西川和久の不定期コラム
「CONTAX SL300R T*で撮ってみました!」



CONTAX SL300R T*

福山安奈@ネットアージュ

 1年以上御無沙汰していたデジカメネタが久々に復活。何故書かなかったのか!? 理由は簡単。気に入るデジカメが出てこないからだ。コンパクトカメラは画素ピッチの極小化により、もはや写っているのがギリギリの状況。上位モデルは、高倍率ズームでビューファインダー……と、筆者的には好みではない状況になっている。そんな中、1/2.7型300万画素、しかも超コンパクトでCONTAXと来れば試して見るか! という気になったのだ。

 ただし、筆者の場合は素材性重視の撮影をし、Photoshopのトーンカーブだけを触って本来出したかった色を可能な限り再現している。また、サムネイル先の写真は、負荷を考えワンランク落とした200万画素(1,600×1,200ピクセル)へリサイズした。この点はあらかじめご了承頂きたい。(SL300R T*の写っている写真はFinecam SL300Rで撮影)

Text by Kazuhisa Nishikawa


●CONTAX SL300R T*の仕様

 仕様の詳細はここをご覧頂きたいが、大雑把なところでは、有効317万画素1/2.7インチ原色CCD搭載、35mmフィルム換算38〜115mm/F2.8-4.7の光学3倍ズーム、メモリはSDメモリカード、専用バッテリといった感じだ。姉妹機Finecam SL300Rとの違いは、レンズ(Carl Zeiss Vario-Tessar T*5.8-17.4mm F2.8-4.7)とボディの外装。加えて、レンズフードと28mmのフィルタアダプタ付属となる。実売でその差約1万円。これを安いと取るか?高いと取るか?は、人それぞれだろう。先日発表のあった、ブラックモデルはかなり好きなルックスだ。

 その他のトピックスとして、「毎秒約3.5コマの高速フルメモリ連写」と「同社独自の“RTUNE”システム」があげられる。筆者的に興味を持ったのは、後者の“RTUNE”だ。既に発表されているが、これはNuCORE Technologyのデジカメ専用エンジンを使ったもので、公にされている中でこのSL300R(T*)は第1号機となる。絵的にどうなるか!? 興味津々。早速試用したので写真をご覧頂きたい。幸いお天気も良く、全てISO100/WB:Daylight/圧縮:Fineで撮影している。

115mm相当(テレ端)
115mm相当(テレ端)
このクラスのコンパクトカメラは、テレ端の写りが甘く、使う気にならない機種が多いものの、このカメラはまあ合格ラインだ。
38mm相当(ワイド端)
38mm相当(ワイド端)
流石に300万画素でこれだけ引くとちょっと辛い。もう少し寄った方がいいだろう。ただ、変な歪みは無いので使いやすい。
50mm相当
50mm相当
テレ端の写りを考えると少しピントが甘めか!? これはカメラではなく筆者が悪い。このカットはカメラを触りだしてまだ10分未満。
マクロモード
マクロモード
柔らかい光の感じが良く出ている。ただ、この程度の寄りでマクロモードへ切り替える必要があるのは少し不満。
PLフィルタ使用1
PLフィルタ使用1
28mmのフィルタアダプタを使ってPLフィルタを試した。回す角度は、髪の毛の光り具合を見るのが解りやすい。
PLフィルタ使用2
PLフィルタ使用2
逆光気味で肌に露出を合わせつつ、空の色を濃く出すのは難しい。PLフィルタの効果はそれなりに出ていると思われる。

●使用感は!?

 起動や再生、AFや撮影速度など特に不満は無い。ズーム再生が余りにもスムーズで速いのはちょっと驚いた。場合によってピンを少し迷うことがあるものの、これは他のカメラと同じレベル。剥き出しのレンズは付属のフードのおかげで指紋が付き難くなっている。とは言え、レンズバリアは欲しいところ。また、構え方によってレンズに指がかかってしまうので要注意だ。
 色は、このクラスの割りに光を良く捕らえている方だろう。もちろん1/2.7型300万画素なので、APS-Cサイズのラチチュードには遠く及ばないものの、これだけ色が乗るのはいい感じである。特にスカートの黄色が良い。経験上、黄色が綺麗に写るデジカメは肌色が自然になる。SL300R T*も例外ではなさそうだ。液晶ディスプレイの表示はけっこう正確。たまにあるのが、液晶で見た時は適正露出で撮れているように見え色も綺麗だったのに、パソコン上で確認するとアンダーで色も悪かった……というタイプではない。これなら安心して撮影できる。

