会期:2月17日~19日(現地時間)
「今年の第2四半期に投入する次世代XeonとなるNoconaでは、64bitアドレス拡張を実装する」とIntelのクレイグ・バレットCEOは、ついにIntelのIA32のメモリアドレスを64bitへ拡張することを明らかにした。AMDが昨年の4月にリリースしたOpteronプロセッサで、IA32のメモリアドレスを64bitに拡張したAMD64をリリースしたことで、IntelがIA32においてどのような対応を行なうのかが大きな注目を集めていたが、ついにIA32のアーキテクチャも64bitの世界へ飛び出していくこととなる。 ●最初にNoconaに、続いてPrescott、Potomacにも64bitアドレス拡張を実装へ バレット氏は、IDFのオープニングとして行なわれた基調講演の中で、最初にItanium2について触れた。ItaniumはIA64と呼ばれる、Pentium 4やXeonなどのIA32とは全く異なるアーキテクチャを採用しており、主に汎用機のリプレースや大型のデータベースサーバーなどの用途に用いられている。バレット氏はゲストにモルガンスタンレーのITマネージャを呼び、Itanium2がいかにモルガンスタンレーの証券会社としての業務に役に立っているかをアピールした。 その後で、バレット氏の話は64bitへと移り、同社が今年の第2四半期に投入を予定している次世代コアNoconaについての話題を取り上げた。Noconaは90nmプロセスルールで製造される、2月にPentium 4として投入されたPrescottコアのサーバー/ワークステーション版で、16KBのL1データキャッシュ、1MBのL2キャッシュ、SSE3などPrescottと同様の特徴を持ちつつ、デュアルCPU構成が可能になっている。 バレット氏はこのNoconaの説明の中で、「次世代Xeonでは64bitのアドレス拡張を行なう。これによりIA32に64bitアドレッシングの機能を追加していく」と述べ、噂になっていたIA32の64bit拡張がNoconaより正式に行なわれることを明らかにした。続いて、その後の展開についても説明し、「引き続き、今年中にはシングルプロセッサ向けのPrescottにも64bit拡張を追加し、2005年にリリースする予定のマルチコア対応のXeonでも64bit拡張の機能を追加する」と述べ、PrescottやNoconaの大容量キャッシュ版であるPotomacなどにも64bit拡張を行なうことを明らかにした。 なお、今回の基調講演では、この64bit拡張がどのような名前であるかは明らかにはされなかった。IDFの資料の中には、この64bitアドレス拡張をIA-32eと表現しているものがあり、OEMメーカー筋の情報でもIntelがこの64bitアドレス拡張をIA-32eであるとする情報が複数伝わってきていることから、少なくともIntel社内ではIA-32eという名前で呼ばれている可能性が高そうだ。
●MicrosoftがWindowsにおいてIntelの64bit拡張をサポート
バレット氏の基調講演には、Microsoftの社長兼CEOのスティーブ・バルマー氏がビデオで出演し、Intelの64bitアドレス拡張について語った。 この中でバルマー氏は「Microsoftは、Intelが既存の32bitのソリューションを有効にしたまま64bit拡張を行なったことを歓迎する。MicrosoftはIntelの64bit拡張に対応した最新版のWindowsをβテスターに提供している。今後開発者の皆様には64bit拡張への移行準備をしていただきたい」と述べ、今後MicrosoftがIntelの64bit拡張に対応したWindowsを提供していくことを明らかにした。 現時点ではMicrosoftがどのバージョンのWindowsでIntelの64bit拡張をサポートしているのかは公式には明らかになっていない。しかし、OEMメーカー筋の情報によれば、MicrosoftはWindows Server 2003のServicePack1において、Intelの64bit拡張をサポートする予定であると説明しているという。ただ、現在βテスタなどに配布されているBuildのSP1では動作しておらず、今後Intelの64bit拡張が利用できるSP1が配布される予定であるという。 Windows Server 2003 SP1においてはAMD64も利用できるようになるとされており、両社とも同じタイミングで64bit命令が利用できるようになる可能性がでてきた。 ●クライアントの64bit対応は未だ明らかにはならず
なお、基調講演後に行なわれた質疑応答では、バレット氏は「今回の64bitアドレス拡張はあくまでサーバー、ワークステーションでの話だ」と強調し、クライアントサイドにおける64bit拡張がどうなるかについては明言をさけた。 しかし、バレット氏自身が明らかにしたように、Prescottに関しても、シングルサーバー、ワークステーション向けという限定はつくものの64bitアドレス拡張に今年末までに対応するとされており、実質的にどこかのタイミングでクライアント向けのPrescottに関しても64bit対応となる可能性もないとは言えない。 Intel デスクトッププラットフォームグループ 共同ゼネラルマネージャのウィリアム・スー副社長は「クライアントサイドでは今の時点では64bit拡張は必要がないと考えている。現時点では64bitを必要とする利用法はあまりないし、OSやアプリケーションなども整ってはいない。この状況ではエンドユーザーにメリットをもたらすことはできないと考えているからだ」と述べ、クライアント向けのPrescottでは64bit拡張は実装されない可能性を示唆し、クライアント向けのCPUで64bit拡張がいつ行なわれるのかに関しては明らかにはされなかった。 □IDF Spring 2004のホームページ(英文) (2004年2月18日) [Reported by 笠原一輝]
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