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松下 LUMIX DMC-LC1
Leica DIGILUX2


−アナログ的な操作性が心地よい高級機−



 パナソニックとライカが手を結んで数年たつ。しかし、これまでに発表されたモデルは必ずしも両社の特長を完全に生かし切っているとは言えなかった。実際にはパナソニックとライカの技術者は相互に行き来したりして、かなり綿密な協力関係にあるらしいのだけど、どうも「パナソニックのデジカメにライカマークを付けただけ」という印象がぬぐいきれなかったと思うのだ。

 しかし今回のLUMIX DMC-LC1(LC1)とDIGILUX2は違う。M型ライカを彷彿とさせる外観はもちろんのこと、操作性についてもライカ的なこだわりが随所に感じられる本格的なカメラに仕上がっている。これぞコラボレートモデルと呼ぶにふさわしいだろう。

 デジカメマニアな読者の皆さんはすでにご存じのことかと思うが、LC1とDIGILUX2は兄弟機だ。先代モデルにあたるDIGILUX1がパナソニックのDMC-LC5をベースに作られていたのと同じく、DIGILUX2もLC1と同じプラットフォームが用いられている。というわけでハードウエア的には両機にほとんど違いはないが、デザインや価格はちょっと違う。じゃあ一体どこがどう違うのかという点を確認しつつその実力と魅力を検証してみたい。

 その前に簡単にスペックをおさらいしておくと、共に2/3インチの500万画素CCDに、VARIO-SUMMICRON28-90mm(35mm判換算)F2.0-2.4という大口径3倍ズームを搭載した本格モデルである。ちなみに先代モデルとなるLC5とDIGILUX1は1/1.8の400万画素CCD搭載機だった。


●巧妙に差別化されたデザイン

 まずは両機の外観から。

 特徴的なのはボディがかなり厚いのと、レンズがデカいということだろう。気になる重量は本体のみでLC1が627g、DIGILUX2は630gもある。コンパクト系としては大きめな2/3インチCCDを搭載しているとはいえ、3倍ズーム機としては異例の重さである。

 ちなみに同じ2/3インチCCD搭載機で8倍ズームを搭載するニコン COOLPIX8700は480gしかない。まあ、レンズの開放F値などが異なるので比べるのはナンセンスだが、レンズ一体型デジカメとしてはヘビー級であることは確かだ。

 個人的な希望を言わせてもらうなら、ボディはもう少しだけ薄くしてもらいたかったけれど、そうなるとレンズとの重量バランスが悪くなるのだろうか。もともと欧米では高機能カメラを小型化して欲しいという要望は日本などに比べて少ないので、ワールドワイドで考えると妥当な大きさなのかもしれない。

 両機のデザイン的な違いは写真の通り。プラットフォームが共通なので各種スイッチやファインダー位置などは当然同一位置にある。それでもここまでカメラの印象が異なるのはまさしくデザインの力ということになるわけだが、その差別化はなかなか見事である。キャラクター的にはゴージャスなDIGILUX2に対して質実剛健なLC1という感じだろうか。DIGILUX2のシルバー仕上げの質感は相当に高く、さすがに高いだけのことはあると思う。

 どちらが好みのデザインかという話は個人の主観に依存することなので何とも言えないけれど、シルバーでより大きく見えてしまうDIGILUX2に対し、ブラックのLC1は引き締まった印象で、実寸法より小さく見えるのは確かだ。また、グリップ部のあるLC1の方が取り落としにくいし、ホールディングもしやすかった。


●アナログの良さを実感できる操作性

 次は操作系を見てみよう。

 LC1とDIGILUX2はアナログ的な操作系のため、銀塩のマニュアルカメラを使ってきた人にも違和感なく使えると思う。レンズ鏡胴に設けられたマニュアルフォーカスリングやズームリング、絞りリングを始め、ボディ上部のシャッター速度ダイヤルなど、主要なカメラ側操作はすべてダイヤルやリングで行なうことができるのだ。

 例えば露出操作の場合、絞りリングだけを「A」位置から外せば絞り優先AEになり、逆にシャッター速度ダイヤルだけを「A」位置から外せばシャッター測優先AEになる。もちろん、絞りリングとシャッター速度ダイヤルの両方を「A」位置から外せばマニュアル露出になるわけだ。このため露出モード切替ダイヤルはない。AF化される以前の銀塩一眼レフでもよくあった操作方法だが、あらためて使ってみると非常に合理的かつ理に適った操作系である。

