにでも設置できる小型のラジエータ&ポンプ&タンクが特徴。ATXクラスの大型ケースではケース内に設置して省スペースに利用できるうえ、ケース容量の少ないキューブ型などでも利用可能なのがウリだ。

 最後にGlobal WINのブースに展示されていた「Jefi」。この製品のポイントとなるのはラジエータの仕組みで、CPUヘッドやビデオチップヘッドから流れてきた温水をラジエータのファンの部分に放水。ファンの勢いで温水がヒートシンクの隙間を通り、かつタンク内の水をかき混ぜることで低い水温を維持するという。ちなみにポンプはタンクの底に設置されることになる。

Spire Coolerの「Atlantic Wave」。ケース上に置かれたタンクやCPUヘッド、チューブ、ブラケット部のパーツなどがセットで販売される予定とのこと 展示機のファン回転速度は1,870rpm。Athlon 64 3000+の温度を40℃前後に維持するデモを実施していた ThermalTakeの「Big Water」。12cmファンを使った大型ラジエータが特徴。LGA775にも対応する。ちなみに左下の小さなパーツはフローインジケータ
ThermalTakeのBigWaterのバリエーションモデルで、ファンレスの小型ラジエータと組み合わせたもの EVER COOLの「WCL-301」。一見するとスピーカのような外観が特徴。ファンは3,500~4,000rpmの間で手動調節できる 裏面には8cmまたは9cmファンに合わせたネジ穴が掘られているので、ケース後部に固定できる
WCL-301用のHDD冷却ヘッド。このほかCPU、ビデオチップ用の冷却ヘッドが用意されている Global WINの「Jefi」は、CPUクーラーを水槽に付けたような外観が特徴。ちなみに背面に取り付けられているファンはオプション品

●ヒートパイプを駆使したファンレスパーツ

 ここ数年、日本では静音パーツが高い人気を集めている。COMPUTEX TAIPEIでもファンレス化されたCPUクーラーや電源が数多く展示されている。これらは揃ってヒートパイプで熱を運搬して冷却する仕組みだ。

 I Willで展示されたものは、同社のベアボーンキットに組み込むためのものだが、デュアルOpteronベアボーンに組み込むためにユニット化されたユニークなものなどが展示されている。そのほか、Zalman TechのファンレスPCケースの新モデルや、ThermalTakeのファンレス電源のように見た目にもインパクトある製品が並んでいる。

I Willが展示したデュアルOpteron対応キューブ型ベアボーン「ZMAX dp」に搭載されるヒートシンク。各CPUを冷却する2つのヒートシンクをユニット化しているのがユニーク こちらはPentium4対応のスリム型ベアボーン「ZPC sp」用のヒートシンク 同じくI WillのPentium4対応キューブ型ベアボーン「ZPC Ap」用のヒートシンク
ZALMAN Techの「GVS 600 Server」。Opteron 844の4way構成で、ファンレスの700W電源が搭載されている。ただし、ケースファンやCPUファンなどは取り付けられている こちらは過去に発売された「TNN500A」の後継となる「TNN500AF」。電源が400Wへと強化されたほか、内部のヒートパイプの設置位置などに変更が加えられている ZALMAN Techの400W外付け電源。奥のユニットが電源本体でファンレス設計。手前のケーブルはPC内に配線される電源ケーブル類
GlaciaTechのブースに展示されていたファンレスCPUクーラー。形状と展示方法がユニークなのだが、詳しい仕様は不明 ThermalTakeの、その名も「FanLess 103」。背面ファンや電源の内部ファンなどを使って、CPUから奪った熱を放熱する仕組み 同じくThermalTakeのファンレス電源「Fanless PSU」。電源ファンの代わりにヒートパイプを使ったヒートシンクを取り付けた大胆な形状。容量は350W

●そのほか、注目の冷却パーツ&電源

 CPU用ヒートシンククーラーは、形状も落ち着いたものが多く、ユニークな製品は激減した印象を受けたが、目新しい新製品も登場している。冷却パーツや電源と併せて紹介する。

ASUSTeKの「STAR ICE」。構造的には、CPU接触面から延びた6本のヒートパイプと、水平に配置されたフィンを組み合わせた、最近では珍しくないもの。ただし、それを覆うガワにインパクトがあり、サイズもデカい ThermalTakeの「Tower102」も、6本のヒートパイプと水平フィンを組み合わせた製品。側面に同社のロゴとイメージを表したプレートが貼り付けられている点にインパクトあり。残念ながら(?)製品版には、このプレートは付属しないとのこと AeroCoolの「DP-103」は、CPU接触面から垂直に延びる1本の太いヒートパイプと、水平のフィンを組み合わせた製品。この形状も既存製品で採用例があるものだが、脇に取り付けられた銀色の物体の目が青く光るのが不気味なのだが……
COOLERMASTERが展示した12cmファンとメッシュ構造を組み合わせた電源「Real Power」 「Real Power」に付属の5インチベイユニット。現在使用している電源容量を表示するインジケータとなっている。アナログ表示なのが同社らしい とあるメーカーが参考展示していた軸の部分にダイヤモンドを使用しているというファン。これまで利用されている金属製や陶磁製の軸に比べて、硬度は高く、親油性が良く、摩擦係数も低いと良いことづくめだそうだ

□COMPUTEX TAIPEI 2004のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/computex2004/
□関連記事
【5月28日】標準化に向けて水冷フォーラムが始動
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0528/lcf.htm

(2004年6月3日)

[Reported by 多和田新也]


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