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IDF Japan基調講演レポート
~あらゆる機器がPCの機能を持ち、融合する

4月7日~8日 開催

会場:ヒルトン東京ベイ



 インテル株式会社の開発者向けイベント「インテル・デベロッパ・フォーラムJapan Spring 2004」(IDFJ)が開幕した。初日の7日には、Intel本社主席副社長 兼 インテル・コミュニケーションズ事業本部長のショーン・マローニ氏らが基調講演を行なった。

基調講演冒頭で挨拶した、インテル株式会社代表取締役共同社長 グレッグ・ピアーソン氏 Intel本社主席副社長のショーン・マローニ氏

 マローニ氏は、7年前、当時Intelの会長兼CEOであったアンディ・グローブ氏の「将来は10億台のコンピュータが接続される」という発言を引用し、「2004年現在で、すでに10億台のPCが、何らかの形でインターネットへ接続されている。それだけでなく、携帯電話やPDAなどのハンドヘルド機器は、さらに多くの数が接続される。これは新しい産業が台頭してきた象徴といえる」と切り出した。

 同氏によると、このトレンドは今後も継続し、2010年には、15億台のPC、25億台のハンドヘルド製品がインターネットへ接続されるようになり、すべての通信機器が、なんらかの形でコンピュータの機能を搭載し、融合するという。

 昨年発表した、同社のモバイルPC向けソリューションである、Centrinoテクノロジについては、「ワイヤレス通信の重要性をアピールすることができた。無線LAN市場は引き続き成長を続けており、現在では160万個以上のアクセスポイント、5,000万個以上の無線LANアダプタが普及した」とし、無線LAN市場活性化に寄与したことを強調した。

 デジタルホームについては、「'80年台の半ばから様々な試みが続けられてきたが、技術力が追いつかず、挫折を繰り返してきた。だが、今やデジタルデバイスが浸透し、デジタルホームが実現する基盤ができあがりつつある」などとのべ、「デジタルホームでは、それぞれの機器は、UWBを始めとする無線インターフェイスで接続される。ケーブルが不要になることには、大きな意味がある」とし、無線技術の向上がデジタルホーム普及への鍵となることを示した。

 そのほか、将来的には、3G、WiMAX、Wi-Fi、UWB/Bluetoothをシームレスにつなぐことで、ユーザーがあらゆるロケーションでネットワークを利用できるようにすることを目標とし、特にWiMAXについては、2006年にはノートPCに搭載できるようになり、Wi-Fiのように飛躍的な普及を遂げる可能性を示唆した。

 最後は同社のシリコンテクノロジについてムーア氏の発言を引用、「指数関数的なシリコン技術の成長は永久ではないが、しばらくは延長できる」とし、今後も2007年には45nm、2009年には32nm、2011年には22nmとプロセス技術の縮小を続けるという。

接続可能なPCや携帯機器は今後さらに増加する 2010年には15億台のPC、25億台の携帯機器がネットに接続される 2006年にノートPCへ搭載されるWiMAX

元素記号表で見ると、現代のCPUは'80年代にくらべ4倍の元素が使われている ムーアの法則を“延命”していくIntel

 引き続き、Intelコミュニケーションズ事業部 副社長 兼 セルラー&ハンドヘルド事業部長のサム・アルディティ氏が「コミュニケーションプラットフォーム」をテーマに講演した。

Intelコミュニケーションズ事業部 副社長 兼 セルラー&ハンドヘルド事業部長 サム・アルディティ氏

 アルディティ氏は、「ワイヤレスは確実にコンシューマーで普及しはじめている。家庭こそはデジタルハブとしてふさわしい。現状では、デジタル映像などの配信をコンテンツプロバイダーは喜ばないが、DRMの導入により、その説得も容易になるだろう」と述べ、家庭のデジタルハブ化が夢物語でないことを強調した。

 また、「ワイヤレス技術は、先進国だけでなく、これからネットワークが必要な国にこそ必要になる。なぜなら、有線LANにくらべて、圧倒的に安価なネットワークを構築できるからだ」と語り、世界中で無線LANが注目され、今後もその成長に期待できるとした。

 そのほか、W-CDMA/UMTSなどの通信方式や、TV電話機能を搭載する携帯機器向けプロセッサ「Hermon」、IEEE 802.11g+Bluetoothを共存させる携帯機器向けソリューションなどについて説明された。

Hermonプロセッサの概要 会場でデモに利用されたHermon搭載サンプルボード デモでは動画コンテンツの再生が公開された

Intel副社長 兼 モバイル・プラットフォーム事業本部長 アナンド・チャンドラシーカ氏

 本日最後の基調講演は、Intel副社長 兼 モバイル・プラットフォーム事業本部長のアナンド・チャンドラシーカ氏が行なった。

 同氏は、「Centrinoブランドをさらに普及させるには、アプリケーションのモバライズが必要だ。モバイル環境に最適化されたアプリケーションなら、接続スピードにかかわらず活用できるはず」と説明。同社が提供するツールをソフトウェアベンダが利用することで、安価にそれが実現できるとした。

 そのほか、7日付けで発表された低電圧版Pentium M 1.30GHz、超低電圧版Pentium M 1.10GHz、Celeron M 1.40GHz、超低電圧版Celeron M 900MHzなどが紹介されたほか、Dothanの出荷が2004年第2四半期であることも改めて確認した。

 また、Intel PRO/Wirelessシリーズの設定画面が一新され、ひとつの画面で無線LANに関するほとんどの設定が可能になった点につてもふれ、「ユーザーの声を反映した結果」と自負した。

 短時間ながら、プロセッサナンバの導入についてもふれ、「プロセッサナンバを導入することで、クロック、アーキテクチャ、キャッシュサイズ、HTなどのテクノロジを総合した指標を示すことができる。ユーザーが自分に必要な製品をすぐに見つけられるようになる」とメリットを強調した。

一枚のウインドウで設定可能になったIntel PRO/Wirelessシリーズの設定画面 Intelのプラットフォーム開発サイクル 会場で公開されたコンセプトPCの概要。EMAに対応した情報表示用ディスプレイをメインのディスプレイとは別に搭載

12.1型液晶を搭載した新コンセプトのモバイルノートを持つチャンドラシーカ氏 こちらは17型液晶搭載の大型コンセプトモデル。本体上部に取っ手がついている 12.1型の新コンセプトノートに採用された、同クラスで世界最軽量の液晶パネルを手にする東芝松下ディスプレイテクノロジーの新井氏。0.3mmの導光板を搭載して軽量化

17型のコンセプトノート。キーボードと一緒にリモコンも本体に収納できるようだ

□インテルのホームページ
http://www.intel.co.jp/
□IDF Japanのホームページ
http://www.intel.co.jp/jp/idf/
□関連記事
【2003年3月】IDF Japan Spring 2003 レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/link/idfsj03.htm

(2004年4月7日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]


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