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東芝、第4四半期にPC事業が黒字化
~2003年度決算は事実上の増収増益に

東芝執行役上席常務 笠貞純氏

4月27日 発表



 株式会社東芝は27日、2003年度の連結決算を発表した。売上高は前年比1.3%減の5兆5,795億円、営業利益は51.1%増の1,745億円、税引前利益は173%増の1,450億円、当期純利益は55.8%増の288億円と、減収増益になった。

 だが、ブラウン管事業や産業システム事業の移管による売り上げ縮小分が1,760億円含まれており、これを踏まえると前年比2%増となり、「事実上の増収増益」(同社笠貞純執行役上席常務)になるという。

 セグメント別では、デジタルプロダクツ部門が、PCおよびカラーTVの不振、海外向け携帯電話の低迷などの影響を受け、売上高が前年比3%減の2兆94億円、営業損益は486億円減のマイナス238億円の赤字となった。

 PC事業に関しては、販売台数は前年の395万台に対して、450万台(国内が10%増の110万台、海外が15%増の340万台)と、前年に比べて14%増の伸びを見せたものの、単価の下落などの影響を受けて、売上高では前年比6%減の6,960億円。PCおよび周辺機器の営業損益はマイナス220億円と赤字決算になった。

 だが、「今年1月時点での見通しでは、マイナス265億円の赤字と見込んでいたのに比べると、45億円も改善している。第4四半期に関しても、1月1日付けでPC事業を分社化したことで独立意識が強まったこと、調達面などでのコストダウン効果が図れたこと、市場価格への対応などが図れるようになったことが影響して、すでに黒字化している」と、大幅な赤字決算とは裏腹に、PC事業の収益が順調に改善しはじめていることを強調した。

 PC事業に関しては、2004年度の見通しとして、売上高は前年比3%増の7,200億円、営業利益は110億円と黒字化を見込んでいる。販売台数の計画は、国内が前年比18%増の130万台、海外が24%増の420万台、合計で22%増の550万台となっている。

 「PC事業は改善施策の徹底、コスト削減と差異化した新製品の積極投入によって、2004年度は増収増益を目指すことになる」としている。

 TVなどの映像事業は、売価下落の影響を受けた北米向けプロジェクションTV事業の減少や、国内ブラウン管TVの事業規模縮小、フラットパネルディスプレイ市場への対応の遅れなどがあって大幅な赤字となった。2004年度も赤字であるとの予測で、黒字転換は2005年度以降となりそうだ。

 携帯電話事業は、国内向けのカメラ付き携帯電話事業が伸張したものの、海外向け事業が減少し、最終的には台数ベースで18%減の540万台、売上高ベースで前年比10%減の1,900億円と減収。2004年度も前年比7%減となる500万台、金額では横ばいとなる1,900億円を見込んでいる。

 電子デバイス部門は、売上高が前年比1%増の1兆2,836億円、営業利益が851億円増の1,170億円。半導体事業、液晶事業は伸張したが、ブラウン管事業を松下東芝映像ディスプレイへ移管したことに伴う減少分が影響し、わずか1%の増収となった。

 だが、移管した分を含めて再計算すると、前年比8%増の高成長率売上となる。電子デバイス部門においては、NAND型フラッシュメモリの好調ぶりや、携帯電話向けMCP、およびディスクリートの伸張が際立っているという。

 社会インフラ部門は、北米向け火力案件の減少、事業移管などがあり、売上高で前年比6%減の1兆7,141億円となったものの、医療用機器、昇降機事業の利益拡大によって、営業利益は195億円増の586億円となった。

 家庭電器部門は、冷夏の影響で家庭用エアコンが落ち込んだが、これを照明事業がカバーし、売上高は前年比1%増の6,373億円、営業利益は7億円減の35億円となった。

 2004年度の連結業績見通しは、売上高が前年比4%増の5兆8,000億円、営業利益が154億円増の1,900億円、税引前利益が350億円減の1,100億円、当期純利益が12億円増の300億円と増収増益を見込んでいる。

 部門別では、デジタルプロダクツ事業が、PCや映像分野での新製品投入と収益体質の改善によって、売上高で前年比11%増の2兆2,400億円、営業利益で488億円増の250億円と大幅な増収増益を予定。

 電子デバイス部門は、アテネオリンピックを前にしたデジタル家電向けのデバイス需要の拡大を見込んで前年比7%増の1兆3,700億円としたが、年度後半からの市況変化を想定して、営業利益では70億円減の1,100億円と厳しい見方をしている。

 また、社会インフラ部門は海外向け事業の拡大により、売上高では2%増の1兆7,400億円を見込むが、同部門における前年度の厚生年金基金代行返上の影響もあり、営業利益は136億円減の450億円と減益の見込み。家庭電器部門は、新製品の投入やアジア向けなどの海外事業の拡大を見込んで、売上高で5%増の6,700億円、営業利益で15億円増の50億円と増収増益を予定している。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/er200404/japanese/index_j.htm
□関連記事
【4月9日】東芝、経営計画で「映像」を新たな柱に
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0409/toshiba.htm
【2003年1月30日】松下と東芝、ブラウン管事業統合会社を4月1日に発足(AV)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20030130/mt.htm

(2004年4月28日)

[Reported by 大河原克行]


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