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15億ドル規模の研究開発施設「香港サイエンスパーク」
~オムロンが進出を決定

3月10日 発表



 オムロン株式会社は10日、「香港サイエンスパーク」に進出し、液晶バックライトのデザインセンターを設置することを発表した。

香港科技園公司CEOのC.D.タム氏が

 香港サイエンスパークは、100%香港政府が投資するものだが、その運営は香港科技園公司という法人組織が行なう。10日に行なわれた説明会では、同社CEO(最高経営責任者)のC.D.タム氏が、同施設の概略を説明した。

 香港サイエンスパークは、香港特別行政区政府が、中国返還後の香港を“知的集約型都市”へ転換することを目的として建設された研究開発センター。トロハーバー臨海地区、香港新界地区沙田パクシェコに位置し、その敷地は22万平方mにおよぶ。

 建設は3期に分かれており、このほど第1期分が完成。第2期分の設計も完了しており、まもなく着工される予定で、全体の完成は2009年が予定されている。総投資額は15億ドル。

 地元企業のみならず、海外の企業にも積極的に誘致活動を行なっており、2001年には日本企業として初めてTDKがHDD磁性ヘッドの研究開発部門を設置。オムロンの進出は2番目となる。

 香港サイエンスパークでは開発分野として、IT/電気通信、エレクトロニクス、精密工学、バイオテクノロジーの4つに焦点をあてている。中でもIT/電気通信については、香港の携帯電話ユーザー数が世界一ということもあり、特に力が注がれているという。

 第1期では10棟のビルが建設されており、前述の4分野に対し、それぞれ専用のビルが1棟ずつ割り当てられている。各ビルには設計・テスト用などの最新のハードウェア/ソフトウェア設備が整えられており、入居企業はそれらを時間貸しで利用できる。

 また、特許など知的財産権のライブラリが用意されており、無料でアクセスできるほか、ライセンス貸与のサポートなども行なっている。

 タム氏は、「このようなインフラの整備により、設備を持てない中小企業でも十分な開発が行なえる」と同施設のメリットを語った。

香港サイエンスパークの見取り図 分野ごとに専門のビルが建設されている シリコンバレーとのコスト比較。約半分ですむという

 また、香港という立地条件も大きな優位性の1つだという。現在、IC市場において、中国は巨大なマーケットに成長しつつあり、また、人件費や土地代が廉価であることから各国の企業が生産設備や販売拠点を中国に設けている。香港に開発拠点を置くことで、より迅速な対応が可能となる。

 距離的に近いだけでなく、台湾と異なり、中国人は香港へビザなしで渡航できることから、中国企業との取引の場としても好適だという。

 またタム氏は、知的財産の保護が進んでいることも強調した。中国本土では知的財産の保護への関心が薄いが、香港では国際基準に則った法整備がなされており、セキュリティの面でも安心して開発活動が行なえるとした。

 入居に際しては、地元企業とのジョイントベンチャーなどの設立は必要なく、100%子会社を設立でき、香港で開発した知的財産は完全にその企業に帰属する。

 賃貸料は1月当り坪単価4,000円程度。居住施設も隣接しているほか、日本人向けのインターナショナルスクールもある。

 オムロンは、7月より10人体制で業務を開始する予定。当初は中国・台湾市場向けの携帯電話用バックライトの開発を行ない、2005年には大型液晶TV用バックライト事業にも着手する。

□香港サイエンスパークのホームページ(英文)
http://www.hkstp.org/
□オムロンのホームページ
(3月10日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.omron.co.jp/

(2004年3月10日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


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