 あと、やっぱり手動のズームは使いやすい。電動のパワーズームだと行きすぎたり戻りすぎたりして微妙なズーミングがむずかしいが、手動ならそんな心配もなく、すごく快適だ。実際にこの手のカメラでマニュアル露出やマニュアルフォーカスを多用することはあまりないだろう。しかし、たまに使うことほどイザというときに迷ってしまうわけで、この分かりやすさは大いに評価できる。

 また、これだけしっかりとしたローレットが切られた操作リングを備えていると、必要が無くてもマニュアル操作してみたくなってしまうから面白い。実用的な見地から見ればナンセンスな話だが、仕事ではなく趣味の写真を撮るのなら、カメラの操作を楽しみながら撮影してもバチは当たるまい。逆に、大抵のデジカメではマニュアル操作は単に苦痛なだけだが、LC1とDIGILUX2ではマニュアル操作は「快感」なのだ。

 一方、デジタル部の操作性に関しては特に変わったところはない。メニュー操作そのものも一般的なデジカメと同じだし、あるべき項目があるべき場所にあるので迷いも少なかった。ただ、OKボタンが無いため項目の選択→決定は最初やや戸惑ったが、これは慣れれば問題はないだろう。

手前側から絞りリング、フォーカスリング、ズームリングが並ぶ鏡胴部。これはLC1の写真だが、DIGILUX2もレンズ部のデザインに関してはまったく違いはなく共通だ 絞りリングを「A」位置から動かすときや、フォーカスリングをAF→MFへ移行するときは、各リング上に設けられたこのボタンを押す仕組みのため、不用意に回ってしまう心配はない
シャッターダイヤルはボディ上部にあり、LC1とDIGILUX2ではダイヤルのデザインが異なる。ちなみに1秒から8秒までのスローシャッター速度を設定するときは背面の電子ダイヤルで設定する

 写真を見てもらうと分かるとおり、LC1、DIGILUX2共にレンズ鏡胴部はまったく同じだが、シャッターダイヤルや、シャッターボタン周辺の測光切り替えレバーなどの意匠は異なる。面白いのは文字・数字類の書体で、DIGILUX2はレンズ部、ボディ側共に「ライカフォント」と呼ばれるライカ独特の角張った書体なのに対して、LC1はレンズ部のみライカフォントが使われ、ボディ側は別の普通な書体になっていることだ。

背面の十字キー等、ボディ側の細かい操作部材のデザインは両機で結構異なる。十字キーの使いやすさという点では4方向に立体的なデザインのDIGILUX2の方が明らかに押しやすく操作しやすかった。十字キーの外周には電子ダイヤルが組み込まれているが、これでプログラムシフトが行なえるのは実に便利 記録メディアはSDカードもしくはMMC。なおLC1にはメディアは付属しない
DIGILUX2には64MBのSDカードが付属する。5メガ機なので32MBくらいだと使い物にならないけれど、64MBあれば予備カードくらいには使える。ファンにとっては赤丸のライカマークがうれしい 電源は専用のリチウムイオン充電池。ACアダプター兼用タイプのチャージャーが付属する アクセサリーシューを装備しているため外部ストロボを使用可能。SCAシステムに対応しているため、Metzやライカのストロボの一部ではISOや絞り情報をボディとやりとりすることも可能
インターフェイス部にもしっかりとしたカバーが付く。USBは2.0に対応している LC1付属のワイヤードリモコンはネクタイピン型の軽量タイプ ライカっぽい角形のレンズフードが付属する。また、レンズキャップの他にフードキャップも付属する

●見やすい大型液晶モニタ

 先代のLC5、DIGILUX1では光学ファインダーが搭載されていたが、LC1、DIGILUX2では光学ファインダーの代わりにEVFが搭載されている。M型ライカなどのレンジファインダー機が好きな人の中には光学ファインダーに対するこだわりもあるだろうが、ズームレンズを前提にした場合、光学ファインダーはやはり視野率や撮影距離ごとのパララックスの追従性などに無理があるのは否めないわけで、EVFの採用は妥当だと思う。

 23.5万画素の液晶が使われたEVFだが、他のEVF搭載機と比べても、とてもクオリティの高い見え方をする。視野率は100%だ。

 また、マニュアルフォーカス時に液晶モニタやEVFの画面を拡大表示するのは他機種でもよく見られる手法だが、LC1とDIGILUX2ではMFリング操作時に画面中央部に拡大画面が合成表示される「MF1」と画面全体が拡大表示される「MF2」の2種類の拡大方法がセットアップメニューで選べる。もちろん、拡大表示を好まない場合はOFFにすることも可能だ。