 筆者がオリジナルの画像を出さずにトーンカーブで修正しているのを快く思わない読者の方もいると思うが、最近のデジカメは写っているのがギリギリで、トーンカーブを触ると破綻してしまうものも少なくない。そう考えればSL300R T*は優秀な部類に入る。また、この修正はプリンタドライバが行なう自動補正とさほど変わりない内容(コントラスト強調及び肌色合せ)。あまり極端なことは行なっていない。左上のオリジナルデータ1枚をロスレス回転だけ行ないここに置く。Photoshopを使い、モード:16bit/チャンネルへ変更、このトーンカーブセットを読み込めば掲載した写真と同じになる。マスタートーンカーブの曲線は、筆者がよくNikon D1Xで使っているのとほぼ同じものだ。ただこの場合、カメラの設定をコントラスト:LOWで撮っているのでコントラスト強調しているものの、今回は標準の設定で撮っている。にも関わらずこのカーブで丁度いいということは、もともとカメラの絵作りで眠い絵にしているのだろう。

PHOTO-1
PHOTO-1
PHOTO-2
PHOTO-2
PHOTO-3
PHOTO-3
PHOTO-4
PHOTO-4
PHOTO-5
PHOTO-5
PHOTO-6
PHOTO-6

 PHOTO-3とPHOTO-5はレフ板を使わずメニューや机の反射を使った。他はレフ板を使っているとは言え、直系60cm程の小さい丸レフだ。これなら畳めば1/3のサイズになり、カバンの中に入るので必要な時だけパッと開くことができ便利な上、周囲からもあまり目立たない。PHOTO-4だけ銀側を使い、他は全て白である。

 撮影上苦労したのは、マニュアル露出が無く、露出補正は4アクション必要なことと、思った露出に素早く固定出来ないことだ。このカメラの用途を考えれば仕様的に仕方ないところであるが、もう少し露出補正を簡単にできるようにして欲しい。更にAEロックがあればベストだ。バッテリ駆動時間はあまり良い方ではない。200枚程度だろうか。最後のワンシーンで切れてしまい、Finecam SL300R側のバッテリを外して使用した。写す頻度によるが、予備でもう一本持ちたい感じだ。

 シーンセレクトにあるポートレートモードを使ったものの、マニュアルに「肌の色が美しく再現されるようにホワイトバランスが最適化されます」とある。どうやらDaylightに固定されず可変になり、同じシーンなのにホワイトバランスが不安定だったので結果的にあまり使っていない。筆者は仕事の時もほとんどDaylight固定で使う。今回の写真も前編は午前中、後編は午後撮影しているが、光の感じ(色温度)が違うのは解ると思う。これがニュートラルへ戻ってしまうようなホワイトバランスは写真的に面白くなく好みではない。


●総論

CONTAX SL300R T* & CONTAX G2

CONTAX G2 & CONTAX SL300R T*
G2デジタルが待ち遠しい!?

 用途にもよるが、写りや操作感はコンパクトカメラと考えれば全体的に良くも悪くも無く標準的。特にコレといったポイントは見当たらない。NuCORE Technologyのデジカメ専用エンジンを使った絵に関しては、同社の他モデルと比較してそれなりに出ている方だろう。

 しかし何と言っても最大の魅力はこのボディ。超薄型でCONTAXらしいルックスと仕上げが美しい。左の写真は、筆者が唯一所有する銀塩カメラ、CONTAX G2である。ご覧のように2台並べても質感などは全く見劣りしない。これだけ風格(?)のあるコンパクトカメラは貴重だ。Finecam SL300Rと約1万円差なら、間違いなくSL300R T*を選ぶだろう。

 ただ、安奈ちゃんがはじめてこのカメラを触った時、レンズをファインダーと間違えて構えたのには笑ってしましった。そう言った意味では、SL300R T*のように変わった(?)形ではなく、Tixのような普通のコンパクト型も欲しいところ。いろいろな意味で今後更に磨きをかけてCONTAXらしいカメラを作って欲しい。

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(2004年3月2日)

[Text by 西川和久]


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