[an error occurred while processing the directive]

MicrosoftのバルマーCEOが早稲田大学で講演
~セキュリティ分野の人材育成で提携

覚書を交換する早稲田大学の白井克彦総長(左)とMicrosoftのスティーブ・バルマーCEO

11月17日



 マイクロソフト株式会社早稲田大学は17日、コンピュータセキュリティにおける人材育成について覚書を交わした。これにともない、米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOが来日、早稲田大学の大隈講堂で講演した。

●マイクロソフトが講師を派遣

早稲田大学との提携内容

 提携の内容は、早稲田大学の「セキュリティ技術者養成センター」でWindowsプラットフォーム向けのカリキュラムを2004年度から開始、マイクロソフトがこれに講師を派遣するもの。また、バルマーCEOによれば、マイクロソフトにおけるインターンシップの機会も設けられるほか、共同研究も行なうとしている。

 受講対象は同大学理工学部の学部学生と、同大学大学院理工学研究科の大学院生。今後は早稲田大学の他学部、他研究科の学生も対象とする予定。

●世界のどの地域よりもインドと中国の発展が速い

 「'93年は私にとって、太古の昔のように思われる。10年前、Intelのアンディ・グローブ会長が“今後、年間1億のPCが販売されるようになる”と言ったとき、ビル・ゲイツと私は“そんなことは決してない”と笑った。しかし、現在では年間1億5千万のPCが販売されている」。

 バルマーCEOはこれまでの10年の劇的な変化をこう語り、今後の10年について「“これからの10年は、楽しく、ダイナミックで、イノベーションが生まれ、エキサイティングで、これまでの10年と同じように素晴らしい10年になるのか?”という質問に私は、“Yes、Yes、Yes、Yes!”といつも答えている。これからの10年は、さらに大きな変化と、本当に重要なイノベーションが生まれる」と、コンピュータ業界でXMLやコンピュータの生活への浸透による革新や変化が続くとの見解を提示し、身に着けられるごく小さなコンピュータで、装着者が見聞きしたことなどをすべて自動的にキャプチャする「デジタルメモリ」などの具体例をあげた。

バルマーCEOは終始壇上を動き回りながら、大きな声と身振りでエネルギッシュに講演した

 一方、革新を続けていくためには、業界全体でのセキュリティへの取り組みが重要であることや、開発、人材育成のための投資が必要であると指摘。日本の企業でもっとも研究開発に投資していると思われるトヨタ自動車の投資額が62億ドルであるのに対し、Microsoftでは今年、69億ドル相当を投入したとした。また、「世界のどの地域よりもインドと中国の発展が速い。今年、世界中のコンピュータサイエンスの学位を持つ卒業生の半分を、中国とインドが輩出する」と、コンピュータ分野における両国のプレゼンスを明らかにした。

 こうした流れの中で、大学に民間企業ではできない研究を期待していることを表明し、早稲田大学をはじめ、世界中の大学とのパートナーシップを強化するとした。とくに日本の学生に向けては、ゲームやオンラインコンテンツ開発では日本が世界の中心地であるとし、「世界を変えるチャンスがひろがっている」と鼓舞した。

●20年後には本が無くなる、レコードと同じように

 講演後には、あらかじめ選出された3人の学生との質疑応答の時間が設けられた。

 この中で、日本市場の世界における位置づけについての回答は「日本は世界第2位の経済大国であり、高度な最先端のテクノロジを持つ。ハイテク志向で要求の厳しい国民性であり、重要である。私はこの10年間、年に2回来日している。家族とともに数カ月過ごしたこともある。日本の最先端の状況を知りたいからだ」と重要性を強調した。

 TRONとの関係については「PCのOSと組込みOSとは基本的に違うと考えなければならない。組込み市場において、Microsoftのテクノロジがきちんと発揮され、きちんと融合される必要がある」とし、「ハードウェアメーカーが、TRONとWindows CEの最高の部分を自由に使えるようにするのが重要」と考えたため、TRONとWindows CEが共存する「バーチャルマシンのようなもの」の開発に乗り出したと述べた。また、この提携は古川享 副社長の主導で結ばれたとした。

 20年後のコンピューティング環境については「私はビジネスマンで、技術のビジョナリーではない」としながらも「メディア自体が大きく変わる。私の孫の世代は本というものを見ないだろう。本はすべて電子媒体に載る。TVのチャンネルは無限になるだろう。すくなくとも1日に16時間はコンピュータを使い、ほとんどの家庭には20台から30台のコンピュータが入る」と予測した。

 このほか、Microsoftは技術者をできるだけ1カ所に集めておきたいと考えており、開発の主力はビル・ゲイツ会長のオフィスから徒歩10分の場所にあることなどを明らかにした。

学生との質疑応答 質問した学生らと

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=1766
□早稲田大学のホームページ
http://www.waseda.ac.jp/

(2003年11月17日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
個別にご回答することはいたしかねます。

Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.