 一方、液晶モニタは2.5型の大型。といっても今では薄型デジカメなどにもよく搭載されているからそれほど珍しくはないが、パナソニック/ライカの場合は2002年のDIGILUX1やLC5のときにすでに2.5型モニタを搭載していたのだから先見の明がある。

 メニューの文字類も大きくて見やすいし、拡大再生も16倍まで可能で非常に使いやすい。液晶モニタそのものは21万画素の反射透過併用型低温ポリシリコンTFT液晶で、通常のモニタと比べると屋外でもなかなか見やすいが、そういうシーンではEVFの方を使った方がより良く見える。

液晶モニタは2.5型と大きい。相対的にメニューの文字も大きく、なかなか見やすい EVFは23.5万画素の液晶が使われている。アイポイントは15mmと長く、メガネを掛けていても見やすい。視度調整機構も付いている

●贅沢な3倍ズームレンズ

 本格的なマニュアル操作と並んでLC1とDIGILUX2のキモとなるのがVARIO-SUMMICRON 7-22.5mmF2.0-2.4という大口径3倍ズームだ。35mm判換算では28-90mmという使いやすい焦点域になるが、驚くのはその気合いの入った作りの良さ。レンズ構成は10群13枚で最短撮影距離は30cmというスペックだが、前玉も大きく、いかにも「よく写りそう」な外観である。

ライカの名に恥じない美しい作りのVARIO-SUMMICRON 7-22.5mmF2.0-2.4 前玉すぐ後ろにはフレアカット用とおぼしき遮光板がレンズの上下にセットされているのが見える

●バウンス可能な内蔵ストロボ

 LC1とDIGILUX2の内蔵ストロボはZ型に立ち上がるようになっているのだが、これを途中で止めることにより、発光部を45度の角度に向け、光を壁や天井に反射させるバウンス撮影をすることもできる。試しに天井バウンスさせてみたが、通常の天井の高さだと感度100では露出不足になる。

 そこでカメラの上部50cmあたりにレフ板を差し出してそこへバウンスさせたのが下の写真である。ダイレクトに照射した方に比べると、影も出方も柔らかく、ポートレートなどには使える機能と言えるだろう。

内蔵ストロボはこのようにZ型に高い位置へ立ち上がるため、レンズフードさえ外しておけば近距離でもレンズ鏡胴によるストロボ光のケラれは最小限 内蔵ストロボをバウンス位置に固定したところ。これまでのカメラにはない、ユニークな機構である
内蔵ストロボをダイレクトに照射するとこうなる。光はシャープだが、壁に落ちる影がきついし、書き割りのようで立体感に欠ける
プログラムAE(絞りF2・1/60秒)、ISO100、WB=フラッシュ光
レフ板に内蔵ストロボをバウンスさせて撮影。ダイレクト照射に比べると立体感があり、気になる強い影も出ない
プログラムAE(絞りF2・1/60秒)、ISO100、WB=フラッシュ光

●LC1とDIGILUX2で写りの違いはあるのか

 さて、いよいよ実写比較である。ライカレンズと2/3インチCCDによる絶対的な写りの性能はもちろんだが、同じハードウエアを使ったLC1とDIGILUX2で写りの違いはあるのかということも大いに興味がある。残念ながら2台同時に借り出すことができなかったため、それぞれ別の日に撮影せざるを得なかったが、何か分かるだろうか? 早速検証してみよう。

 まずは日中晴天のポートレートから。

 撮影したのが別の日ということもあり、光線状態が微妙に異なるが、それを考慮してもトーンが明らかに異なり、DIGILUX2よりLC1の方がコントラストが高い。当然ながら画質調整用の各パラメーターを始め、ホワイトバランスや撮影感度は揃えている。同じF2.4の絞り優先AEで撮影したが、両日とも晴れておりシャッター速度は偶然にも同一になった。

以降に掲載する作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更しました)。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。
特に記載がない限り、クリックする2,560×1,920ピクセルの画像が別ウィンドウで表示されます
LC1
絞りF2.4、絞り優先AE(1/1300秒)、WB=太陽光、ISO100
DIGILUX2
絞りF2.4、絞り優先AE(1/1300秒)、WB=太陽光、ISO100

 次は公園にあったロケット型の滑り台で撮り比べてみたが、こちらも印象は同じで、LC1の方がかなりハイコントラストに感じる。

LC1
プログラムAE(F5.6・1/320秒)、WB=太陽光、ISO100
DIGILUX2
プログラムAE(F5.6・1/250秒)、WB=太陽光、ISO100

