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富士通、国内PC出荷計画を下方修正
~2003年度第3四半期決算は増収

富士通 小倉正道CFO

1月29日発表



 富士通株式会社は29日、2003年度第3四半期連結決算を発表した。そのなかで、今年度の国内のPC出荷計画を下方修正すると発表した。

 10月時点の予測では、国内出荷計画を265万台としていたが、今回の修正では、6万台減少の259万台とした。

 修正後も前年比5%増というプラス成長の計画となるが、業界団体である電子情報技術産業協会が発表した国内のPC市場全体の通期見通しでは9%増となっており、今回の下方修正は、業界平均を下回ることになる。

 これに対して同社では、「国内においては競合他社の価格攻勢が激しく、利益重視型の体制のなかでは手堅い数字へと下方修正することが賢明だと判断した。だが、事業部ではあくまでも10月時点での発表数値を達成したいとの意欲をもって、国内PC事業に取り組んでいる」としている。

 また、アジア地域は1万台減の13万台、北米向けが当初予測通りの14万5,000台とした。

 だが、その一方で、国内市場以上に出荷台数が多い欧州市場向けでは、24万台増の345万5,000台と上方修正。これにより、全世界での出荷計画は17万台増の632万台と、PC事業全体では上方修正となった。

 デスクトップPCの比率は、当初は44%としていたが、これを46%に引き上げ、ノートPCの比率は56%から54%と引き下げた。

 なお、携帯電話の出荷計画も下方修正し、20万台減の350万台を計画している。

 PCと携帯電話をあわせた2003年度の売上高は、当初計画の6,850億円から100億円減となる6,750億円とした。

 一方、全社の連結売上高は、前年同期比5%増の1兆682億円、営業利益は101億円となった。

 増収は第2四半期に続き2期連続。営業利益は前年同期のマイナス131億円の赤字から黒字転換を果たした。

 世界的なIT投資の回復基調に伴い、サーバー、ストレージなどの新製品が世界的に伸張したのに加え、HDD、LSI、PDP、LCDなどの幅広い製品群が増収となったことが貢献した。

 しかし、売上高は10月時点の予想に比べると317億円のマイナス。PCおよび携帯電話における価格競争の激化、通常は10月に発売されるPC新製品を9月に発売し、第2四半期に前倒しで計上されたことでのマイナスが大きく影響しているという。

 また、経常利益に関しては、126億円の回復となったものの、165億円の赤字となり、依然として赤字は脱却できないまま。当期純利益は325億円回復し、76億円の黒字となった。退職給付積み立て不足額の償却などの負担が重くのしかかったとしている。

 部門別では、ソフトウェア・サービス部門は、売上高が前年同期比3.9%増の4,361億円。ソリューション/SIが前年同期比6.7%増の1,816億円、インフラサービスは2%増の2,545億円といずれも堅調。国内では製造業やe-japan関連需要の成長が目立つほか、海外では英国における政府系の大型アウトソーシング案件の受注が好調となっている。だが、営業利益は前年同期比89億円減少の76億円。ソリューション/SIビジネスでの価格競争による収益悪化や、Linux分野への先行投資の負担増などが要因としている。

 プラットフォーム部門は、売上高は5.9%増の3,738億円。なかでもサーバー関連の伸びが高く、前年同期比25.1%増の846億円。国内におけるUNIXサーバーとストレージの新製品が貢献したのに加えて、大口商談によるグローバルサーバーの売上げ拡大、新紙幣対応の金融端末装置への需要増も貢献した。営業利益も前年の137億円の赤字から138億円改善し、1億円の黒字とわずかではあるが黒字転換した。事業構造改革の成果と、物づくり強化によるコストダウン効果によるものとしている。

 電子デバイスは、前年同期比22.2%増の大幅な成長。営業利益も211億円増加の155億円の黒字となった。デジタルAV機器向けや携帯電話向けの引き続き好調に推移したのが要因。また、フラッシュメモリは14.8%の減収となったものの、AMDと合弁で設立した新会社に事業を移管した影響によるもので、これを含めると、なんと70%を超える増収になるという。

 通期の見通しについては、売上高4兆7,500億円、当期純利益300億円の計画には変更がないものの、経常利益については100億円下方修正し、500億円とした。ファナックが持分法対象会社から外れたこと、円高の進行による海外子会社の為替差損の影響によるものとしている。

 また、営業利益に関しても、PCの価格低下やソフトウェア・サービスでの価格競争激化、プロジェクトの採算性悪化により、一部当初計画に届かない事業もあるが、「電子デバイスが予定通りの進捗であること、サーバー、ストレージが好調であることでこれを補える」(富士通・小倉正道取締役兼CFO)として、営業利益1,500億円の計画そのものは修正はしない。

 営業利益の部門別年度予測は、ソフトウェア・サービスが10月の予想時に比べて200億円マイナスの1,550億円、プラットフォームが100億円プラスの300億円、電子デバイスが当初予測通りの250億円などとしている。

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□決算概要
http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2003q3/
□関連記事
【2003年7月29日】富士通、2003年度第1四半期は398億円の赤字
~PCのシェアは回復
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0729/fujitsu.htm

(2004年1月29日)

[Reported by 大河原克行]


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