CeBIT 2004ブースレポート【やじうま編】

7シリーズはDothanの番号!?


会場:独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe)
会期:3月18日~24日(現地時間)


 前日レポートでもお伝えしたとおり、今回のCeBITには6,400以上のメーカーが出展。中には当然(?)あまり見かけないような変わった製品や、展示を行なってくるメーカーが出てくる。だが、今回のCeBITでは、大手メーカーにそのような展示をするところが多かった。本レポートではそれらをまとめて紹介する。

●Intelがデジタルカーを展示、ベース車がBMW 7シリーズでOEMメーカーに波紋?

 Intelは初日の記者会見で、“Digital Car”なるものを制作したことを発表した。最近では車のIT化も進んでおり、トヨタのG-BOOKなどはOutlookと連携して予定や連絡先などもシンクロできるなど、IT技術を応用したカーナビなども増えている。x86ベースのカーナビを試作して、Windowsが使えるPCを2DINのカーオーディオスペースに埋め込んでみたとか、IT技術を応用したXScaleベースの新しいカーナビとか、そういうソリューションでも展示するのかと心躍らせて見に行ってみた。

 そのIntelのデジタルカーが、この写真だ。BMWの7シリーズをベースにしたこの車の後部座席には、可動式のアームが取付られており、その左側座席にはプリンタが、右側座席にはHPのTablet PCが取り付けられている。説明員に詳細を聞いてみたところ、なんでも車内には無線LANのアクセスポイントが用意されていて、そこにアクセスすることでインターネットに接続することができるという。

 そして、アクセスポイントと、GPRSないしは3G携帯電話を無線LANで接続し、車外への接続にはダイヤルアップを用いるという。この説明を聞いて、「直接PCに携帯電話をつなげばいいのでは?」という疑問が沸々とわいてきた。が、笑顔で「便利でしょ」と説明してくれた説明員に対してそれ以上質問する勇気ははなかった……。

 ところで、このBMW 7シリーズを使ったデジタルカーを見たOEMメーカーの関係者は「あれに使われているHPのTablet PCはDothanなのかな。だって、7シリーズなんでしょ」とつぶやいていた。

ベース車両に利用されたのはBMWの7シリーズ。これって噂の“プロセッサナンバ”に対するIntel一流のブラックジョークなのかと、OEMメーカーの関係者には違う意味で大変好評だった 内部の様子。プリンタとTablet PCがアームで車に固定されており、車内に用意された無線LANアクセスポイント、その先の携帯電話などを経由してインターネットに接続可能

●拷問テスト

 百聞は一見にしかず、という言葉が海外にあるかどうかは不明だが、製品の信頼性や耐久性をユーザーに知ってもらうため、ブースで拷問テストを行なっているところもあった。

 MSIは、マザーボードをオーブンのような加熱機に入れ、70度に加熱するというデモを行なっていた。外気温はもちろんのこと、ケース内ですら70度にまで上昇することはまずないため、このテストにパスする製品なら誰でも安心して使えるだろう。ただし、プラス70度に熱せられてCPUやビデオカードが動作するのかは疑問だが……。

 松下は、TOUGHBOOKを激しく揺れる台の上に載せ、かつ粉塵をまき散らすという派手な拷問テストを公開していた。同ノートPCは、米軍でも採用され砂漠のような悪環境などで利用されている。

オーブンで焼かれるMSIのマザーボード 松下のTOUGHBOOK。外装の堅牢さは折り紙付きだが、それでもOSは落ちるときは落ちるのだろうなぁ、などとふと思った……

●プラスワン

 今回のCeBITでは、2層記録や16倍速書き込みに対応するDVDや、HD DVD、Blu-rayなど新たな光学ドライブが注目を集めていた。そしてMSIが展示していたのは、書き込みの進行具合をフロントパネル上で確認できるというDVD±R/RWドライブ。フロントパネルの下部には、進行バーが用意されており、書き込みがどれだけ進んだかが確認できるという具合。

 これは会場での展示ではなく、たまたま立ち寄った電気店で見かけたものなのだが、LGのインターネット冷蔵庫を紹介しておきたい。この冷蔵庫には15型程度のタッチパネル液晶ディスプレイが埋め込まれており、TVの視聴、Webの閲覧、メールの送受信などができる。また、カメラとマイクも搭載されている。

 画面のインターフェイスは、家電的なもので、最初は組み込み向けOSでも使われているのだろうと思っていた。とりあえず興味本位でPC Watchのページを表示させてみたところ、デフォルトでは日本語フォントが組み込まれていないため、それをダウンロードするかというメッセージが表示。このダイアログウィンドウがなんと、よく見慣れたWindowsのそれと全く一緒。Internet Explorer 5.5という表示もされており、どうやら中にはPCが入っているようだ。

 ちなみにこの冷蔵庫のお値段、約8,800ユーロということで、日本円換算だと優に110万円を超える。左側のドアにはドリンクサーバーもついており、まさに至れり尽くせり。

書き込みの進行具合が確認できるMSIのDVD±R/RWドライブ。しかし、DVD書き込み時はライティングソフトをフォアグラウンドで実行させるから進行具合は画面で確認できるし、書き込み終了時はローダーが開くので、果たしてこれが本当に有用なのかは何とも言えない 110万円を超えるインターネット冷蔵庫。そのお金で、それなりの冷蔵庫と大型TVとPCを買うという選択肢もあるかとは思うが 日本語フォントをダウンロードしてPC Watchも無事表示

●会場でみかけた小ネタ

Intelブースに展示してあった4画面PC。もともとは金融ディーラーなどを対象としたもの。中には2台のPentium 4システムが内蔵されており、上の3画面と下の画面はそれぞれ別のPCにつながっている。Intelでは、画面の広さを活かして複数アプリケーションを同時使用したり、親子で別画面を同時に操作したりというように、家庭向けにも売り込んでいきたいとしていた あらゆる外装を木目調にした木製PC SEGWAY。試乗サービスはしていなかったようだ
鏡の中にディスプレイを埋め込んだミラーTV USBメモリ付きスイスアーミナイフ。ふとした場面で役立ちそうだが、空港の手荷物検査ではまず引っかかると思われる リモコンで動かせる2足歩行ロボット。腕も可動式で、ボタンを押すとプリセットされたポーズをとったりする。手の開閉もできる。お値段は140ユーロ(約18,000円)とお手頃で、かなりサイバーな動きをしており、衝動買いしそうだったが、残念ながらその場では売っていなかった
F1チャンピオンのお膝元だけあり、スポンサーメーカーにはF1カーを展示するところも。一番右の写真はなぜかプレスルームに飾られていたもの

□CeBIT 2004のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/homepage_e

(2004年3月24日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp / 笠原一輝]


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