 今度は外光と蛍光灯のミックス光条件になる室内でAWBをテストしつつ比較してみた。結果はごらんの通りで、両機で若干の差はあるものの、かなり青みの残る結果となった。AWBでもあまり強力に補正を効かせないタイプのようだ。

LC1
プログラムAE(F2.4・1/13秒)、WB=オート、ISO100
DIGILUX2
プログラムAE(F2.4・1/8秒)、WB=オート、ISO100

 ちなみに上の写真と同条件で、白い紙を使ってマニュアルホワイトバランスを取るとこうなる。当然ながらAWBよりは見た目に近く補正された。両機の違いは屋外のカットと同じくLC1の方がコントラストはやや高めになった。

LC1
プログラムAE(F2.4・1/13秒)、WB=マニュアル、ISO100
DIGILUX2
プログラムAE(F2.4・1/10秒)、WB=マニュアル、ISO100

 ではストロボでは違いは出るのかというので撮ったのがこれ。今までのカットほどの差は感じられないが、LC1の方がわずかに色乗りが強めに感じられる。

LC1
プログラムAE(F2.4・1/60秒)、WB=フラッシュ、ISO100
DIGILUX2
プログラムAE(F2.4・1/60秒)、WB=フラッシュ、ISO100

 というわけで、LC1とDIGILUX2の再現性は若干異なるようだ。具体的にはLC1はコントラストが高めで彩度も強めな再現なのに対し、DIGILUX2はやや低めなコントラストで彩度もわずかに弱めにチューニングされている。どちらが好ましいかは使う人の感性にもよるが、ライカの方はいかにもヨーロッパ的な再現と言えなくもない。明快さを求めるならLC1。デリケートさを求めるならDIGILUX2といったところだろうか。

 ただし、違うといってもこの結果はあくまでもデフォルト設定によるものであることを忘れてはいけない。カメラに搭載されているコントラスト/シャープネス/彩度といった画質調整用の各パラメータを調整することで十分吸収できてしまう程度の差なので、実際にはそれほど気にしなくてもいいと思う。

 一方、絶対的な画質は十分に高い。LC5の頃はやや色再現に偏りが感じられたが、今回は特定の色への偏りはほとんど感じられず、色のバランスの良さはかなりハイレベルに達している。FZ1あたりから本当にパナソニックの色作りは上手くなったと思う。

DIGILUX2
露出時間は1秒だが、ノイズはかなり少なく優秀。レンズがいいせいか、フレアやコマ収差も少ない
絞りF2.8、絞り優先AE(1秒)、WB=オート、ISO100
DIGILUX2
起動時間は電源を入れてからEVFが点灯して撮影スタンバイ状態になるまで手動測定で約1.5秒だった。このくらいの起動時間ならイライラしないで撮影できる。周辺部でも画質の乱れは少ない(L1010036)
プログラムAE(F5.6・1/400秒)、WB=太陽光、ISO100
LC1
絶対的な色味を見るために、白い紙でマニュアルホワイトバランスを取って撮影した。並のコンパクトデジカメとは比較にならない、どちらかというと一眼レフに近いクオリティだと思う
LC1、絞りF4、絞り優先AE(1/20秒)、WB=マニュアル、ISO100

 アナログライクだが非常に使い勝手のいい操作系、そして贅を凝らしたレンズと余裕のある2/3インチCCDの組み合わせはやはり魅力的だ。ブツ的にも所有欲を感じさせるし、実用性も高い。久々に本気で欲しくなったカメラである。

Monthly Digital Camera Navigation(5つで満点)
松下電器産業 LUMIX DMC-LC1 & ライカ DIGILUX2
カメラ指数
写りと、カメラとしての使い勝手を評価
★★★★★
デジタル指数
デジタル機器としての魅力を評価
★★★★
モノ指数
モノとしての魅力、バリューフォーマネーを評価
★★★★★
あらゆる点で良くできているカメラ。その実力を知ってしまうと「重い」「デカい」というのは筋違いに思えてくる

□松下電器産業のホームページ
http://matsushita.co.jp/
□製品情報(LC1)
http://panasonic.jp/dc/lc1/index.html
□Leicaのホームページ(英文)
http://www.leica-camera.com/index_e.html
□製品情報(DIGILUX2)(英文)
http://www.leica-camera.com/digitalekameras/digilux2/index_e.html
□関連記事
【2月16日】松下、Leicaレンズ搭載マニュアル志向の「DMC-LC1」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0216/pana.htm
【1月23日】日本シイベルヘグナー、Leica DIGILUX 2を国内発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0123/leica.htm

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(2004年3月23日)

[Reported by 河田一規 / モデル 汐瀬 ナツミ]


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